自治体の取り組み・民間サービス

資料から読み解く日本のクリエイティブ産業支援の動きまとめ〜コンテンツ産業編〜

国によるクリエイター支援~コンテンツ産業編~

国や地方が主導をして、クリエイターやクリエイティブに対する支援を行っているのをご存知でしょうか。

デザインのコト。では、「対面での打ち合わせをしたいので、近隣の方や企業に発注をしたい」とお考えの方のために、国や地方が行っているクリエイター支援をシリーズでご紹介しています。

今回は、経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課の「コンテンツ産業政策について」に基づき、日本のコンテンツ産業政策について触れます。

コンテンツ産業に携わっている人だけではなく、クリエイティブなお仕事を外注したい方も注目したい取り組みがありますので、ぜひご一読ください。

※情報は2019年12月24日時点のものです。

コンテンツ産業政策の目指す方向性

国内のコンテンツ産業市場規模は、現在横ばいで推移しています。

しかし、海外市場規模は2014年の67.7兆円から2020年には84.9兆円に成長すると見込まれています。

コンテンツ産業の抱える課題

コンテンツ流通のグローバル化によって、良いコンテンツは世界で売れる可能性が広がりましたが、その分競争が激化しています。

またコンテンツだけではなく、グッズの商品化や二次配信などのコンテンツ周辺産業の拡大が行われていますが、「クリエイターの裾野拡大などをはじめとした、産業全体の持続可能性への投資が不足している」という課題もあります。

中長期的な方向性

中長期的な方向性として、「稼ぐ力の向上」と「コンテンツ産業の競争力強化」が目標として掲げられています。

稼ぐ力の向上では、国内のビックタイトルを世界に向けてアピールし、世界のビックタイトルへ昇華させ世界中の市場でしっかりと稼ぐことができることを目指します。

コンテンツ産業の競争力強化では、10年後や20年後を見据えて、コンテンツ産業の裾野拡大や持続可能性を高めるためます。

そのために、中堅・中小企業やクリエイターなどへの還元や再生産を行うエコシステムの構築や、VR/ARに代表される新技術への取り組み支援を行っていきます。

コンテンツ海外展開支援

日本では「J-LOP事業」を2013年から5年にわたって行い、コンテンツの字幕・吹き替えなどのローカライズや国際見本市への出展などを支援してきました。

その結果、海外売上増加額は1,916億円にのぼり、新規海外展開は506事業者になりました。

政府は、「海外における認知度向上、日本ブーム創出に一定程度成功」という評価を出しています。

しかし、クリエイターや中堅・中小のアニメ制作会社は、業界構造や資金力の問題がありコンテンツ産業の裾野を広げるには至っていません。

また、インターネット上の海賊版被害は国内外を問わず拡大しており社会問題として取りあげられています。

そこで政府は、「新たなコンテンツを生み出すクリエイター等への支援」と「海外展開におけるクリエイター等の正当な対価の確保を行う取組の支援」を実施して、コンテンツエコシステムの構築を目指します。

インバウンド型クールジャパン推進事業

画像引用元:経済産業省商務情報政策局コンテンツ産業課「コンテンツ産業政策について」

2018年には、インバウンド型クールジャパン推進事業の中で「クリエイターを中心としたグローバルコンテンツエコシステム創出事業」に30億円が投入されました。

グローバルな集客につながるような、魅力的なコンテンツ制作を担うクリエイターを中心としたエコシステムの創出を目指した取り組みです。

「クラウドファンディングなどによって新しい資金調達を活用しコンテンツ企画製作や海外プロモーション」に取り組んだり、「海賊版に対抗するために世界同時展開の取り組みに対し支援」を実施したりしています。

日本のクリエイティブ産業は年々拡大を続けていますが、政府や自治体による地道な支援がその陰にはあるのです。

国内だけではなく、グローバルな展開をバックアップしてくれるのは嬉しいポイントといえます。

オンライン上の海賊版(侵害コンテンツ)対策

オンライン上の海賊版対策は、著作権を持つ個人や企業だけではなく、国ぐるみでの対策が必要です。

配信者側に対して資金源遮断や運営者などへの削除要請を実施。

国民への啓発活動など視聴者側への働きかけもしています。

また、海外政府等への働き掛け(協力要請)や、技術的保護手段の研究なども進められています。

コンテンツを配信するだけではなく、保護する取り組みも積極的に行っているのは嬉しいポイントといえます。

コンテンツビジネスマッチング:Japan Content Showcase(JCS)

毎年10月に開催される、映画・TV番組などの放送・音楽・アニメなどを扱っている国際見本市です。

東京国際映画祭(TIFF)の併設マーケット「TIFFCOM」と、東京国際ミュージックマーケット「TIMM」、東京国際アニメ祭「TIAF」の3つの合同マーケットです。

コンテンツの魅力を海外にアピールするだけではなく、他産業との連携を促進し発信力強化をするとともに、コンテンツ産業全体の海外展開促進を目標としています。

会場ではセミナーやライブが行われ、国内外から沢山の人が集まります。

2014年には商談件数が5,699件でしたが、2016年には6,805件と着実に増加。

出展は国内だけではなく海外の企業も多く、国内外のコンテンツに触れることができる注目のイベントです。

コンテンツビジネスに興味をお持ちの方や、海外のコンテンツに触れたい方、そして国内の新しいコンテンツをお探しの方にピッタリです。

Japan Content Showcase

【官民ファンド】クールジャパン機構(株式会社海外需要開拓支援機構)

クールジャパン政策の一環として平成25年11月に設立された官民ファンドです。

リスクマネーの供給や、海外でのビジネスモデルの構築、海外展開できる人材の育成をすることを目標としており、日本の経済成長のために投資を行っています。

国内投資だけではなく、アウトバウンド投資・インバウンド投資を行い、3つを柱としています。

特に「海外向けジャパンコンテンツネット販売」「海外向けエンタテインメント番組作成」「ジャパンコンテンツのローカライズ」など、コンテンツ関係投資を積極的に実施。

コンテンツやクリエイターの海外展開を資金面でバックアップしています。

海外展開を視野に入れた際、資金調達は大切な問題のひとつです。

リスクマネーをクールジャパン機構が投資することで、民間企業の呼び水になる可能性もあります。

グローバル展開をお考えの方や、グローバルなフィールドへ羽ばたこうとしているコンテンツに注目したい方は、ぜひクールジャパン機構の取り組みにご注目ください。

クールジャパン機構

国によるクリエイター支援~コンテンツ産業編~ まとめ

ご紹介したように、日本ではコンテンツ産業の世界進出を多彩な取り組みで支援しています。

国内外で活躍中のクリエイターやコンテンツだけではなく、これから海外展開をしていく新しい才能や魅力的なコンテンツに出会うチャンスです。

今後も継続してさまざまな取り組みが予定されていますので、最新情報をチェックしてみてくださいね。