飲食店などに置かれるメニューブックは、お客様に自慢のメニューを伝えてくれる大切な広告塔です。
自分で作成する際は「おすすめメニューはこれ、でも新作もぜひ食べてほしい…」と、オススメのメニューを多めに推したくなりますよね。
しかし、料理にも「おいしく作るためのレシピ」があるように、メニューブックにも適切なレシピがあります。
欲張ってあれこれと情報を入れてしまうと「お客様から『メニューが分かりにくい』って言われてしまった」というようなお悩みを抱えてしまうことも。
今回は「プロに任せる前に、まずは自分でメニューブックを作ってみたい!」という方に向けて、メニューブックをデザインする時のNGポイントについてまとめました。
目次
「食欲をそそられないメニューブック」の特徴
お客様から敬遠されがちなメニューブックのポイントは、以下のとおりです。
- 看板メニューがない
- 写真が暗い、または盛りつけがきれいではない
- メニューブック自体が汚れている(見た目の汚れや、油によるべたつきなど)
- 店のコンセプトとデザインが合っていない
- メニューの文字が読みにくい(手書きのくせ字や、フォントが独特すぎるなど)
1.看板メニューがない
まず看板メニューは、お店の目玉商品ともいえる大切な一品。
初めて来店したお客様が、注文に迷った際にまずオーダーしやすいメニューでもあります。
お店側としては「全品看板メニューです!」と言いたくなるかもしれませんが、ここは一番手としてイチオシを提示するのがおすすめ。
看板メニューはお店のコンセプトや強みが分かる一品でもあるので、メニューブックの中でも大きめのスペースを作ってアピールしてみましょう。
2.写真が暗い、または盛り付けがきれいではない
皆さんは「シズル感」という言葉をご存じですか?
シズル感とは、みずみずしく見える質感のこと。
たとえばキラキラとした水滴がたくさんついているビールグラスの写真と、水滴が何もついていないビールグラスとを比べたら、前者の方が「おいしそう」と感じやすいのではないでしょうか。
この「視覚から五感を刺激してくる感覚」がシズル感です。
この要素が含まれていると、食べ物などもおいしそうに見えるため、メニューブックの料理写真などでも特に意識して盛り込みたいポイントといえます。
しかし、プロのカメラマン以外が撮影した写真では、なかなかこのシズル感を出しにくいのがネック。
その他、照明が暗かったり、盛りつけそのものが崩れていたりなど、食欲を削ぐ見た目の写真になってしまう場合があります。
そのような写真をメニューブックに載せてしまうと、お客様に「あまりおいしそうな料理じゃないな」と思われてしまうことも…。
料理写真でシズル感を出す方法としては、以下のような方法があります。
- 湯気を出す
- 彩りをよくする
- 水滴や肉汁を見せる
- 揚げ物があがった瞬間など、「できたて」感を見せる
- おいしそうに食べているモデルを一緒に写す
どうしても難しい場合は、やはりプロに撮影を頼むのが賢明です。
撮影時にはコストがかかってしまいますが、おいしそうな写真を使うことで客足が増えるケースも少なくありません。
メニューブックにこだわる場合は写真の外注を検討してみてはいかがでしょうか。
3.メニューブック自体が汚れている(見た目の汚れや、油によるべたつきなど)
メニューブックの「デザイン」とは少し離れたトピックとなりますが、意外と無視できないのがこちらのポイント。
メニューブックのデザインがどれだけ良くても、ブック自体が汚れていたり、手触りに不快感があったりした場合は、お客様に悪印象を与えてしまう可能性があります。
また、「ニオイ」もぜひ気をつけておきたいポイントです。
「メニューブックが汚れないよう布巾で拭いているけど、逆にそのニオイがついてしまった」など、洗浄用品の手入れにも気を遣う必要があります。
もし「メニューブックの汚れをできるだけ手軽に落としたい」「手入れを楽にしたい」という場合であれば、メニューブックを作る際に「洗える素材のもの」を選ぶのもおすすめ。
中には洗浄機にかけられるプラスチック製のブックを販売しているお店もあるので、チェックしてみるのもいいかもしれませんね。
4.店のコンセプトとデザインが合っていない
たとえば、ハイクラスのフレンチレストランのメニューブックに、明らかに素人が撮ったものと分かるピンボケ写真が載っていたらどう思いますか?
オーガニックテイストのお店のメニューブックのフォントが、極太の筆文字で暑苦しい感じだったら?
内装などで、お店がどんなに丁寧にテイストを打ち出していても、メニューブックが場の雰囲気を邪魔してしまうこともあります。
店のコンセプトを再確認して、メニューブックのデザインにもしっかり反映させるようにしましょう。
例として挙げられるのが下記のポイントです。
- お店の客層(サラリーマン向け、学生向け、主婦向け、シニア向けなど)
- 料理のジャンル(中華、フレンチ、和食など)
- お店のスタイル(ファストフード、オーガニック、隠れ家、国産にこだわるなど)
- お店のコスト感(高級、庶民派など)
開店時にコンセプトを設定しているお店がほとんどですが、もう一度「このお店はどこがウリなのか」を確認しましょう。
お店のコンセプトに沿ったデザインにすることで店内に統一感が生まれ、店のウリも打ち出しやすくなりますよ。
5.メニューの文字が読みにくい
最後にチェックしたいのが、メニューブックの文字の視認性についてです。
フォントは写真と同じく、メニューブックの印象を大きく変える大切なパーツといえます。
たとえば、筆文字で書けば落ち着いた和風の印象を、丸みのあるポップ体で書けば、ファンシーな印象を与えやすいです。
飲食店の中には「毎日手書きでメニューを書いています!」というオーナー様もいらっしゃいますね。
ただ、ここでも意識したいのは、作り手ではなく「お客様からどう見えているだろう?」ということ。
読みにくいメニューブックは「メニューをわかりやすくお客様に伝える」という機能を果たすことができません。
読みにくい漢字にはふりがなをふったり、きれいな字を心がけたりなど、読みやすさにも配慮してデザインするようにしましょう。
ちなみにメニューの順番は、目線の起点(主にページの上)から下へ向かって、安い物順に記載するのがおすすめです。
安い順から記載することで店の価格感が伝わりやすくなる他、視認性もアップします。
なお、看板メニューは例外的に、価格とは関係なくトップ部分または別紙に記載して問題ありません。
お店のコンセプトを伝える一品でもあるので、一番自信のある写真を使ってアピールしてみてくださいね。
NGなメニューブックって?メニューデザインをする時のポイント まとめ
メニューブックの写真や清潔感、デザイン性、視認性などが雑だと、お客様から「あまりおいしそうなお店じゃないな」「手入れが行き届いていないお店だな」と思われてしまうリスクがあります。
メニューブックはお店の顔役ともいえるアイテムです。上記の点に注意しながら、素敵なメニューブックを作成してみてくださいね。