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国運営のデザイナーデータベース「JAPAN DESIGNERS」と日本のデザイン政策~ 自治体によるクリエイター支援シリーズ〜

国運営のデザイナーデータベース「JAPAN DESIGNERS」と日本のデザイン政策~ 自治体によるクリエイター支援シリーズ〜

国や地方が主導となって、クリエイター支援を積極的に行っているのをご存知でしょうか。

「打合せが必要だから、近くの方や会社に発注をしたい」とお考えの方のために、国や地方が行っているクリエイター支援をシリーズでご紹介します。

主催団体によっては、ビジネスマッチングだけではなく、多彩な取り組みを行っていますので、是非参考にしてくださいね。

今回は国の取り組みをご紹介します。

経済産業省によるデザイン施策に関する発表内容や、経済産業省商務・サービスグループクールジャパン政策課デザイン政策室がバックアップしている、国によるデザイナーデータベース「JAPAN DESIGNERS」などについて触れています。

現在デザインに関わる仕事をしている人以外にも参考になる情報ばかりですので、ぜひ今後の経営やクリエイティブ施策にご活用ください。

※情報は2019年9月18日時点のものです。

これからのデザイン政策について

経済産業省の発表した「デザイン政策ハンドブック2018」では、これからのデザイン政策やクリエイティブ産業政策について触れています。

これからのデザイン政策

デザイン政策では、以下の3つが大きな柱になります。

① 経営

国内企業の相対的な競争力の低下や、少子化の進行によって、今後市場の縮小が予測されています。

そんな中で個々の企業が、国内だけではなく世界市場の中で独自のポジショニングを築いていくことが大切です。

そのためには、経営者がデザインを経営の中核に取り込んで、アイデンティティの統合を訴えていくことが重要なポイントになります。

② 教育

デザインを活用できる文化は、単にグラフィックやプロダクトにとどまりません。

サービスや街づくり、そして社会問題の解決などに拡大しているのです。

こうしたデザインを考えることができる人材の育成や教育が大切です。

③ 国際化

日本国内のデザインは、戦後飛躍的に発展し、国内市場の拡大に合わせて成長を遂げてきました。

今後はさらに世界市場に売り出していく必要があります。

そのため、グッドデザイン賞の国際化や海外展示会での情報配信、そしてデザインを通じた国際協力を実施し、世界に日本のデザインをアピールしていくことが重要です。

クリエイティブ産業政策

報告書では、特にクリエイティブ産業の政策についても触れています。

概要は以下のとおりです。

① 日本のクリエイティブ産業

大まかに分けて9つの分野があります。

ファッション・食・コンテンツ・地域産品・住まい・観光・広告・アート・デザインです。

それに携わるモト・コト・ヒトを世界に広げていくことで、それらが体現している日本のライフスタイルや文化を世界に浸透させていくことが大切です。

② 世界における日本の地位の確立

日本がクリエイティブ産業の「本場」としての地位を、国際的に確立することも、重要なポイントです。

「クールジャパン」は定着したものの、必ずしも収益に結びついている訳ではありません。

国内の埋もれたクールジャパンを掘り起こし、海外に向けて発信して「本場」感を醸成し、外需を取り込んで成長させていくことで、クリエイティブ産業を盛りあげていく必要があります。

デザインと経営について

企業経営において、デザインは重要な経営資源のひとつですが、デザインに関する意識が高い経営者は、残念ながらそう多くはありません。

デザインを経営資源と捉えて、戦略的に活用することができる経営者は少ないのが現状です。

そのため、経営者に対して、デザインの価値や重要性を訴求し、経営においてデザインの活用を推進することが大切です。

また、公共経営においても、デザインを国家・地域資源ととらえて、デザインの戦略的な活用を促進することが、デザイン産業の発展支援にもなります。

こうして「デザインを戦略的に活用することで、国内経済及び地域経済の活性化を図ることが重要なポイント」だと報告書は指摘しています。

参考:経済産業省「デザイン政策ハンドブック2018」

中小ものづくり高度化法に基づく各種支援策

中小企業庁では、ものづくりなどに取り組んでいる中小企業に対して、デザイン活動への支援施策を行っています。

支援対象には、デザイン開発に係る技術や精密加工に係る技術、情報処理に係る技術などの12の技術が指定されています。

認定を受けると、研究開発の助成(予算措置)だけではなく、中小企業信用保険法の特例や中小企業投資育成株式会社法の特例、特許料及び特許審査請求料の特例、そして日本政策金融公庫による低金利融資(財投)の対象になります。

参考:中小企業庁「中小ものづくり高度化法ポータルサイト」

この他にも、海外販路開拓支援やJAPANブランド育成支援事業 、伝統的工芸品産業支援補助金、各種デザインコンテストなど、多彩な支援事業を実施しています。

活用できるものがあれば、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

デザイナーデータベース「JAPAN DESIGNERS」とは

先ほどご紹介した国の政策を受けて運営されているのが、JAPAN DESIGNERSです。

JAPAN DESIGNERSは、日本全国にいるデザイナーの情報を、過去の仕事や受賞歴などから検索することができるデータベースです。

全国のデザイナーを対象にした出たベースは国内唯一(経済産業省発表)です。

無料で利用することができます。

日本語だけではなく英語にも対応しており、国内のみならず海外にも積極的に情報を配信しています。

依頼主はクリエイターの名前、住所などの個人情報や、ポートフォリオを閲覧して、直接コンタクトを取ることができます。

クリエイターは、事業趣旨に賛同している団体などに登録している個人に限られており、厳選されたクリエイターが登録しています。

このデータベースは経済産業省の事業の一環で、AODJ (Ambassadors of Design, Japan) が制作、日本デザイン団体協議会 が管理・運営をしています。

利用上の注意

デザイナーの情報は、登録された記載内容がそのまま公開されています。

そのため、デザイナーとの取引の可否や内容については、JAPAN DESIGNERSは責任を持たず、当事者間の判断によるものとなります。

また、データベースを利用したことで、トラブルや訴訟が生じた際にも、JAPAN DESIGNERSは、一切の責任を負いません。

デザイナーとの商談で、料金が発生るするタイミングは、デザイナーによって異なりますので注意が必要です。

トラブルを避けるためにも、仕事を依頼する前に諸条件の確認やすり合わせを行い、認識の齟齬がないようにしましょう。

デザイナー検索方法

デザイナーの検索は、「デザイナーを見つける」もしくは「フリーワード検索」で行うことができます。

デザイナーを見つけるをクリックすると検索窓が開き、都道府県やデザイン支援内容・デザインするものなど、多彩な項目からクロス検索を行うことができます。

デザイン支援内容には、デザインのみの発注だけではなく、デザインと製造や製造先のコーディネート、セールスプロモーション支援などの項目もあります。

対応言語や保有資格、国内外の受賞歴なども指定することができるので便利です。

登録デザイナー数は645名です。

「商標、ロゴマーク、シンボルマーク」に対応できるデザイナーを検索すると、399のデザイナーが検出され、「新着順」「登録順」でソートすることができます。

JAPAN DESIGNERS

国運営のデザイナーデータベース「JAPAN DESIGNERS」と日本のデザイン政策~ 自治体によるクリエイター支援シリーズ〜 まとめ

日本では、国を挙げてデザイン・クリエイティブに対する政策を実施し、継続して支援を行っています。

支援は、国内だけではなく、海外での活動も対象になるケースもあります。

ご紹介したものは支援や施策のほんの一部です。

あまり知られていない支援や施策も多くありますので、仕事を発注する前に調べてみてくださいね。

素敵なクリエイターとの出会いがありますように。