私たちの生活を彩り、より豊かにしてくれるインテリア。
これらを手掛けるデザイナーたちは、どんな思いをもち、どのように仕事を勧めているのでしょうか。
今回は世界的に有名なインテリアデザイナーたちについて、その働き方や思いなどを掘り下げていきます。
インテリアだけでなく、デザインに関わる全ての人必見です。
目次
世界的に有名な日本のインテリアデザイナー
剣持 勇
MoMA(ニューヨーク近代美術館)に永久収蔵された日本人デザイナー第一号として知られる剣持勇氏。
彼を有名たらしめたのは、なんといってもホテルニュージャパンのために創られたラウンジチェア「C-3160」でしょう。
世界中からの来賓の労をねぎらい、包み込むような優しい形状は、今も昔も高い評価を得ているすばらしい作品です。
インテリアではありませんが、ヤクルトやジョアの容器など、彼の手掛けたデザインは今でも多くの人に愛されています。
剣持勇氏のデザインのポイント
彼の特徴は、日本の伝統工芸とモダンデザインを融合させたデザインです。
素材の特性を生かすことはもちろん、さまざまな加工技術を熟知し、日本の伝統工芸にモダンデザインをプラスすることで、新境地を切り開きました。
これが「ジャパニーズモダン」です。
先程ご紹介したラウンジチェア「C-3160」だけでなく、天童木工の乾三郎氏とコラボして製作したリビングチェアなども、まさにジャパニーズモダンな作品として知られています。
倉俣 史朗
科学技術を積極的に取り入れた斬新なデザインで、多くの人を魅了した倉俣史朗氏。
その存在は世界のデザイン業界に衝撃を与え、「クラマタ・ショック」と呼ばれるほどのムーブメントを作り上げました。
1986年に発表された「How High the Moon」はエキスパンド・メタルを用い、まるで宙に浮いた状態を再現したような無重力感を再現し、デザイン業界で大きな話題に。
長く愛されてきたフォルムを踏襲しながら、素材を変えることで全く新しい世界観を作り上げたこの作品は、数ある倉俣氏の作品の中でも強い印象を残す作品です。
没後30年にあたる2019年には「復刻・倉俣史朗Ⅰ」展が行なわれ、「How High the Moon」を含めた2作品が復刻されました。
倉俣史朗氏のデザインのポイント
「How High the Moon」に代表されるように、倉俣氏のデザインはアクリルやスチールメッシュなど、当時のインテリアにはあまり用いられなかった素材を好んで使用しています。
こうした素材を用いて、無重力感や儚さを表現しながら、圧倒的な存在感を放つ作品を次々に発表していったのです。
彼の一部の商品は今でも購入できますので、気になる人は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
原 研哉
2020年の東京五輪エンブレムの第一回最終選考で、2位となったことでも話題となった原研哉氏。
彼は無印良品のアートディレクションを手掛けた他、長野五輪の開閉会式プログラムに携わるなど、数多くの実績を残してきたことで知られています。
そんな原氏は、「モノ」よりも「コト」のデザインを重視するデザイナー。
あるインタビューで、彼は「機能するのであればデザインは出しゃばらなくていい」という主旨の話をしています。
デザインは「モノの本質」を表現するためのツールであって、それが十分に果たされているのであれば、その形にはこだわらないというのが、原氏の考えではないでしょうか。
原研哉氏のデザインのポイント
デザインにおいて原氏が大切にしているのは、「知らないということをユーザーに理解してもらうこと」なのだそう。
インターネットを介せばさまざまな情報が手に入る現代ですが、その本質的な意味や詳しい内容まで理解している人は意外と少ないものです。
だからこそ「知っているつもりになっていること」を理解し、まるで新しいものに出会ったような体験をしてもらうことが、体験としてユーザーの記憶に残りやすくなるといいます。
デザインはあくまで伝達の手段であり、本当に大切なのは姿形ではなく、どのように伝えるのかであるということが、よく分かることばではないでしょうか。
渡辺 力
リキクロックなど、時計デザインが有名な渡辺力氏。
実はリキベンチやリキスツールなど、インテリアデザインにおいても先駆者であることをご存知でしょうか。
1951年、戦後間もない時期に、できるだけコストを抑えて製作しようと生まれた「ヒモイス」を始め、ダンボールで作られた「リキスツール」など、101年の障害の中で数々の名作を生み出されました。
その素晴らしさは日本のみならず世界でも認められており、ミラノトリエンナーレのコンパッソドーロ賞を始め、グッドデザイン賞など数多の賞を総なめにしています。
渡辺力のデザインのポイント
素材にこだわらず、常にユーザーの使いやすさやわかりやすさに重点を置いたデザインが、彼の作品の特徴のひとつ。
またシンプルながら、細部まで美しさや使い勝手にこだわりぬいた作品の数々は、他のインテリアともマッチしやすいという特徴も持ち合わせています。
今でもさまざまなショップで、彼の手掛けた時計が販売されていますので、ぜひ一度身につけてみてください。
きっと手放せなくなるはずです。
世界的に有名なインテリアデザイナーたちに学ぶ「デザインのポイント」とは? まとめ
今回ご紹介したデザイナーに共通していることはこれら3点です。
・シンプル
・使いやすさやわかりやすさなどが重視されている
・既存の情報や体験を違った角度から提案している
デザインは、それだけでは成り立ちません。
デザインするもの、そしてそれを依頼するクライアントや使用するユーザーがいて、初めて形になります。
デザインについて悩んでいる人は、一度周りを見渡してみるといいかもしれません。
意外と良いアイデアに出会えるかもしれませんよ。