日常よく見かけるあのロゴマーク、一体誰が作ったのか、皆さんは御存知ですか?
彼らの仕事や大切にしていることを知ることは、素晴らしいロゴマークの発想を得るためのヒントになるかもしれません。
今回は日本および世界で有名なロゴデザイナーやデザイン会社についてご紹介しましょう。
目次
佐藤 可士和(さとう かしわ)
ユニクロや楽天、ホンダのNワゴンなど、みなさんが一度は見たことのあるロゴマークを多数デザインしているデザイナーです。
クリエイティブディレクターやグラフィックデザイナー、アートディレクターなどさまざまな仕事をこなす売れっ子の彼も、実はかつて「からっきし仕事ができない」時期があったといいます。
それは大学卒業後に入社した博報堂でのこと。
意気揚々と入社し、さまざまな提案をするものの、最初の3年間に生み出したクリエイティブは、なかなかヒットには至らなかったそうです。
そんな彼の転機となったのが、広告業界では伝説的とも言われるホンダ社のステップワゴンの案件だったそうです。
「足す」のではなく「引き出す」ことが大切
クリエイティブの世界で圧倒的な実績を残す先輩たちと仕事をする中で、彼は以下のことに気づきます。
イメージは付加するのではなく、相手から引き出すもの
引用元:佐藤可士和が空回りしていた3年間。ブレイクスルーのきっかけは「ロールモデル」|新R25 – シゴトも人生も、もっと楽しもう。
その後、佐藤可士和氏は今日に至るまで、素晴らしいクリエイティブを生み出し続けています。
みなさんも「ロゴマーク=新しいもの」と考えて、なんとか新しいイメージを作り出そうと躍起になっていませんか?
しかしロゴマークはもともと、会社やサービス、商品を表現するための手段ですから、無理に新しいイメージを作り出す必要はないのかもしれません。
ロゴマークでつまづいている方は、一度原点に立ち返り、会社やサービスそのものに再度目を向けてみてはいかがでしょう。
良い答えが見つかるかもしれません。
KASHIWA SATO – CREATIVE DIRECTOR / SAMURAI INC. TOKYO
亀倉 雄策(かめくら ゆうさく)
1964年の東京五輪のポスタービジュアルを手掛けたことで知られる亀倉 雄策氏。
実はフジテレビやNTTなどの旧ロゴマークを手掛けている、有名なロゴデザイナーでもあります。
亀倉氏が活躍したのは、デザインという仕事がまだ日本でそれほど認められていなかった時代です。
そんな中で彼が徹底していたのは、案件に対して正直に付き合うこと、そして社長などトップの人間と討論することで、そのイメージについても検討し合うということでした。
相手と真摯に向き合うことで見えてくるもの
デザインの仕事において、デザイナーが社長とイメージを討論し合うということは、今でもなかなかないことです。
しかし裏を返せば、それほどクライアントに対して真剣に、まっすぐに向き合っていたということではないでしょうか。
デザイナーの視点で捉えれば、これほど真剣に向き合う彼の姿勢に学ぶところは多いかもしれません。
また企業側からすると、デザインする商品やサービス単体で物事を捉えるのではなく、会社という単位で物事を考えることの大切さがおわかりいただけるのではないでしょうか。
納得のいかない仕事は受けなかったという亀倉氏。
それほど真剣にデザインに取り組む姿勢に、私達が学ぶことは多いと言えるでしょう。
参考:グラフィック・デザインの「原点」を求めて | Design Site
永井 一正(ながい かずまさ)
三菱UFJフィナンシャルグループやアサヒビール、JAのロゴマークなど、長年に渡って数多くのロゴマークを手掛けてきた伝説的デザイナーです。
最近では2020年の東京五輪のデザインエンブレムのデザイン選考審査員で代表を努めたことでも知られています。
シンプルなロゴでアハ体験を促す
そんな彼の生み出すロゴマークの多くは、シンプルに見えるという共通点があります。
これは見る人に「考える余地」を与えるためだそうです。
そうしてロゴマークに込められたメッセージや意味を発見し、なるほどと思ったとき、ロゴの印象がより頭に残るのを狙っているためだと、ある媒体で語っています。
これは一種の「アハ体験」といえます。
アハ体験とは、あることについて考え、ひらめいた時に脳の神経回路が活動し、新たな学習ができるという体験のことです。
みなさんも長年悩んでいたことや、日頃なんとなく疑問に思っていたことの答えがわかった時、なんとなくスッキリした気持ちになりませんか。
この「ひらめきの喜び」が感じられると、人は誰かにその体験を話したくなるのだそうです。
これはロゴマーク作成にとってとても重要なことではないでしょうか。
もちろん、こうした体験を促すためには、しっかりとした組み立てが必要です。
実はロゴマークだけでなく、デザインはシンプルな方が難しいと言われています。
ぜひデザイナーや企業担当者とじっくり話し合い、素晴らしいアハ体験ができるロゴマークを完成させてください。
参考:数多の有名ロゴを生んだ永井一正。実践で培ったデザイン&ロゴ論 – インタビュー : CINRA.NET
大貫 卓也(おおぬき たくや)
先程ご紹介した佐藤可士和氏が尊敬し、博報堂に入社するきっかけとなったのが、伝説的アートディレクターと言われる大貫卓也氏です。
彼もまた、Jリーグのロゴなど多くの素晴らしいデザインを世に送り出してきました。
大貫氏はデザインを考える際、5年先を見越してさまざまなことを提案するのだそうです。
ロゴマーク=未来地図
5年先を考えるなんて、経営者のすることだと思っていませんか?
しかし、皆さんの作ったロゴマークが、企業や商品の明日を作っていくと思えば、的はずれなことではないということがおわかりいただけると思います。
ロゴマークは会社や商品に込められたメッセージを伝えるものであると同時に、将来ありたい(あるべき)姿を写す地図なのかもしれません。
だからこそ、経営者としっかり話し、想像していくことが、ロゴマーク作成において重要なプロセスになるのでしょう。
参考:アート・ディレクター大貫卓也、25年ぶりの作品集『Advertising is』でその仕事のすべてを語る。 | Feature | Pen Online
有名なロゴデザイナーから学ぶロゴマーク作成で大切な考え方 まとめ
ロゴマークは単なるモチーフではありません。
会社や商品、サービスの顔になるものであり、その思いや将来に至る構想までを含んだデザインだといえます。
だからといって、ロゴマークを難しく考えるのは禁物です。
その答えは意外と皆さんのすぐ近くに転がっているかもしれませんね。