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ポートフォリオとは?各業界の意味と作成のポイント

ポートフォリオとは?各業界の意味と作成のポイント

「ポートフォリオ」という言葉を聞いて、「就職や転職の時に使う自己アピールに使う作品集」と答える人もいれば、「株とか投資などの組み合わせ」と答える人もいます。

このように「ポートフォリオ」は色々な意味を持っています。

今回は、デザイナーなどのクリエイティブ職における「ポートフォリオ」を中心に、他業界での意味もあわせてご紹介しましょう。

ポートフォリオとは?

色々な意味を持つ「ポートフォリオ」ですが、そもそも「ポートフォリオ」の意味は何なのでしょうか。

また、その語源はあるのでしょうか。

ポートフォリオの意味

ポートフォリオ(Portfolio)とは書類を挟む平らなケース、つまり紙ばさみや折りかばん、書類入れという意味の英単語です。

紙ばさみや書類入れという意味から、ファイルやバインダーとも同じ意味の言葉なのではないかと思うかもしれません。

このファイルやバインダーという言葉には、書類を糸や紐などで綴じるという意味合いがあります。

しかし、ポートフォリオという言葉には、糸や紐などで綴じるという意味合いはありません。

書類には「プレゼンテーションの相手に応じて、書類の順番を入れ替えたり、差し替えたりすることができる入れもの」という意味があります。

ポートフォリオの語源

ポートフォリオは英語の「Portfolio」からきていると思われますが、その語源はイタリア語の「Portafoglio(ポルタフォリオ)」だと言われています。

接頭語の「Porta」は「運ぶ」や「保つ」という意味を持っており、英語でいうと「Portable(携帯用の)」という言葉に通じるそうです。

また、「Foglio」は「紙」や「紙幣」という意味があります。

そのため、これらの言葉を組み合わせた「Portafoglio」は、「紙幣を携帯する」、つまりは「札入れ」を意味しています。

「紙幣の出し入れができて、ひとまとめにすることができる入れもの」という意味を見ても、ポートフォリオの語源だといえるでしょう。

クリエイティブ職におけるポートフォリオ

クリエイティブ職と呼ばれる職業には、主に以下が挙げられます。

  • Webサイトのデザイン
  • ゲームの制作・デザイン
  • ポスターや書籍、商品パッケージなどの制作やデザイン
  • 広告・編集

クリエイティブ職には、クライアントの要望を取り入れながら、自らのセンスやオリジナリティによって、要求以上の作品を納期以内に納めるという能力が必要になります。

そのため、クリエイティブ職を採用する場合には、履歴書や職務経歴書だけではなく、求められる能力があるかどうかを判断しなくてはなりません。

「ポートフォリオ」はそのための判断材料として、応募者から提出してもらう必要があります。

応募者にとってポートフォリオは、履歴書や職務経歴書以上に重要なものとなります。

ポートフォリオには応募者のプロフィールの他に、自分が携わった過去の実績を掲載し、自分自身を最大限にアピールします。

また応募企業にあわせて、他人とは違う個性やオリジナリティを出しつつ、人材としても評価されるものを作る必要があるのです。

ポートフォリオ作成の最低限のルール

ポートフォリオには最低限のルールがあります。

それは、クリエイティブ職に求められる能力があることを、ポートフォリオでアピールすることにあります。

主なルールは以下のとおりです。

  1. クライアントから要求される条件に対して、どのように対応したのかがわかること
  2. 自らのセンスやオリジナリティのある作品・作風であること
  3. 自らの技術力や品質がわかる作品・作風であること
  4. 作品・作風への熱意や取り組みの姿勢がわかること
  5. 組織の中でチームの一員としての働きがわかること

ポートフォリオ作成のポイント

ポートフォリオを作成する時に心掛けたいポイントを手順に沿って説明しましょう。

1.応募企業に応じて、アピールしたい作品を決定する

ポートフォリオは今まで制作した全ての作品を載せれば完成、というわけではありません。

過去の制作実績が少なくても、数合わせの作品を載せるのは好ましくないからです。

比較的新しいもの、またコンペなどで受賞した作品など、自信を持っていて、採用担当者に特に見てもらいたい作品を選びましょう。

2.応募企業に応じて、媒体を決定する

ポートフォリオといえば紙のものが一般的ですが、アニメーションなど紙で表現することが難しい場合には、Web上のポートフォリオサイトで作品を公開することもあります。

IT業界や映像業界においては、Webのポートフォリオを求められることが多いようです。

反対に、広告業界や出版業界、印刷業界においては、紙のポートフォリオが必須といえます。

紙のポートフォリオの場合には、内容だけでなく印刷や製本に対するこだわりをアピールすることも大切です。

3.作品によりサイズを決定する

紙のポートフォリオの場合、A4サイズかA3サイズが一般的です。

A4サイズの場合、持ち運びに便利で、かつ応募企業側で保管がしやすいというメリットがあります。

しかし、作品によっては、サイズが大きい場合には、A4サイズに収まらずに縮小せざるを得ない場合もあります。

作品が持つインパクトを損なわぬよう、特に見て欲しいところに拡大写真をつけるなどの配慮も必要です。

A3サイズの場合、持ち運びは不便ではありますが、採用担当者へ手渡す時のインパクトはあります。

A4サイズに比べて、紙面が大きいため、サイズが大きい場合でも掲載することもできます。

採用担当者にも見せやすい大きさであるので、伝わりやすいサイズです。

4.構成を決定する

わかりやすさを意識した構成を考えましょう。

採用担当者が面接時にポートフォリオを見て把握する時間は5分程度と言われています。

時間内に採用担当者へ自分のスキルとポテンシャルが伝わる構成が望ましいでしょう。

基本的には「プロフィール」「スキル」「過去の制作実績」の3本柱でポートフォリオは成り立っています。

過去の制作実績は作品だけではなく、制作期間や工夫したポイント、注力した点などもあわせて掲載することが必要です。

応募企業は、作品と同時にキャプションを見て、求めている人材なのかどうかを判断しています。

5.印刷する

ポートフォリオに掲載した作品に合わせて紙を選び、印刷をします。

印刷をした後に、誤字・脱字がないか、読みやすく、わかりやすい内容になっているかを確認します。

この時に、フォントやフォントサイズ、罫線などの装飾、色合いなどを総合的に見て判断するようにしましょう。

6.内容や応募企業に応じて製本方法を決定する

応募企業が保管しやすいという理由から、印刷したポートフォリオをクリアファイルに入れるだけというのが一般的にようです。

しかし、製本にこだわってアピールするのも効果的かもしれません

手製本にしたり、また製本サービスを利用して製本する人もいるようです。

7.他人に見てもらい、意見をもらう

作成したポートフォリオは、採用担当者の心に響くものでなければなりません。

そのために、作成したポートフォリオを多くの人に見て、意見をもらうことで、ブラッシュアップすることが必要です。

業界によって違う意味があるポートフォリオ

クリエイティブ職のポートフォリオは、就職・転職時に自分自身をアピールするものでしたが、他の業界ではどのような意味があるのでしょうか。

金融業界のポートフォリオ

金融業界の中では投資用語として「ポートフォリオ」という言葉が使われています。

こちらは投資家が保有する、株式、債券、不動産、現金、預金などの金融商品の一覧や、運用商品の組み合わせ、比率のことをいいます。

もともとのポートフォリオの意味は紙ばさみでしたが、欧米では紙ばさみに有価証券や資産の明細書を挟んでいたことが言葉の由来といわれています。

教育業界のポートフォリオ

教育業界では学習の過程や成果などの記録(作文や成績表、写真など)を計画的にファイルなどに貯めておくことをポートフォリオといいます。

これを見ることで、学習者が今までどのようなプロセスで学び、成長することができたかを確認することができます。

ポートフォリオとは?各業界の意味と作成のポイント まとめ

業界により色々な意味を持つ「ポートフォリオ」ですが、いずれも根本には「紙ばさみ」という意味が隠されていました。

いずれの場合も、ポートフォリオを作成する時には、十分な時間と的確な判断が必要のようです。