私たちが日常の中で美しいと感じるモノには共通点があるのをご存知でしょうか。
それは「黄金比」です。
黄金比は絵画や建築物、写真の構図など人工物に使われているだけでなく、実は自然界においても存在しています。
今回は、この「黄金比」とは何か、また黄金比が用いられている事例についてご紹介しましょう。
目次
黄金比とは?
黄金比とは、近似値が「1:1.618」という比率で、人間にとって最も安定し、美しいと感じる比率のことをいいます。
この黄金比は、紀元前4世紀~紀元前3世紀頃に古代ギリシャの数学者であるエウドクソスが発見し、紀元前3世紀頃にエジプトの数学者であるユークリッドが定義したものと言われています。
はるか昔から、この黄金比は存在していたのです。
この黄金比と、後述する黄金長方形、黄金らせんは、歴史的な建造物や絵画だけではなく、現代においては会社のロゴマークなどにも利用されています。
また、人間の顔や身体、そして自然界にある動植物においても黄金比が存在するとされているのです。
この黄金比を用いたものを、私たち人間は潜在的に美しいと感じてしまうといわれています。
黄金長方形
黄金比の説明に最も用いられているのが、黄金長方形といわれるものです。
縦と横の比率を黄金比である1:1.618とした長方形のことをいいます。
この長方形から最大の正方形を切り取った場合に、残った長方形がもとの長方形と同じく縦と横の比率が黄金比になります。
また同じように最大の正方形を切り取ると、縦横比が黄金比になるという性質をもった長方形です。
黄金らせん
黄金長方形にある正方形の角を使って、アーチ状のなめらかな曲線を描くと、渦巻き上のらせんを描くことができます。
これが黄金らせんです。
黄金比が用いられている事例
ここでは歴史的建造物や自然物、そして企業のロゴデザインなどについて紹介します。
パルテノン神殿
パルテノン神殿は紀元前447年~紀元前438年にペルシア戦争の勝利を記念して作られたものです。
同時に女神アテナを祀るための神殿であります。
この建設で総監督を務めていたペイディアスという古代ギリシャ彫刻家が、初めて黄金比を使って建造物をつくったとされています。
縦と横の比率が黄金比である1:1.618とすることで、とても神々しく美しい建築物ができたのかもしれません。
ミロのヴィーナス
フランス・パリにあるルーブル美術館に展示されているミロのヴィーナスは、愛と美の女神の名にふさわしく、世界中の人々から美しいと絶賛されています。
その秘密は、プロポーションの黄金比にあるそうです。
ミロのヴィーナスは、身長209cm、バスト121cm、ウエスト97cm、ヒップ129cmの彫刻ですが、身長(高さ)について、へそを境に上半身と下半身の比率が黄金比であり、また下半身と全身との比率が黄金比ともいわれています。
クフ王のピラミッド
別名「ギザの大ピラミッド」ともいわれるクフ王のピラミッドは、紀元前2560年頃にクフ王の墳墓として建設されました。
このピラミッドの高さと底辺の長さの比率が黄金比といわれています。
オウムガイの貝殻
前述した黄金らせんの形状とオウムガイの貝殻の形状はとても良く似ています。
オウムガイを半分に切った断面図において、向かい合った辺の長さを調べると、黄金比になっています。
イタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチは、自然界においても黄金比は存在するとして、フィボナッチ数列といわれる数字の配列を定義しています。
オウムガイ以外においても、ひまわりの種の並び方や、パイナップルのかさについても、このフィボナッチ数列の配列となっています。
Appleのロゴデザイン
MacからiPhoneまで、今まで数々の革新的な商品を発表してきたAppleのロゴデザインは、黄金長方形の中にある正方形の一辺を直径とした円をもとに描かれています。
TOYOTAのロゴデザイン
国内の自動車メーカーでもトップを誇り、現在においては日本を代表する自動車メーカーであるTOYOTA。
現在のロゴデザインは1989年に会社創立50周年を記念して発表されたものです。
TOYOTAのロゴデザインは3つの楕円を重ねて、それぞれが左右対称に組み合わせされており、上下左右の楕円の構成が黄金比で構成されています。
オードリーヘプバーンの顔
自然界の産物には人間も含まれます。
人間の顔には数々の黄金比があり、この黄金比を持っているのが、オードリーヘプバーンといわれています。
女性の中には、オードリーヘプバーンのような誰からも美しいと思われたい女性がたくさんいます。
最近では、自分の顔が黄金比をもつ美人であるのかを試すアプリまであります。
また、海外では、黄金比で作った黄金比マスクというものを用いて美容整形まで行っているそうです。
何でも美しく感じてしまう黄金比とは まとめ
黄金比は人間が作った人工物だけだと思っていた方も多いかもしれません。
しかし、自然界においても黄金比は存在します。人間が潜在的に美しいと感じてしまうという意味ではもしかしたら、DNAの中にも黄金比なるものが存在しているのかもしれません。
多くの人に好まれるデザインを選ぶ場合には、黄金比という条件を入れてみてはいかがでしょうか。