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著作権・意匠権・商標権って何?非デザイナーも知っておくべき基本を押さえよう

著作権・意匠権・商標権って何?非デザイナーも知っておくべき基本を押さえよう

2020年の東京五輪・パラリンピックまであと1年。

街中では関連広告やお土産物などの商品をよく見かけるようになりました。

そのため「自分も一緒に盛り上げたい」と、この機に便乗して公式エンブレムを勝手に会社のホームページに掲載してみたり、オリジナル商品作って販売しようかと思っている人もいらっしゃるかもしれません。

そんな時にチェックしたいのが著作権や意匠権、商標権です。

今回は東京五輪・パラリンピックのエンブレムを例として、知的財産権でデザインに関係する著作権や意匠権、そして商標権について解説していきます。

著作権・意匠権・商標権とは

最初にそれぞれの権利について説明します。

著作権

「著作物」とは、自分のアイディアや気持ちを模倣することなくオリジナル作品として、言葉や文字、色や形、音楽や映像で表現したもののことをいいます。

著作権とは、それを創作した「著作者」を守る権利です。

著作物の対象となるものとしては、絵画、写真、小説、楽曲などがあり、大会マスコットのイラストや公式エンブレムも含まれます。

意匠権

大量生産を行う工業商品を製造するために創作された形や色、模様などのデザインを守る権利です。

そのデザインを独占して使用することができるのは、この権利があるからです。

メリットとしてコピー商品や類似商品などの模倣品を、意匠権という強制力で排除できることが挙げられます。

そのためひとつのデザインを核として商品をブランド化することができるのです。

商標権

事業者が取り扱う商品やサービスを、他社のものと区別するために、名前やロゴといった商標を独占できる権利です。

数ある商品やサービスの中から、消費者が購入の決め手としてブランドを重要視していることは少なくありません。

そのためイメージとなる目印を守る権利ともいえます。

著作権・意匠権・商標権の違い

それぞれの権利について、対象となるモノや対象期間などの違いについて整理します。

対象となるモノ

  • 著作権:人の感情を表現した、この世に1つしかない創作物
  • 意匠権:オリジナリティがあり、かつ実用的な工業製品の美的デザイン
  • 商標権:商品やサービスのイメージを作る目印

権利の発生時期

  • 著作権:著作物を創作した時点
  • 意匠権:特許庁へ意匠登録をした時点
  • 商標権:特許庁へ商標登録をした時点

対象期間

  • 著作権:著作物創作から、著作者の死後70年まで
  • 意匠権:意匠登録をしてから20年
  • 商標権:商標登録をしてから10年

権利にかかるコスト

  • 著作権:無料
  • 意匠権:意匠出願時に12万円程度、意匠登録時に10万円程度、権利維持のために31万円程度
  • 商標権:一番安い場合でも、商標出願時に5万円程度、商標登録時に5万円程度、権利維持のために4万円程度

※価格は2019年6月30日時点のものです。

権利の強さ

  • 著作権:弱い

著作物の存在を知らずに偶然同じものができた場合には、行使することができません。

  • 意匠権:強い

意匠権の存在を知らずに、偶然同じものができた場合でも行使することができ、差し止め請求や損害賠償請求ができます。

  • 商標権:強い

商標権の存在を知らずに、偶然同じものや類似したものができた場合でも行使することができ、差し止め請求や損害賠償請求ができます。

五輪公式エンブレムは使用できるか

率直に申し上げると、以下企業や団体以外における公式エンブレムの使用は認められていません。

  • 競技大会組織委員会に使用が認められた大会スポンサー
  • 新聞・雑誌・テレビなどの報道機関
  • 開催都市や各府省、開催会場の自治体など

「バレないから」「わからないから」と模倣品を作って売ってしまうと、法律に反していることになるので、刑事罰が科されることになります。

では、なぜ勝手に公式エンブレムが使用できないのかを、前述した知的財産権の権利から説明していきます。

著作権の観点から見た見解

公式エンブレムには創作時点から著作権が発生しています。

この著作権については、日本において日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)、および東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020)が管理を担当しています。

そのため、これらの団体からの承諾を得ないと使用することはできません。

もし、承諾を得ずに使用した場合には、著作権侵害行為とみなされ、差し止め請求や損害賠償請求の対象となります。

また刑事罰として、10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金が科せられます。

商標権の観点から見た見解

公式エンブレムはすでに商標登録されています。

この商標権に関しても、著作権と同じように、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)、および東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020)が管理を担当しているため、承諾なしでは使用は不可能です。

こちらも承諾を得ずに同一もしくは類似したものを使用した場合には、商標権侵害行為とみなされ、差し止め請求や損害賠償請求の対象となります。

また刑事罰として、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金が科せられます。

著作権・意匠権・商標権って何?非デザイナーも知っておくべき基本を押さえよう まとめ

全世界が魅了する五輪・パラリンピックは公共性が強いものかと思われがちです。

しかし実際は、大会スポンサーが出資した協賛金により各プログラムが行われており、彼らに公式エンブレムをはじめとする各商標やロゴなどの知的財産の使用権が与えられています。

それゆえ、認められた企業や団体以外は使用できません。

何度も申し上げますが、便乗してこれらを勝手に使用すると知的財産権侵害行為となるので注意しましょう。