従来の印刷だけではなく、まちづくりや工業デザインなど活躍の場が広がっているグラフィックデザイン。
今回は、そんなグラフィックデザイナーを支援している、公益社団法人日本グラフィック協会(JAGDA)に触れていきます。
日本で唯一のグラフィックデザイナーの全国組織であるJAGDAは、「グラフィックデザインの力を通して、コミュニケーションの質的向上」を目的に活動を行っています。
グラフィックデザイナーの方だけではなく、発注者の方にも注目したい取り組みが多くありますので、ぜひご一読ください。
※情報は2019年12月31日時点のものです。
目次
公益社団法人日本グラフィック協会(JAGDA)とは?
1978年に設立された公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)は、約3,000名の会員を擁しています。
年鑑の発行やデザイン教育だけではなく、展覧会やシンポジウムを開催したり、地域振興への取り組みをしたりと幅広い活動を行っているのが特徴です。
会員制度
会員には、個人参加の正会員だけではなく、賛助会員制度があります。
賛助会員制度の対象者は、グラフィックデザインに携わっている企業と団体です。
さらに、学生や若手デザイナーに向けて「JAGDAフレンド制度」を実施しています。
入会金:個人30,000円
※サークルメンバーとして2年間在籍した方は免除対象になります
年会費:個人36,000円
※海外会員は24,000円です
正会員の対象者
正会員の対象は、グラフィックデザインの実務や教育に2年以上携わっている方や、それと同等の資格を有している個人です。
グラフィックデザイン関係の仕事に携わり、密接な関わりを持つ方を対象としています。
入会について
会員には、申し込めば誰でもなれるわけではありません。
入会の申し込みには、1名以上の正会員の推薦が必要です。
推薦者がいない場合には、JAGDAの事務局入会担当に相談してみてください。
入会審査は年4回実施されており、承認されると入会することができます。
デザイナーへの支援
JAGDAでは、デザイナーの保有する財産である作品の独自性と権利を保全するとともに、福利厚生を提供し、会員の暮らしをサポートしています。
「創作保全」とは
JAGDAでは、公的な機関に対して、デザイナーの権利保護に対する法的整備の呼びかけを行っています。
普及活動を行いQ&Aを出版したり、顧問弁護士を招聘したりしてセミナーを開催。
さらに、デザイン制作料金の体系づくりにも取り組んでおり、独自の算定基準を公開するとともに、法律相談や複写権使用料の徴収や分配などを実施しています。
制作料金算定基準法
1994年に改訂された「デザイン料金表」では、印刷媒体広告やパッケージ、SP広告にエディトリアルなど、多彩なデザイン制作料の基準を示しています。
デザイン料金表には、多彩なデザインが取りあげられており、どんな基準で料金を決めるか明示されています。
デザインに関する仕事は多岐に渡るため、料金表に記載されていない仕事は、比較的近いものをセレクトして作業料を決めましょう。
また発注者もこれを基にすることで、おおよその予算感を知ることができます。
グラフィックデザインを発注したい方はぜひ目を通してみてください。
福利厚生制度
JAGDA正会員になると、文芸美術国民健康保険や、疾病傷害休業補償制度(所得補償保険)、がん保険など、多彩な福利厚生制度を利用することができます。
グラフィックデザイナーは、フリーランスとして個人で活動をしている方も多くいらっしゃいます。
こうしたバックアップがあることで、グラフィックデザイナーが安心して仕事に取り組むことができるようになります。
交流支援
JAGDAでは、会員相互のネットワークを広げて、社会との関係性を高めていくため、多彩なバックアップを行っています。
年に1回の総会と全国大会では、会員同士が直接コミュニケーションを取り、振興を深めることができます。
また、広報活動も積極的に行っており、WEBによる情報配信や定期刊行物の発行も行っています。
発注者の方は賛助会員になることで、総会や全国大会に参加することができます。
「グラフィックデザイナーの方と出会いたい」とお考えの方は、JAGDAの賛助会員になってみるのも良いかもしれませんね。
Graphic Design in Japan
その年の中で優れたグラフィック作品を収録した年鑑です。
「JAGDA賞」「亀倉雄策賞」「JAGDA新人賞」といった賞を選出し、輝いたデザインと制作者をピックアップ。
質の高いグラフィック作品を紹介するとともに、貴重な記録資料にもなっており、国内だけではなく海外からも注目を集めています。
Graphic Design in Japanには、最新のグラフィック作品が掲載されており、その可能性に触れることができます。
グラフィックデザイナーの方はもちろんですが、グラフィックデザイナーをお探しの方にもおすすめです。
WEBや展覧会だけではなく、こうした資料要素の高い書籍に触れることで、新しい出会いがあるかもしれません。
亀倉雄策賞
JAGDAの初代会長である亀倉雄策氏の業績をたたえるとともに、グラフィックデザインのさらなる発展のために、ご遺族の寄付で設立された賞です。
Graphic Design in Japanへの応募作品の中から、1年を通して最も輝いてた作品とその制作者を表彰しています。
JAGDA賞
JAGDAでは、各年度の優れたグラフィックデザインを表彰し、記録していくことを重要な活動のひとつとしています。
そのため、Graphic Design in Japanへの出品作品のなかから、新聞広告・雑誌広告、ポスター、ロゴ、パッケージなど多彩なカテゴリー別の高得票作品を対象とし、表彰を実施。
優れたグラフィック作品をアーカイブしています。
JAGDA新人賞
若手デザイナーをクローズアップした賞です。
Graphic Design in Japan出品者の中から選出されます。
対象は、毎年10月31日の時点で39歳以下のJAGDA正会員です。
受賞者の作品展が、東京だけではなく各地で巡回開催されています。
Graphic Design in Japanに掲載された作品から選出される各賞では、日本のグラフィック作品の「今」に触れることができます。
興味をお持ちの方は、最新作だけではなく過去作品もWEB上で紹介されていますので、そちらも合わせてチェックしてみてくださいね。
公益社団法人日本グラフィック協会(JAGDA)とは?取り組みやクリエイター支援内容 まとめ
JAGDAはグラフィックデザイナーの支援団体ですが、ご紹介したように発注企業にとっても注目したい取り組みが沢山あります。
グラフィックデザイナーに仕事を依頼したい方や、デザインの力によって課題解決をしたい方はぜひ、ご紹介した取り組みに触れてみてくださいね。
新しいクリエイティブの力や才能に出会えるかもしれませんよ。
素敵な出会いがありますように!