実は国や自治体はクリエイティブ産業の力で地域活性化や経済発展を目指すため、積極的に支援しています。
なかには企業と地元のクリエイターを結びつけるための施策を行っているところも。
そこでデザインのコト。では、クリエイター支援に取り組んでいる自治体をシリーズでご紹介しています。
今回は、経済産業省クールジャパン政策課デザイン制作室が発表した、「デザイン政策ハンドブック2018」の記載を基に、北海道札幌市地域のクリエイター支援に触れます。
※情報は2019年9月30日時点のものです。
目次
北海道立総合研究機構 産業技術研究本部 工業試験場
北海道では「北海道立総合研究機関中期目標」に基づき、北海道立総合研究機構産業技術研究本部工業試験場において、試験研究や技術指導を行っています。
これは、北海道地場産業の高度化を目指すだけではなく、新しい産業や技術分野の創出を促進するための取り組みです。
技術支援事業
道内の中小企業を対象として、デザインを戦略的に活用することで、新製品の開発やブランド作りなどの支援を行っています。
1)技術相談
電話や面談などによって、1回から数回に渡ってアドバイスを行っています。
デザイン分野における平成28年度の相談実績は約111件です。
2)技術指導/講師派遣
新製品の企画やコンセプトの強化、また各種デザインリサーチの設計・実施だけではなく、具体的な製品等のデザイン開発・ブランディングなどを、数ヶ月~数年の期間に渡って支援しています。
デザイン分野における平成28年度の相談実績は約10件です。
3)派遣指導/短期実用化研究開発
職員が依頼企業などに出向いて協働で製品開発やデザイン活用などを行います。
他にもブランディングなどに関する技術的課題の解決にも取り組みます。
デザイン分野における平成28年度の相談実績は1件で21日です。
4)設備使用
3DプリンターやUVプリンターなどの設備を、道内企業に対して開放しており、デザイン開発プロセスでの試作開発をバックアップしています。
施設には上記のほか、非接触3次元測定機、光造形システム、5軸NC加工システムがあり、平成28年度の5設備の利用実績は61件です。
一般財団法人さっぽろ産業振興財団「札幌ものづくり×デザイナープロジェクト」
札幌市補助事業として、一般財団法人さっぽろ産業振興財団が運営している事業です。
市内中小企業がデザインを活用することで、商品の高付加価値化や競争力強化ができるように、工業デザイナー等の専門家派遣による製品開発支援などを行います。
支援申込書を提出し、支援企業になることで、専門家チームによる支援を受けることができます。
市内企業に対して製品プロデューサーがカウンセリングを行い、コンセプトの視覚化や試作開発サポートなどを行います。
2019年度の取り組みでは、支援対象企業は審査を通過した3社が対象でした。
また、専門家の助言を受けることができるのは、「1回あたり2時間以上、派遣回数は8回程度」と定められていました。
インタークロス・クリエイティブ・センター(ICC)
2001年に開設されたインタークロス・クリエイティブ・センター(ICC)は、札幌市の産業振興を目的としたクリエイター支援施設です。
インキュベーション機能を備えており、12年間で64組のクリエイターを輩出しました。
その後2013年4月現在の札幌市産業振興センター内に移転。
クリエイティブ産業だけではなく、他産業との連携促進、施設の貸し出しやイベントの開催などを積極的に行っています。
コンテンツ活用促進事業費補助金
北海道内の中小企業者が、企業の課題をコンテンツの力を用いて解決するための補助金です。
北海道内に本社を有している中小企業者及びその他の法人を対象にしています。
連携するクリエイターは、札幌市内に本社を有しているコンテンツ等を主たる事業としていない中小企業者です。
市税の滞納がなく、札幌市で一般競争入札の参加制限を受けていないことも条件に挙げられています。
その他、応募に関する注意がありますのでHPをご確認ください。
補助額及び補助率は、補助対象経費の2分の1以内で、100万円を限度としており、総額は300万円です。
「ICCプロジェクトメンバー」制度
ICCでは「ICCプロジェクトメンバー」制度を導入しています。
これは、コンテンツビジネスやクリエイティブに係る『プロジェクト』を進める人材をサポートするためのシステムです。
プロジェクトメンバーになることで、各種セミナーへの優先的参加や、異業種人材との交流やネットワーク構築などの、プロジェクトを推進するサポートを受けられます。
メンバー登録は無料ですが、審査があります。
クリエイティブルーム
プロジェクトメンバーになることで、有料のクリエイティブルームへ入居することも可能です。
クリエイティブルームは、クリエイティブ産業に関する事業を行っている法人や個人、そして団体が利用することができます。
事業税及び市民税、そして法人の場合には法人市民税を滞納していないことが必要です。
入居には審査がありますが、入居すると事業支援を受けることができたり、情報発信スペース(1階クロスガーデン)で企業活動ができるなどのメリットがあります。
クリエイター登録
札幌市では、札幌市で活躍するクリエイターを対象に、クリエイター登録を受け付けています。
登録をすると、以下のサービスを受けることができるようになります。
1)クリエイター同士や他産業とのマッチングやマッチング相談
2)ワーキングスペースの利用(クロスガーデン)
3)ICCと連携したイベントを実施予定
4)登録クリエイターに向けた限定イベントのご案内
5)各種相談受付を実施予定
クリエイター登録は、ICCのHPにある応募フォームから行います。
応募すると、後日事務局からメールで連絡があります。
クロスガーデン
Wi-Fi環境完備のコワーキングスペースです。
コンテンツメイクを行う登録者限定で利用することができます。
また、クロスガーデンでは、プロジェクトメンバーの推進するプロジェクトへの支援などを行うために、イベントを開催することがあります。
一般開放は行っていませんので注意が必要です。
イベント開催
ICCは、各種セミナーやワークショップなど、多彩なイベントを開催しています。
これは、クリエイター同士の交流だけではなく、ビジネスとクリエイティブの接点を増やし、アイディアやプロジェクトの創出を目標としたものです。
アートやデザインそしてコンテンツ制作など、幅広いジャンルのイベントが行われます。
中小企業デザイン支援も!北海道札幌市のクリエイター支援の取り組み まとめ
北海道札幌市では、ご紹介したように多彩なクリエイター支援を行っています。
施設や設備が整備されているだけではなく、関連イベントや相談会も数多く開催されており、クリエイターの活動や起業を積極的にバックアップしています。
クリエイターだけではなく、発注側企業に対する支援も手厚いのが特徴です。
これらのサポートを利用して、素敵なクリエイターさんと出会ってくださいね。