デザインのコト。では、「対面のやり取りを大切にして、クリエイターと協働したい」という方のために、クリエイター支援を積極的に行っている自治体をシリーズでご紹介しています。
今回は、奈良県の取り組みに触れていきます。
奈良県では金銭的な支援のほか、デザインアワードの実施などもおこなっています。
奈良県在住のクリエイターはもちろん、優秀な依頼先を探している企業担当者様もぜひ参考にしてみてください。
※情報は2019年12月5日時点のものです。
目次
多彩な創業支援資金
奈良県では積極的に創業支援を行っており、多彩な創業支援融資制度が用意されています。
特に注目したい創業支援資金をご紹介します。
創業支援資金(責任共有制度対象外)
県内で創業しようとする方もしくは創業後5年未満の方を対象にした融資制度です。
限度額は3,500万円ですが、自己資金などの要件があります。
「知事確認申請日前5年以内に勤務先を離職した方」「知事確認申請日において60歳以上の方」は、保証料が0%になります。
女性・若者・シニア・UIJターン創業支援資金
奈良県内で創業する方もしくは創業後1年未満の方を対象にした支援制度です。
「女性」「35歳未満」「55歳以上」「UIJターン該当者」のいずれかに該当し、認定経営革新などの支援機関の支援を受けたと知事が認定した方が対象です。
無利子・無保証料で融資を受けることができます。
融資限度額は1,500万円ですが、創業前の方は自己資金と同額です。
創業資金はクリエイターや起業家にとって、頭の痛い問題のひとつといえます。
こうした融資制度を利用することで、経営の安定を目指すことができます。
他にも融資制度を実施している都道府県は多くありますが、融資金額が大きく、無利子・無保証料の融資が多数あるのは魅力といえます。
奈良デザイン協会(NDA)
1986年11月29日に県内の有志デザイナーによって発足した奈良デザイン協会。
会員各位のデザイン活動に何らかの貢献を行うことと、公的な役割を果たすことの2つを使命としています。
「奈良GALA」「夢瓦」「なら工藝館デザイン教室」「近畿デザイン協会協議会」などの活動を行っています。
奈良GALA
奈良GALAは、奈良に縁のあるクリエイターやデザイナーを発掘し、表彰するために行われている広告デザインアワードです。
GALA(ガラ)とは、音楽界・演劇界におけるお祭り感のあるイベントのことで、スポーツ界ではエキシビジョンにあたります。
日々クライアントから受注している仕事を「本編」とおき、自己顕示欲・承認欲求をみたし、本来の力を発揮する「楽しいお祭り」が奈良GALAです。
さらに、GALAは「柄」もあらわしています。
「沢山のクリエイターやデザイナーが集ってひとつの『お祭り=GALA=美しい柄』を形成して奈良を彩ることができるように」という願いも込められています。
応募資格は、プロのデザイナーもしくはディレクターであることで、個人・法人は問いません。
また、奈良県内の在住もしくは出身であったり、事業所があったり、クライアントが奈良にいる方を対象としています。
募集作品はクライアントワークであり、紙媒体部門のほかにロゴマーク部門とパッケージ部門があります。
紙媒体の広告を目にする機会は多くありますが、ロゴマークやパッケージのクリエイター名に触れる機会は案外少ないものです。
ロゴマークやパッケージ制作を外注したい方は、ぜひ注目してください。
夢瓦
奈良の社寺・仏閣を1300年もの間支えてきた、大和瓦の品質と技術。
それをいかし、デザインの可能性に挑戦する、ものづくりプロジェクトです。
戸デザイン協会・堺デザイン協会・奈良デザイン協会の3協会が協働し、「観光をデザインする」から「くらしをデザインする」をキーワードに、デザインの活性化だけではなく、観光や景観に貢献できる幅広い活動を行っています。
地域資源や技術の活用を促すプロジェクトは全国でみられますが、奈良県だけではなく近隣地域のデザイン協会と協働した取り組みは少ないのが現状です。
こうした取り組みを行うことで、デザインの魅力を伝えることができるだけではなく、地域活性化にも役立ちます。
また、協働団体との交流も積極的に行われており、デザイナーにとって嬉しいポイントが多い取り組みです。
奥大和クリエイティブビレッジ構想
平成25年からスタートした取り組みです。
東吉野村にはクリエイター、黒滝村にはミュージシャン、宇陀市にはアーティスト、下市町にはアルチザンと、4つのエリアが協働してクリエイターやアーティストの集積を目指しています。
東吉野村では、特にクリエイターにターゲットを絞り、移住者の呼び込みを積極的に行っています。
計28名の移住者のうち、10名がクリエイターです。
東吉野村にはシェアオフィスが整備され、五條市にはチャレンジレストランがオープン。
多彩な取り組みがすすめられており、クリエイターからの注目を集めています。
「東吉野村小川地区まちづくり基本構想」では、強みに「クリエイター等の移住者」があげられています。
また、村の内外の子どもの新しい学び舎づくりに、クリエイティブの力を活用することが盛り込まれています。
奈良女子大学と連携を行い、「地元×クリエイター×学術」の視点で取り組むそうです。
クリエイティブの力を評価し、積極的に活用していく姿勢は、クリエイターにとって非常に嬉しいポイントといえます。
クリエイターの集積がすすむことで、今後ますますクリエイターの活動しやすい環境が整備されていくことでしょう。
【奥大和】移住サイト奈良に暮らす
奈良県奥大和地域(南部東部地域)への移住や定住を支援するポータルサイトです。
実際に移り住んだ方がコンテンツ制作に携わっており、移住後の生活を想像することができます。
文章だけではなく動画も用いられており、「空から見た奥大和」など、コンテンツが充実しています。
また、奥大和地域各19市町村が、独自で実施している移住・定住支援施策がまとめられており、効率よく情報収集が可能です。
体験滞在
体験滞在をすることで、移住後のイメージのギャップを埋めることができます。
奥大和地域には、農家民宿への宿泊だけではなく、2拠点居住を視野に入れている方にもピッタリな移住関連施設があります。
単に住まいや仕事があるだけではなく、地元の方との関わりも、移住の成否を決める大切なポイントです。
奈良県のクリエイター支援の取り組みとは?創業支援から移住サポートまで! まとめ
ご紹介したように奈良県では、クリエイティブの持つ力を高く評価し、クリエイター集積を目指した取り組みを継続して実施しています。
そのため、既に奈良県に移住したクリエイターも多く、今後もますますクリエイターの集積がすすんでいくでしょう。
クリエイターにとって、活躍しやすい環境が整備され、集積がすすむことで、良い循環がうまれそうですね。
奈良県でクリエイターをお探しの方は、ご紹介した取り組みに注目したり、クリエイターが集まるスポットに足を運んでみてはいかがでしょうか。
新しいクリエイターとの出会いや、新たな発見があるかもしれません!