自治体や国が中心となって、アーティストへの支援を積極的に行っているのをご存知の方も多いかもしれません。
実は、日本では自治体や国だけではなく、財団などによるアーティスト支援も活発なのです。
そこで、財財団などによるアーティスト支援の中でも、日本国内の活動に対する支援をご紹介します。
美術・音楽など、ジャンルを問わず幅広い支援活動が行われています。
※情報は2019年10月25日時点のものです。
目次
【美術】公益財団法人損保ジャパン日本興亜美術財団
公益財団法人損保ジャパン日本興亜美術財団は、東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館を運営している財団です。
1976年6月に美術館を運営するために設立され、美術作品の収集や保存だけではなく、新進の創作の奨励など、幅広い活動を行っています。
中でも注目したい取り組みが、新進作家の美術活動を奨励するために行われている、表彰事業や公募形式のコンクールです。
ACE 損保ジャパン日本興亜美術賞
年齢や所属を問わず、将来国際的にも通用する可能性を秘めた作品を先行し、入選・受賞作品を表彰しています。
入選・受賞作品のための「FACE展損保ジャパン日本興亜美術賞展」を開催しているだけではなく、グランプリ受賞作品は東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館で所蔵し、次回の展覧会などで展示を行っています。
さらに、数年に1度受賞作家のグループ展を開催。
新しい才能が生み出すフレッシュな作品に触れる機会を提供するとともに、若手アーティストの活動をバックアップしています。
ACE 損保ジャパン日本興亜美術賞東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
【美術・音楽・演劇】公益財団法人東京都歴史文化財団
公益財団法人東京都歴史文化財団は、東京の芸術文化の振興に寄与することを目的に設立されました。
そのため、東京都との共同事業も多くあります。
美術館の運営や多彩な事業を行っており、アーティストやクリエイターへの支援だけではなく、都民が芸術に触れる機会を多数創出しています。
都民芸術フェスティバル
中でも注目したいのが、「都民芸術フェスティバル」です。
東京都が昭和43年度にスタートした文化事業を、平成20年度から都と公益財団法人東京都歴史文化財団が共催しています。
活動拠点を都内において舞台芸術の創造活動をおこなっている団体に対して、助成金や負担金の交付をしています。
これにより、公演内容の充実を図るだけではなく、入場料金を安くすることで、したくさんの都民が様々な分野の作品に触れることができるようになります。
アーツカウンシル東京
アーツカウンシル東京は、東京芸術文化評議会での政策提言を踏まえて、東京都の芸術文化政策のもとで事業を実施するために設立されました。
芸術文化支援事業や人材育成事業を手掛けています。
また、東京芸術文化創造発信助成や東京地域芸術文化助成などの、多彩な助成を行い、アーティストやクリエイターの活動をサポートしています。
【美術・音楽・演劇】一般財団法人地域創造
一般財団法人地域創造は、文化・芸術の振興によって創造性豊かな地域づくりを目的として1994(平成6)年に設立されました。
地域における文化・芸術活動を担う人材育成や、各種支援事業などを実施しています。
地域の文化・芸術活動助成事業では、創造プログラムや研修プログラムを行い、地域の文化・芸術活動をバックアップしています。
また、地域伝統芸能等保存事業では、映像記録保存や保存・継承活動支援等を行っています。
アーティストやクリエイター、そしてパフォーマーへの支援はたくさんありますが、地域伝統芸能に関するものは少なく、貴重な取り組みといえます。
人材ネットバンク
登録されたコーディネーターやアーティストを検索することができるサービスです。
個別ページには、プロフィールや活動歴だけではなく、連絡先が記載されているので、直接連絡を取ることができます。
特に注目したいのが、地域の公共ホール等で行う芸術文化事業を担当するコーディネーターの検索です。
こうした専門人材の検索サービスは珍しく、セッションや専門分野で適切な人材を探すことができます。
個別ページには、所属やプロフィール、そして講義名などが掲載されています。
コーディネーターの個人情報は公開されていませんが、連絡先請求書で一般財団法人地域創造に問い合わせることで、内容に問題がなければ詳細を受けられます。
利用は地方公共団体などに限られてしまいますが、公共のお仕事をする際に役立ちますので、覚えておいてください。
【芸術・伝統・食文化】公益財団法人全国税理士共栄会文化財団
平成3年に設立された公益財団法人全国税理士共栄会文化財団は、地域文化の振興を目指して地域文化活動の支援を行っています。
助成制度
特に注目したいのが、多彩な活動を行っているクリエイターへの助成制度です。
助成の分野は、「芸術活動分野」「伝統芸能分野」「伝統工芸技術分野」「食文化分野」の4つで、個人・団体を対象としています。
応募にあたって、、税理士会及び税理士協同組合並びに税理士等、指定された団体・個人からの推薦状が必要です。
助成金は1件当たり50万円を限度としており、応募内容を審査し具体的な助成額が決定されます。
助成には条件があり、海外での活動は対象にならないので注意が必要です。
2019年度・第29期助成募集要領(公益財団法人全国税理士共栄会文化財団)
【その他】Arts and Law
2004年に発足したArts and Lawは、アーティストやクリエイターに対する法的なサポートを行っているNPO法人です。
無料相談や無料もしくは低価格で受講が可能なアーティストやデザイナー向けの法律セミナーを開催しています。
無料相談窓口
弁護士等の国家資格を所持した専門家相談員が、無料で相談を受け付けています。
2次創作のライセンスから作品の権利に関すること、そしてギャラリーとの契約など、クリエイター活動に関する法的な相談に対応しています。
税務に関する相談や、ビジネスマター・助成金申請代行の相談、そして相手方当事者等から相談の申込がある場合には利益相反の可能性があるので、相談を受け付けることができません。
また、1回の相談につき1回の対応で、異なる内容の相談であっても年に2回の利用上限があります。
専門家相談員はボランティアで、本業があるため、回答に時間が掛かることがあるので注意が必要です。
相談は面談のほか、電話やメールそしてSkypeを活用することもできます。
アーティスト人材データバンクも!財団によるクリエイター国内活動支援情報 まとめ
財団やNPO法人によるアーティスト・クリエイター支援は、国内だけに目を向けても多数あります。
多彩な団体が、多様なバックアップをすることで、アーティスト・クリエイターの活動の幅が広がるのは素晴らしいことですね。
日本の芸術やクリエイターの評価が国内外で高まっているのも、国や自治体だけではなく、こうしたバックアップがたくさんあるからかもしれません。
素敵なアーティスト・クリエイターとの出会いのために、これらの取り組みに注目してみませんか。