自治体や国が中心となって、アーティスト・クリエイターへの支援を積極的に行っているのをご存知ですか。
デザインのコト。ではその取り組みをシリーズでご紹介してきました。
しかし実は、財団などによるアーティスト支援も活発に行われています。
そこで今回は、財団などによるアーティスト支援の中でも、海外活動に関する支援をご紹介します。
ジャンルを問わずに幅広い支援が行われていますので、ぜひ注目してみてください。
※情報は2019年10月25日時点のものです。
目次
【美術・音楽】一般財団法人アジアン・カルチュラル・カウンシル日本財団(ACC)
国際文化交流活動を通し、異なる文化を持っている人々における尊敬や理解を支援するための非営利団体です。
フェローシップ(研究奨学金)助成プログラムを通して、米国とアジア、そしてアジア諸国間での国際文化交流を促進しています。
本部はアメリカ・ニューヨークにあり、2013年には設立50周年を迎えた歴史ある財団です。
ACCの助成プログラム
ACCは長い歴史の中で、4000人以上の活動をバックアップしています。
ニューヨーク・フェローシップや、個人フェローシップ、そしてトラベルグラントなどの個人向けの支援だけではなく、団体助成も行っています。
個人フェローシップ
1ヶ月から6ヶ月以内に行われる個人調査滞在への支援プログラムです。
1人もしくは2人での申請ができます。
米国およびアジア地域においての調査や、研究文化的な体験を目的としており、展示や発表などに対する助成ではないので注意が必要です。
資金提供だけではなく、ACCのスタッフによるアドバイスやサポートを受けることができます。
【美術・音楽・芸術】EU・ジャパンフェスト日本委員会
EU・ジャパンフェスト日本委員会は、1993年にアントワープで行われた欧州文化首都開催の際に、ベルギー政府より参加要請があったことがきっかけで、経済界や欧州各国駐日大使が支援してつくられた委員会です。
「地域社会への貢献」や「社会的責任」に携わっている市民・アーティストの世界を舞台にした活動の支援を行い、健全な社会をつくることを目標としています。
そのため、ヨーロッパ文化首都における日本関連のプログラムの支援を積極的に行っており、様々なプログラムを支援しています。
支援は日本国内だけではなく、ヨーロッパ各地で行われており、対象も舞台芸術に美術にデザイン/建築、そして人物交流など幅が広いです。
【建築・芸術】公益財団法人ユニオン造形文化財団
公益財団法人ユニオン造形文化財団は、空間造形デザイン分野における各種の支援を継続かつ安定的に行うことを目的に設立されました。
同分野に関する調査研究だけではなく国際交流に対する助成行っており、さらに同分野の優れた創作活動を表彰するなど、多彩な活動に取り組んでいます。
各種助成
「調査研究」と「国際交流」そして「在外研修」に対して助成を行っています。
申請のためには、まずHPに掲載されているフォーマットに記入をしメールで申請を行うことで、折り返し申請書が届きます。
2019年(令和2年度)の申請書用紙請求受付期間は、2019年10月1日(火)~2019年11月29日(金)となっており、申請書提出期間は2019年11月1日(金)~2019年12月20日(金)です。
第26回ユニオン造形デザイン賞
応募者は、学生及び実務経験10年未満の社会人です。
共同製作も認められています。
大賞・奨励賞・佳作があり、大賞の賞金は100万円です。
令和2年3月に授賞式が行われる予定です。
こちらは海外活動に対する章ではありませんが、フレッシュなアーティストをバックアップするための賞です。
若手の建築家や芸術家との出会いをお求めの方は注目してみてください。
【音楽】公益財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団
公益財団法人明治安田クオリティオブライフ文化財団は、平成3年に、安田生命保険相互会社の創業110周年を記念し設立されました。
その後同社と明治生命保険相互会社の合併があり、名称を平成16年に現在のものに変更しています。
音楽における人材育成だけではなく地域の伝統文化の保存維持、そして後継者育成に対する助成などを行い、国民生活の質の向上だけではなく日本文化の発展に寄与することを目的にしています。
音楽分野への助成
海外音楽研修生費用の助成を行っています。
対象者は声楽・器楽を専攻した、大学卒業(予定)者と大学院在籍者・修了(予定)者、そして高等学校卒業(予定)者も対象です。
助成金額は年額200万円、期間は原則2年間と定められています。
「他の財団等から助成を受けないこと」が条件になっていますので注意が必要です。
音楽分野への助成 公募概要(公益財団法人 明治安田クオリティオブライフ文化財団)
地域の伝統文化分野への助成
「民俗芸能」ならびに「民俗技術」の継承や、後進に対する育成に取り組んでいる団体もしくは個人を対象にしています。
助成金額は、「民俗芸能」は1件につき70万円、「民俗技術」は1件につき40万円が限度です。
申込書を検討したうえで具体的な助成額が決定されます。
申込に際しては、市町村教育委員会などの推薦と各都道府県教育委員会などの文化関係所管課の推薦が必要です。
海外活動を限定としていませんが、民俗芸能や民族技術に関する芸術家をお探しの方は、こちらも注目してみてください。
地域の伝統文化分野への助成 公募概要(公益財団法人 明治安田クオリティオブライフ文化財団)
【その他】国際交流基金アジアセンター
独立行政法人国際交流基金は、全世界を対象とした国際文化交流事業を行っています。
アジアセンターの設立は2014年で、ASEAN諸国を中心としたアジアにおける双方向の交流事業支援を積極的にしています。
アジア・市民交流助成とアジア・文化創造協働助成、そしてアジア・フェローシップなど、グローバルな活動を支援するプログラムがあります。
アジア・市民交流助成
市民レベル・地域レベルでの交流を実施している国内の団体を対象として、経費の一部を助成しています。
申請資格は日本に活動拠点をおいている団体です。
対象事業は、日本もしくはASEANの各国で実施される、市民レベル・地域レベルでの交流事業。
移動費や宿泊費そして会場・機材使用量の経費の一部を上限150万円の範囲内で助成しています。
アーティストの海外活動を支援!多彩なジャンルに渡る財団等の取り組みやその内容とは? まとめ
グローバルなフィールドで活躍しているアーティストや芸術家、そしてクリエイター向けの助成を行っている財団などの取り組みの一部をご紹介しました。
既に活躍中のアーティストだけではなく、これから海外で羽ばたくフレッシュな才能を対象にした支援も沢山あります。
こうした助成を利用して、今後日本から海外へ活動を展開するアーティストがさらに増えていくかもしれませんね。
国内外で幅広く活躍しているアーティストの出会いを求めていらっしゃる方は、是非各団体の取り組みに注目してみてください。
新しい出会いがあるかもしれません。