ロゴマークを作成する際に、一部の限られた人だけで進めてしまってはいませんか?
ロゴマークの特性上、どうしても情報を囲っておきたくなるものですが、そのために起こる弊害もあります。
ここではロゴマークを担当者だけで決めるべきではない理由とともに、第三者に入ってもらう際の注意点も合わせてご紹介します。
目次
1.一部の意見に引っ張られる可能性がある
限られた人数でロゴマークを決めようとすると、どうしても権力のある一人の意見に左右されてしまう可能性が高くなります。
たとえ担当者全員の関係性が平等であったとしても、どうしても発言力があったり影響力が強かったりする人の意見に流されてしまいがちです。
その結果、会社の意見ではなく「その人の意見」が色濃く反映されたロゴマークが生まれる危険があります。
専門家が誰もいないからこそ起こる失敗
こうした失敗は、ロゴマーク作成だけの話ではありません。
会社という上下関係のある環境では、企画案の選定などにおいてもこうした「忖度」が生まれがちです。
もちろん、こうした方法でうまくいくこともあります。
しかし多くの場合、権力がある人以外にも専門的知識を持った人がいるものです。
また各部署や社長などトップに立つ人間がしっかりとしたロジカルを持っていることが多く、どこかでストップがかかります。
しかしロゴマークの場合、専門家が部署の中にいること自体が少ないのが実情です。
外部のデザイナーやデザイン会社に作ってもらったものや、社内・一般公募で集まったものから、なんとなく良いと思ったものを選ぶ、という工程を経る会社が多いのではないでしょうか。
ロゴマークにどのような情報をもたせるべきか、何を大切にしなければいけないのかなどがよくわからない状態で選んでしまうと、どうしてもメッセージ性に乏しいものが生まれてしまいます。
選定する人数が少なければ少ないほど、異論を唱える人が少なくなるため、こうした状況に陥りやすくなるのです。
基準の明確化と客観的かつ論理的に選ぶことが大切
このような失敗を防ぐためには、ロゴマーク選定の際の基準を明確に持つこと、そして客観的かつロゴマーク作成の意図を読んで論理的に選ぶことが大切です。
選定基準は、ロゴマーク公募の際に決めることが多いと思います。
主な項目を挙げてみましょう。
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- 会社が伝えたいメッセージが第三者に伝わるデザインになっているか
- 汎用性が高いか
- (他に会社を象徴するマークやカラーがある場合)統一感があるか
また、客観的にロゴマークの良し悪しを判断することも必要です。
第三者の目が必要なポイントはここにあります。
どうしても難しい場合は、インスピレーションではなく、何日か間を空けて再度チェックするという方法もあります。
最初に見た気持ちが薄れたタイミングで再度チェックすることで、より客観性の高い判断ができるはずです。
2.第三者の持つ印象がわからない
ロゴマーク選定の担当者は、おそらくほとんどが社員で構成されているでしょう。
しかし、実際にロゴマークを見て商品を買ったり、会社のことを知ったりするのは、会社のことを知らない第三者です。
彼らがロゴマーク案を見た時にどのような印象を持つのか、社員だけではなかなか推し量れないため、客観性が失われる可能性があります。
第三者から見ても目的が達成されているかを確認する
会社の認知を高める、イメージチェンジ、ブランド力を高めるなど、ロゴマークには作成の目的があるはずです。
これらの目的が達成されているかどうかは、第三者に聞くのが最も安心です。
とはいえ、まだ作成段階のものを一般の人に見てもらうわけにはいきませんよね。
そんな時は、作成に関わっていない社員数人に意見を聞くのがおすすめです。
ロゴマークの目的意図などを知らせずにデザイン案を見てもらい、どのようなイメージを持つのかを聞いてみるのです。
それぞれの意見が目的に沿ったものであれば、おそらく一般の多くの人も同じように感じるでしょう。
そうでない場合は、再度検討する必要があります。
部署は違っても、社内の人間ですので守秘義務は発生します。
そのため情報漏えいの心配も、一般の人に公開するよりも少なくなります。
第三者に確認してもらう際の注意点
こうした点を踏まえると、ロゴマークは作成に携わる人以外の第三者に見てもらうほうが、より良いものを選定できる可能性が高くなると言えます。
しかし、ロゴマークは会社や商品を象徴するものです。
そのため作成中のものを出すということ自体、リスクがあるという認識は持っておかなければなりません。
では第三者に確認してもらうためには、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
押さえておくべきポイントを3つご紹介します。
1.情報漏えいに注意
選定にかかわる第三者に誓約書を書いてもらうなど、情報が社外にもれないように注意しましょう。
何よりも怖いのが情報漏えいです。
「こういうロゴマークが候補に上がっているらしい」という情報が外部に出てしまうと、デザインが真似されるといったリスクだけでなく、今後の会社の方針やキャンペーンのタイミングまで推察されてしまう可能性があります。
すでに世の中に出回っているデザインが真似されたのであれば、何かと対策の方法はあります。
しかし、まだ知られていないデザインを先に使用されてしまうと、打てる対策がほぼなくなってしまいます。
また多くの場合、ロゴマークのデザインやメッセージに合わせて商品開発が行われますし、発表に合わせたキャンペーンなども実施されます。
ロゴマークの情報が漏れてしまうと、こうした情報も競合に知られてしまう可能性が高いのです。
情報漏えいを防ぐ方法
こうした事態を防ぐためには、選定にかかわる第三者に書面等で情報漏えいしないことを成約してもらうという方法があります。
また、公開範囲を広げすぎないというのもポイントです。
ある程度の人数に見てもらえれば、傾向はつかめるものです。
選定の際の公開は最低限の人数に留めるなどして、情報漏えいのリスクを減らしましょう。
2.素直な感想が言える環境を作る
第三者がロゴマークを見て感じた思いを率直に言えるような環境を作ることも、大切なポイントです。
ロゴマークに関しては第三者であっても、作成に関わる人物と明らかな利益関係があるとか、意図的にひとつのロゴマークに好意的な意見しか言えないような環境では、第三者に見てもらう意味がありません。
第三者に求めるのは、客観性だけでなく「ロゴマークを見た時の素直な感想」です。
ターゲットである消費者の代わりに、客観的な意見を伝える役割を担ってもらうのが本来の目的なので、それを阻害するような行為や環境に置かれていると判断した場合は、ただちに中止するほうがいいでしょう。
3.意見はあくまで参考程度とする
第三者の意見は大切ですが、あくまで参考です。
すべての消費者の意見を代表しているわけではありませんし、会社の思いもあるでしょう。
第三者が選んだものが絶対だという思いは持たずに、あくまで参考のための確認であることを担当者全員が肝に銘じておきましょう。
ロゴマークを担当者だけで決めないほうがいい2つの理由と注意点 まとめ
ロゴマークは会社の第二の顔といっていいものですが、最終的にイメージを判断するのは消費者や取引先です。
選定の際には客観的な視点を持つとともに、可能であれば第三者の目を入れることをお勧めします。
その際には情報漏えいに気をつけるとともに、第三者の意見に左右されすぎないことも大切です。
ロゴマーク作成の際の参考にしてみてください。