2013年頃に国内IT業界で話題になって以降、今では全国各地で商品・サービス開発だけではなく、地域活性やまちづくりの領域まで展開しているアイディアソン・ハッカソン。
ビジネスの場でスピード感が求められている中、アイディアソン・ハッカソンを使わない手はありません。
まだ実態を知らないという方のためにアイデアソン・ハッカソンとは何かをご紹介したいと思います。
目次
アイデアソン・ハッカソンって何?
まず、「アイデアソン」や「ハッカソン」という言葉を見たり聞いたりしたことはありますか?
アメリカで2000年代に話題となり、GoogleやAppleなどの多くの企業でイベントが行われるようになって以降、日本においても2013年頃から段階的に全国各地へ広まっています。
2014年には、アイデアソン・ハッカソンの企画・運営支援を専門に行う企業も設立されました。
今やIT分野の商品・サービス開発だけではなく、幅広い分野の商品・サービスのアイデア出しや商品化、事業化などが期待されています。
アイデアソンとは
アイデアソン(Ideathon)とは、「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」をかけ合わせた造語です。
ある特定のテーマについて、業界や業種関係なく多様なメンバーが集まり、数時間から2日間程度、ディスカッションを行います。
こうして、今までにはないアイデアやアクションプランなどの創出を目的としています。
チームでディスカッションを行うことで、チームの中で交流が深まるため、コミュニケーションの場としての役割も担っているようです。
アイディアソンの場合、エンジニアやデザイナーなどIT業界の方も参加しますが、非IT分野の方でも気軽に参加することができます。
主に地域づくりプランやIT分野以外の商品・サービス開発などのアイデア創出を行うイベントとなっています。
ハッカソンとは
ハッカソン(Hackathon)とは、「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」の造語です。
アイデアソンとは異なり、エンジニアやデザイナー、プランナー、マーケターなどのIT人材だけでチームを作ることが多いのが特徴です。
ある特定のテーマについて、お互い持っている技術やアイデアを使ってサービスやシステム、アプリケーションを開発し、成果を競います。
プロトタイプを作る開発も含まれるため、1日という場合もあれば、1週間集中して行われることも。
アイデアソンとハッカソンは別々に行われることもありますが、同じイベントで行われることもあります。
その場合には、最初にアイディアソンでアイディアの創出を行い、次にハッカソンで実際のプロトタイプを作るという工程で行われています。
「否定」はご法度!
アイデアソン・ハッカソンを行うにあたり、絶対に守らなければならないルールがあります。
「アイデアや意見の否定はしない」ということです。
人はそれぞれバックグラウンドがあり、考え方も感じ方も異なるのは当たり前です。
「自分のアイデアが一番!」、「自分の意見は絶対正しい!」と思う気持ちはわかりますが、他人のアイデアや意見を否定することはやめましょう。
アイデアソン・ハッカソンは討論会ではありません。
次々とアイデアを出し合い、話し合いを重ねることで、より良いアイデアやアクションプランを導き出すことができます。
一度否定をしてしまうと、人はなかなか発言しにくい状況に陥ってしまいます。
アイデアソン・ハッカソンが成功するように、否定はご法度です。
最新技術に触れることができる場合も?!
人口知能(AI)、IoT、フィンテック…新聞やテレビでこれらの言葉を聞かない日はないほど、私たちの生活に浸透しています。
しかし、実際にどのようなものなのかわからないまま使っているという方も多いのではないでしょうか。
IT人材が集まるハッカソンにおいては、これらの最新技術を使ったツールを実際に試すことができることもあります。
また、それらの技術に長けた技術者や講師が参加していれば、直接教えてもらうこともできるので、自身の知識や技術の向上に繋がることもあるのです。
商品・サービス化の実際
アイデアソン・ハッカソンは行えば、行っただけの成果物があります。
ただ、優秀作品賞を受賞しても、なかなか商品として世に出すことが難しいようです。
では実際にこれらのイベントで商品化やサービス化された実例はあるのでしょうか。
林業労働災害VR体験シュミレーター
ハッカソンはIT業界だけではありません。
第一次産業においてもITの技術は使われています。
北海道で行われている「北海道第一次産業ハッカソン」。
このイベントは2015年から行われていますが、2016年のイベントで生まれたアイデアを現場に合うようにブラッシュアップして製品化したのがこのシュミレーターです。
アイデアソン・ハッカソンイベントにおいて、イベント終了後に、商品化までたどり着けるケースが難しい中、VRという最新技術を取り込んだ製品は素晴らしいのではないでしょうか。
イベントがもたらした大きな影響
短期間でアイデアをカタチとして成果物を発表することで、チーム内での交流だけではなく、士気も高まります。
そのため、イベント終了後も仲間意識が高くなり、モノづくりを継続して行うケースもあります。
2013年1月に行われた「ものアプリハッカソン(大阪市)」。
このイベントでたまたま同じチームとなった人達で起業し、子供向けのウェアラブルトイ「Moff Band」を開発しました。
数日間での交流が新しいものづくりだけではなく、一緒に起業してまで作りたいと思わせるハッカソン。
アイディアソン・ハッカソンがもたらす影響は大きいと言えるでしょう。
参考資料:子どもが思わず争奪戦?──国産ウェアラブルおもちゃ「Moff Band」が世界中の親子を魅了する理由 | サイボウズ式
どこへ行けば参加できる?
短期間でアイデアがカタチとなるアイディアソン・ハッカソン。
興味は出てきたけれど、どこでイベントを開催しているのかわからないという方に、2020年3月に行われるイベントをご紹介しましょう。
アイデアソン・ハッカソンは企業が主催しているものもあれば、地方自治体が主催しているものもあります。
まずは気負わずに楽しもうという気持ちで参加してみてはいかがでしょうか。
※2020年2月25日時点の情報です。最新の情報は公式サイトにてご確認ください。
ショッピングアイディアソン
オリンピックイヤーである2020年に最適な企画です。
訪日外国人に日本を楽しんでもらえるような「商店街」や「日本文化」のアイデアを考えます。
小売店の方だけではなく、インバウンドビジネスに興味がある方は参加してみてはいかがでしょうか。
- 日時:2020年3月9日(月)15:30~18:00
- 場所:一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 会議室 (東京都千代田区岩本町)
- 参加費:無料
※2020年3月3日更新:こちらは中止(延期)となっております。今後の予定については公式HPにてご確認ください。
LINE Developer Group Kansai ハッカソン2020
個人間でのやり取りはメールよりもLINEで済ませることが多くなった昨今。
LINEを使ったビジネスは日々進化しています。
LINE ThingsやClova、LINE PayやLINE BRAINなど実際にLINEの技術やサービスに触れながら、理解を深め、それらの技術を使った新しい商品やサービスを開発するイベントです。
ウェブエンジニアやシステムエンジニア、デザイナーやプランナーといったIT人材のみの参加となります。
- 日時:2020年3月28日(土)、2020年3月29日(日)の両日10:00~18:00
- 場所:エフアンドエムネット株式会社 (大阪府吹田市江坂町)
- 参加費:無料
LINE Developer Group Kansai ハッカソン 2020
デザイン力は果たして必要?
アイディアをカタチにするために言葉だけではなく、実際にアイデアを絵にすることも必要です。
絵を書くのが下手だとか、デザインが苦手という方もいるかもしれません。
しかし、アイデアソン・ハッカソンは一人で行うイベントではありません。
チームみんなで行うイベントです。
餅屋は餅屋と言いますが、デザイン力がなくても、デザイン力がある人に任せておけば良いのです。
デザイン力がなくても、アイデアをカタチにするための助言をしたりと、自分ができる十分な範囲でイベントに参加すれば良いと思います。
昨今、簡単にアイデアをカタチにすることが可能なプロトタイプ作成ツールが導入されていることもあるので、高度なデザイン力は不要なのです。
デザイン力は果たして必要?アイディアソン・ハッカソンとは まとめ
アイデアソン・ハッカソンに参加してみると、今まで行ってきた新商品やサービスの開発の長さに唖然としてしまうことでしょう。
長い時間をかけて開発することも必要です。
しかし、短い限られた時間でフルマラソンのように全力を出し切り、アイデアをカタチにすることもできます。
まだ参加したことがないという方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。