クリエイティブの力を使って、地方創生を行っている自治体が増えています。
国や自治体が、それらを資料にまとめ、発表を行っているのをごぞんじでしょうか。
デザインのコト。では、こうした興味深いクリエイティブ産業の資料をシリーズで紹介しています。
今回は、内閣府地方創生推進事務局が発表した『稼げるまちづくり取組事例集 「地域のチャレンジ100」』に触れます。
クリエイターやクリエイティブを活用した稼げるまちづくりをしている自治体には、クリエイターが多く集積しています。
クリエイターだけではなく仕事を依頼したい方も必見です!
※情報は2019年12月9日時点のものです。
目次
【石川県金沢市】官民が連携した町家・空きビル流通の仕組みづくりによる移住・起業の拡大
400年以上続いている古い街並みに、伝統的な建物が多く残る金沢市。
町中の空きビルを有効活用するために、市と商店街や不動産会社、そして株式会社金沢商業活性化センターなどが連携を行い、遊休不動産が流通する仕組み作りを行いました。
物件の紹介だけではなく、町屋の修繕や契約の補助、空き店舗への出店に対する経営相談などをワンストップで実施し、移住や起業を積極的にバックアップしています。
ソフト・ハード両面での積極的な支援が功を奏し、「県外からの金澤町家購入・賃貸成約件数」は、累計で平成26年の3軒から平成31年の13件まで増加しました。
今後の取り組みとして、首都圏居住者に対して狙いを定め、蒔絵や和菓子などの伝統工芸や、金沢ならでは暮らしを紹介して、クリエイター等の移住を促していきます。
クリエイター等のための事務所等開設に対する奨励金及び補助金
石川県では、県外で活動しているクリエイター(個人・団体問わず)が、金沢市に新しく事務所などを開設する際、初期費用や賃料の一部を助成しています。
事務所開設奨励金として50万円の助成を受けることができるだけではなく、事務所賃貸借料補助として1年で50万円、2年で100万円の助成を受けられます。
石川県では、ものづくりに対して多彩な支援を行っており、先ほど触れた首都圏からの移住支援もあるので、今後さらにクリエイターの集積が見込まれます。
【静岡県浜松市】若者のアイディアによる空き店舗活用や個性ある店舗誘致による商店街の再生
2009年ごろから、中心市街地にある「ゆりの木通り商店街」において、空き店舗を学生やクリエイターなどの企画イベントに活用する試みをスタート。
オリジナリティのある出店が増加し、リノベーションによる賑わいづくりや、既存ビルの遊休スペース活用などの取り組みと合わせて、新しい来街者が増加しました。
「創造都市・浜松」推進のための基本方針
浜松市は、グローバルなフィールドで活躍する起業家や産業技術を輩出してきました。
さらに人材や技術の集積を促進し、それを活かしたまちづくりに取り組んでいます。
芸術家やデザイナーなど、クリエイティブな仕事に携わる人々が中心となって、市民の創造性により産業の発展を促すだけではなく、環境や教育そして福祉の問題解決を図っています。
浜松市を創造都市へと牽引するプロジェクト
浜松市は、創造都市への取り組みについて触れる中で、「創造性を高めるイベントの実施」「アーティスト・クリエイターが活動しやすい環境づくり」など、多彩なクリエイター支援を行っていくことを示しています。
中でも注目したいのが「起業支援、中小企業とのマッチング」です。
創業や産業化の支援を行うコーディネーターを配置するだけではなく、「アーティストバンク(アーティスト登録制度)の創設」や「廃工場や空きビル等既存施設のリノベーションやコンバージョンによる活動拠点整備の仕組みづくり」に取り組みます。
浜松市では、クリエイティブの力を早くから評価し、活用したまちづくりをすすめており、長年の努力が実を結んだといえるでしょう。
【福岡県北九州市】遊休不動産の再生を通じた新しいコンテンツの創造によるまちづくり
北九州市では遊休不動産を再生し、質の高い雇用を創出することで、産業振興だけではなく、コミュニティ再生につながる「リノベーションまちづくり」を推進しました。
官民が連携し包括的な支援を行うことで、創業・雇用が増加しています。
メルカート三番街は2011年に、若手クリエイターのスタートアップ拠点としてリノベーション後にオープン。
成功事例を横展開することで、高い事業効果を得ることができました。
「新規創業・雇用者数445名(内、新規創業者200名)」さらに商店街の通行量は3割も増加したそうです。
北九州市新成長戦略
北九州市は、「日本一起業家にやさしいまち」を目指し、ベンチャー企業の創出と育成を重要な戦略のひとつとしています。
平成28年に改訂された「北九州市新成長戦略」の中でも、創業支援やクリエイティブの力を使った施策が多数見られます。
「起業家が生まれやすい風土を醸成」「デザインシンポジウムや勉強会の開催を通じた、企業とデザイナーが出会う場の創出」など、クリエイターにとって嬉しい取り組みが多数。
クリエイターの活動しやすい環境が整備されています。
【大分県別府市】温泉とアートを核としたまちづくりによる新たな観光客の獲得と移住促進
NPO法人「BEPPU PROJECT」が中心となって、文化事業を手掛けたり企業と連携して都市ブランドの情報発信を行っています。
その結果、若年層や女性などの新しい環境客が増加するとともに、クリエイターの移住・定住も促進されました。
国内観光客の消費額が平成26年には89,929百万円でしたが、平成31年には98,293百万円になりました。
また、転入者数は5,483人から5,619人に増加しています。
クリエーター専用アパートや短期滞在施設の運営を行っており、アート関係の移住者が平成21年以降約120名と、クリエイターの集積がすすんでいます。
クリエイター専用アパートでは、交流会などのイベントの開催を行い、入居者の地域コミュニティへの参画も促しています。
別府市南部振興基本計画
平成30年度に策定された別府市南部振興基本計画では、クリエイターに対する多彩な支援について触れています。
「空き家・空き店舗を活用した新たな担い手人材の誘致」では、空き家をリノベーションしてお試し移住施設を整備。
起業家やクリエイターなどの活動を支援し、エリアの価値を高めていく取り組みを実施。
また、「ものづくり・ひとづくり拠点形成」でも、クリエイターなどの創作活動や展示の場の整備を行い、ひとづくりの拠点形成を図っています。
別府市では、こうしたクリエイターのための取り組みが多くみられます。
今後もクリエイターにとって注目したいエリアといえます。
稼げるまちづくりの取り組みとは?内閣府の資料から読み解くクリエイティブ産業 まとめ
クリエイティブの力を使ったまちづくりに取り組む自治体は数多くあり、成功例はご紹介した以外にもたくさんあります。
また、クリエイターの力をいかすために、ビジネスマッチングの支援を積極的に行っている自治体もみられました。
これらのエリアでは、クリエイターの活動しやすい環境が整備され、クリエイターの集積がさらにすすむと予測されます。
皆さんもぜひ、注目してみてくださいね!