日常生活に溢れかえっている文字ですが、最近は手書きではなく、インターネット上でよく見かけるという方が多いかもしれません。
WEB上だけでなく、紙面などで表現された、ひとそろいの文字デザインデータのことをフォントといいます。
フォントは何千何万という種類あり、そのデザインが文章のイメージや雰囲気を左右する要素も持ち合わせていると言っても過言ではありません。
フォントと言うと、明朝体など無料で使えるものを想像しがちですが、実は全て無料で使えるわけではありません。
中には有料のフォントがあるのをご存知でしょうか。
今回はフォントと書体の違い、そして有料フォントのお金事情と商用利用についてご紹介します。
目次
フォントとは
フォントと聞いて、書体と同じ意味ととらえている方も多いと思いますが、実のところ、以下のように違う意味を持っています。
- 書体:文字のデザイン、形
- フォント:その書体を表現するための手段、書体をデータ化したファイル
しかし、フォントを数える時には1書体、2書体といって「書体」という数詞が使われます。
そのため文字デザインの専門家でもない限りは、両者について混同して使用されていることが多いのが現状です。
フォントは全世界の言語に対応したものがあります。
国内では日本語と英語が多用されていることから、主に日本語の和文フォントと英語の欧文フォントが使われています。
代表的な和文フォント
和文フォントの特徴と他のフォントとの相違点を見ていきましょう。
明朝体
- 特徴:和文フォントの中では一般的によく使われているフォント。漢字の楷書がベースとなっている。毛筆のタッチを活かし、まじめで堅いイメージ。
- 相違点:縦線は太く、横線は細い。横線の終わりに「うろこ」と呼ばれる三角形のアクセントがついている。
ゴシック体
- 特徴:和文フォントの中では、明朝体と並んでよく使われているフォント。明朝体に比べて現代的なイメージ。
- 相違点:線の太さが均一で、角張っている。
丸ゴシック体
- 特徴:明朝体やゴシック体に比べて、可愛らしく、やさしいソフトなイメージ。
- 相違点:線の太さが均一で、角が丸い。
筆書体
- 特徴:筆で書かれた文字を再現したフォント。楷書体、行書体、隷書体、教科書体、勘亭流などのバリエーションがある。使われ方は限定的で、明朝体よりも和風なイメージ。
- 相違点:毛筆による手書きタッチの伝統的な筆跡
デザイン書体
- 特徴:明確な決まりがなく、個性的でインパクトがあるフォント。手書き風書体やPOP体も含まれます。
- 相違点:上記の4フォントに比べて、癖が強い
代表的な欧文フォント
次に欧文フォントの特徴と他のフォントとの相違点を見ていきましょう。
セリフ体
- 特徴:古代イタリアの石刻文字が起源のフォント。装飾性が高く、古風、格調が高いイメージ。
- 相違点:和文フォントの明朝体と同様に、縦線は太く、横線は細い。線の終わりまたは先端に「うろこ」と呼ばれる小さな飾りがある。
サンセリフ体
- 特徴:シンプル、かつ親しみがあり、カジュアルなイメージ。
- 相違点:和文フォントのゴシック体と同様に、線の太さが同一で、線の終わりまたは先端に「うろこ」はない。
フォントはタダではないのか
WindowsやMacのパソコンには、いくつかのフォントが標準で入っています。
そのためフォントは無料だと思っている人も多いかもしれません。
しかし、フォントには無料で使えるフリーフォントと、有料のものがあります。
WindowsやMacが搭載されているパソコンを購入するということは、一緒にそのOSに対応する数種類のフォントも購入するということなのです。
OSに含まれているフォントのことを標準フォントといいます。
日本語フォントはもちろん、海外サイトを見た場合に文字化けすることなく対応できるよう、英語や中国語、アラビア語などの文字も搭載しています。
標準フォントはOSにより異なります。
そのため、例えばWindowsにしかないフォントで文章を作成すると、Macでは文字化けしたり、上手く表示されない場合もあるのです。
和文フォントと欧文フォントで金額に差があるのはなぜ?
有料フォントには和文フォントと欧文フォントがありますが、実は金額に差があります。
和文フォントの場合、1書体あたり10,000~15,000円のものが売れ筋だそうです。
プロやセミプロの場合には、30,000円以上もするフォントを購入している方もいます。
しかし、欧文フォントの場合には、1書体あたり1,000円以下のものから高くても10,000円台だそうです。
これは、文字数に由来しています。
欧文フォントの場合、扱う文字数はアルファベットの大文字、小文字、そして記号を併せたとしても100文字程度。
しかし和文フォントの場合は、ひらがな、カタカナ、第一水準の漢字だけでも3000文字以上にもなります。
もし書籍の本文としてフォントを使用する場合には、第二水準以上の漢字も必要に。
つまり23,000文字もの文字数にもなるため、金額が高くなるのです。
有料フォントとフリーフォントの違い
一方、和文フォントや欧文フォントの中にも、有料フォントと無料のものがありますよね。それはなぜなのでしょうか。
新しくフォントを作る際には、過去にないデザインを考えるとともに、多くの文字数に対応できるよう規則性などを考慮して作られます。
そのため開発時間が長期に及ぶことも少なくありません。
そのため新しいものは有料であることが多いのです。
フリーフォントは書体データの著作権が切れているものや、開発者の厚意によるものなどがあります。
また、有料フォントのデモ版として、一部を開放しているものがフリーフォントとなっていることも。
その他、無料フォントは有料に比べて使用できる文字制限があったり、商用利用ができないなどと制約もあるため、各フォントの利用規約を確認して使用することをおすすめします。
フォントと商用利用
フォントは、写真やイラストなどと同様に、商用利用ができるものとできないものがあります。
有料かどうかに関わらず、そのフォントの利用規約に「商用利用不可」と記載しているかを確認しましょう。
国内にある有料フォントを取り扱っている主要なフォントベンダーでは、フォントを購入することで商用利用可能としています。
しかし、商用利用できたとしても、写真やイラストなどと同様に、再配布や改変の禁止などの制約もあるため、利用規約を必ず読んでから購入するようにしましょう。
なお、大手メーカーの商品パッケージやテレビ広告、また街中にある看板やポスターなどは、デザイン性やフォントベンダーからの手厚いサポートがあることから、フリーフォントではなく有料で作成されていることが多いそうです。
有料フォントって何?相場と商用利用の際の注意点 まとめ
「誰かが手書きで書いていると思った」と見間違うような手書き風のものや、読むのが難しい草書のもの、また古代文字など、国内にはたくさんのフォントがあります。
また、見出しやタイトル文字に向いているフォントや、長文でも読みやすいものなど、使用する目的によって、最適なものもあります。
自社ポスターやWeb広告などを作成する場合には、フォントにこだわってみてはいかがでしょうか。