デザインを考えるときはもちろん、課題解決の際や物事を一から作り出す際に活用できる「デザインシンキング」。
『課題を解決して新たな価値を生み出すためのスキル』という意味で使われていますが、「デザインシンキング+α」シリーズでは、プラスして知っておくとよい考え方についてご紹介します。
今回は「なぜ」を5回問いかける「なぜメソッド」についてご紹介します。
目次
「なぜメソッド」とは?
なぜメソッドはトヨタ自動車の中で古くから活用されてきた、課題解決のための考え方のひとつです。
その名の通り、ある問題に対して「なぜ」を5回繰り返すことで、気づくことができなかった根本的な問題を発見することができるというもので、「なぜなぜ分析」などと呼ばれることもあります。
例えばアクセス数が高いものの、資料請求の数が少ないWEBサイトがあったとしましょう。
その原因を考える際に「なぜメソッド」を活用すると、このような形になります。
→資料請求ページに行くまでの動線がわかりにくいから2.「なぜ」資料請求ページに行くまでの動線がわかりにくいのか
→資料請求ページのボタンがわかりにくいから3.「なぜ」資料請求ページのボタンがわかりにくいのか
→周りの色と同化してしまっているから
4.「なぜ」周りの色と同化してしまっているのか
→目立つ色を使っていないから
5.「なぜ」目立つ色を使っていないのか
…
これは一例ですが、このようになぜを繰り返すことによって、課題が生まれる真の原因を洗い出すことができるというものです。
「なぜメソッド」はトヨタ自動車の役員や経営者による書籍などでも紹介されており、今ではさまざまな業種で、日本だけでなく世界中で活用される課題解決方法となっています。
「なぜ」は物事を深く考えることができる魔法の言葉
では、なぜこのメソッドによって、隠れた真因を見つけることができるのでしょうか。
それは人が「なぜ」という言葉をきっかけに、物事を深く考えるきっかけを得られるからだと考えられます。
根本的解決は真因を見つけ出すこと
課題には何かしらの原因があります。
しかし、やっかいなことにその原因はひとつでないことが多く、さらに派生した原因が絡み合うことによって、より面倒な課題となってしまうことも少なくないのです。
絡んでくる原因が多ければ多いほど、また課題が発生してから時間が経つほど、真因にたどり着くのは難しくなります。
一度の「なぜ」では真因にはたどり着けない
こうしてすっかり見えなくなってしまった真因を探すのは大変です。
そんな時に活躍してくれるのが「なぜ」という言葉。
「なぜ」と問いかけることで、人は問題を深く考えようとします。
ただし、多くの場合、一度の「なぜ」では真因にたどり着けないことが多いのです。
それは先程ご紹介したとおり、さまざまな要因が絡んでいたり、別の問題が発生していたりするからです。
だからこそ「なぜ」を5回繰り返すことで、森の中をかき分けるように、隠れた真因を少しず白日のもとに晒そうとする行為が大切なのです。
「なぜ」は5回でなくてもいい
ただし、「なぜ」は必ずしも5回である必要はありません。
場合によっては3回で終わってしまうこともあるでしょう。
大切なのは、物事を深く考えることで、真因を見つけ出そうとする行為です。
「なぜメソッド」を活用すべきその他メリット
隠れた真因を突き止めるのに便利な「なぜメソッド」。
実はその他にも、問題を具現化できるというメリットがあります。
これは、「なぜ」と繰り返す過程を図や表で見える化することで、課題がどのような要因をはらんでいるのか、またどのような対策を練らなければいけないのか、問題全体を具体化することができるからです。
図表化することができれば、他人にも問題の内容を伝えやすいですし、客観的に課題を捉えやすくなります。
「なぜメソッド」を活用する際の注意点
課題解決の際に役立つ「なぜメソッド」ですが、注意点やデメリットもあります。
間違った使い方をすると、逆に視野が狭まることもあるので、これらに気をつけながら行うことが大切です。
できるだけ複数人で考える
課題解決に欠かせないのが、多角的な視点を持つことです。
課題があるにも関わらず、一人で考え込んではいませんか?
ひとつの視点だけで物事を深く捉えるのは難しいものです。
逆に多角的に問題を捉えることができれば、さまざまな可能性を考えながら真因について議論することができます。
実は「なぜメソッド」のメリットのひとつは、複数人で考えることで、多角的な視点で物事を深く考えることができるというところにあります。
もちろん、一人で活用するのも良いですが、組織の問題であればあるほど、より多くの人に関わってもらったほうが、真因に近づきやすくなるでしょう。
他にも可能性があることを考慮しておく
万能なように思える「なぜメソッド」ですが、実は欠点もあります。
それは深く考えることによって、その他の可能性に気づけなくなってしまうことです。
だからこそ、「なぜメソッド」は複数人で考えるほうが良いのです。
とはいえ、どれだけ人数がいても、意見が偏ってしまうこともあるでしょう。
「なぜメソッド」を活用する際には、ぜひ他にも可能性があることを考慮しておきましょう。
その可能性を考えておけば、たどり着いた真因が間違っていても、再び多角的に考え直すことができます。
解決によって新たな弊害が生まれることも理解しておく
「なぜメソッド」は課題解決のために良い考え方だとお伝えしました。
しかし、場合によっては導き出された解決法によって、別の弊害が生まれることもあります。
そのため、たとえ真因がわかり、その解決法が導き出されたとしても、その事象を広く捉えて、周りにどのような影響を及ぼすのかなども検討した上で実施するのがよいでしょう。
アイデアが生まれたら「なぜ」を5回繰り返そう!〜デザインシンキング+α〜 まとめ
課題解決のために覚えておきたい「なぜメソッド」ですが、活用シーンやその方法を間違えると、真因までたどり着けないことがあります。
今回ご紹介した注意点を頭の隅に置いて活用することで、よりうまく課題解決ができるようになるでしょう。
アイデア出しや課題解決でお困りの場合はぜひ活用してみてください。