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WEBと紙媒体のデザインは全く別モノ?特徴と違いを知っておこう

WEBと紙媒体のデザインは全く別モノ?特徴と違いを知っておこう

WEBデザインを、紙媒体のデザイナーにも同じように依頼できると思っている方が意外に多いようです。

基本的なデザインスキルはどちらも共通ですが、紙媒体とWEBデザインは制作過程も含めて大きな違いがあります。

今回は、WEBと紙媒体のデザインの特徴と違いについてご紹介しましょう。

紙媒体とWEBデザインの違い:制作編

紙媒体とWEBデザインの違いを制作面から比較してみましょう。

レイアウトの違い

紙媒体の場合は、用紙サイズに合わせてレイアウトを構成するデザインが求められます。

限られた範囲で文字やイラスト、画像などの配置を自由に構成して表現することが可能です。

完成後のレイアウトの構成は固定され、印刷すれば誰がみても同じイメージの印刷物となります。

一方WEBは、デバイスによってレイアウトが異なるため、デザインのあとに表示について検証する作業が必要です。

たとえばスマートフォンは、メーカーや機種によって画面の大きさが違います。

そのためAという機種ではデザインが整っていても、画面の大きさが異なるBという機種で見ると、レイアウトが崩れてしまう恐れがあるのです。

定番のレイアウトも異なる

紙媒体は読む人の視線を意識したZ型のレイアウトが一般的ですが、WEBは縦方向のスクロールを意識したF型のレイアウトが推奨されています。

Z型とは、左右に読み進める形のことで、F型は縦に見る形のことです。

また紙媒体は最も伝えたい情報が目に飛び込むようなレイアウトが好まれます。

一方、WEBは縦にスクロールして見ることから、サイトを訪れた人が最初に目するファーストビューのデザインが重要といえるでしょう。

紙媒体とWEBは情報を提供する媒体が異なるため、レイアウトの構成方法が根本的に違うのです。

フォントの違い

紙媒体では、読者の見え方を意識しながら自由にフォントの種類を選ぶことができます。

しかし、WEBの場合は、データ形式や環境によって見え方が異なるため自由にフォントを選ぶというわけにはいきません。

WEBでは、一般的にゴシック体が推奨されています。

また紙媒体では常識ともいえる字詰めや長体も、WEBでは制作側が調整することはできません。

そのため、どんな環境でも見やすいよう配慮する必要があるのです。

表現する色の違い

紙媒体とWEBでは表現できる色に大きな違いがあります。

紙媒体はCMYKで色を表現します。

CMYKとは、Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)の三原色にKey plate(黒)を加えた色のことで、混ぜるにつれて暗い色合いになる特徴をもっています。

WEBはRGBでディスプレイ画面に色を表現します。

RGBは、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の光の三原色で、混ぜるほど明るい色調になり最終的には白に近づく特徴があります。

紙媒体は、実際に印刷して色の具合を確かめることができます。

そのため微妙な調整ができますが、WEBの場合は、データ形式や表示されるデバイスの環境によって色の見え方や印象が異なるのです。

紙媒体とWEBでは、使用する色の種類に違いがあることを覚えておきましょう。

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サイズの違い

紙媒体は絶対単位のmmであるのに対して、WEBは相対単位のpxとなります。

絶対単位とは環境が変わっても変わらない単位のことです。一方、相対単位は解像度や表示されるデバイスのサイズによって変化する単位を指します。

紙媒体は全体的に、印刷する紙のサイズに合わせたデザインを構成する必要があります。

つまり余白の設定やページ数など、実際に印刷した状態をイメージするデザインが求められるのです。

ただ、印刷する用紙に合わせてフォントの種類やサイズ、文字の幅などは自由に選択することができます。

一方、WEBは基本的にデザインするスペースの制限はなく、サイズは無限ともいえるでしょう。

ただし、文字数やフォントの大きさは、ファイル形式や表示するデバイスの環境によって違いがあるため、あらかじめ指定してデザインすることはできません。

また無限大といっても、一度に見える範囲にはデバイスによって限度があるので、それらを加味したデザインにする必要があります。

校正の違い

紙媒体では、制作過程の段階で校正や修正を行いながら完成を目指します。

最終的に入稿して印刷が終われば制作は完了です。

つまり、制作が完了した後の校正や修正は行えません。

しかしWEBは、更新することで修正作業が行えます。

またWEBの場合はデザインが出来上がっても完了ではなく、コーディングや検証作業が必須です。

グラフィックデザイナーとWEBデザイナーの違い

紙媒体とWEBは、職種によっても区分されています。

紙媒体のデザインをする人はグラフィックデザイナーと呼ばれますが、WEBデザインをする職業はWEBデザイナーと言われます。

デザインに関する基礎知識やスキルには大きな違いはないものの、制作する媒体と工程は全く異なります。

グラフィックデザイナーは主に紙媒体のデザインをするため、視覚的に優れたデザイン能力や技術が求められます。

一方、WEBデザイナーはWEB媒体の構成を前提とした感覚的なデザインが必須です。

基本的なデザインスキルに加えて、HTMLやCSS、JavaScriptといったプログラム言語やコーディングなどの専門知識が必要となります。

紙媒体とWEBデザインの違い:目的編

紙媒体とWEBデザインの目的の違いを比較してみましょう。

ターゲットの違い

雑誌や書籍、ポスターやチラシなどの印刷物は、興味を持った人が見たり、手に取ることで確実に情報を伝えることができます。

そのため紙媒体のデザインは、あらかじめターゲットを定めた状態からの制作が可能です。

一方WEBの場合は、不特定多数の人が目的をもって検索することで情報を伝えることができます。

特に無料で閲覧できるものの場合はターゲット以外のユーザーも多くサイトを訪れることになります。

ただし分析ツールを入れておけば、誰がいつ見たのかを追跡できるため、サイトのアクセスアップなどに活かすことも可能です。

まとめ

紙媒体とWEBは、技術面を含めて制作過程から全く異なる特徴をもっています。

どちらもデザインに関するスキルや経験が必要ですが、情報の伝わり方や目的などを明確にすることが重要といえるのではないでしょうか。

紙媒体には紙媒体の、WEBにはWEBの良さがあります。

両方の特徴をWEBデザインに活かしてみてはいかがでしょう。