デザイン性も機能性も抜群なタイルをインテリアとして使ってみませんか?
日本に昔からあるものや輸入タイルで空間にアクセントを作りましょう。
タイルは日々進化しています。
タイルを使ったインテリアは今話題のあの店舗でも採用されています。
タイルの色のしくみや、各国でのデザインの違い、そしてインテリアとして参考にしたいデザインをご紹介します。
目次
水回りだけではない!タイルの使い方
今ではあまり見かけることはなくなりましたが、昭和の時代にはトイレや浴室の壁や床の多くはタイル張りでした。
タイルははがれてしまうことが少なく、そして丈夫で汚れや水に強いという性質があるため、主に水回りに使われていました。
最近ではトイレや浴室だけではなく、キッチンや洗面所の壁に使われるだけではなく、インテリアのアクセントとして壁の一部をタイルで敷き詰めたり、トイレの洗面台だけをタイルにするなど、機能性というよりかはデザイン性で選ばれているようです。
タイルは何でできている?
現在タイルは内装だけではなく、外壁にも使われています。
それぞれの用途により、最適な品質を保てるように原料の調合が決められています。
花崗岩などの粘土を主原料として、長石、陶土、石灰岩、滑石などが必要に応じて配合されています。
原料の配合の他に焼く温度によっても性質が異なります。
- 磁器質タイル:石英や長石などを1,200~1,350℃で焼いたタイル。緻密で固く、吸水率が低いため水回りに適しています。
- せっ器質タイル:粘土や長石などを1200℃前後で焼いたタイル。磁器質タイルに比べ、吸水率が若干高いのが特徴です。
- 陶器質タイル:陶土や石灰などを1000~1200℃で焼いたタイル。多孔質のため吸水率が高いのが特徴です。
各タイルの性質により、内装に適したタイル、外壁に適したタイルが異なるのです。
タイルは原料を見るとわかるように、化学物質が含まれていません。
シックハウス症候群の問題はなく、人に優しい建材だといえるのではないでしょうか。
タイルの色の出し方
日本のタイルも負けてはいませんが、海外のタイルを見ると、その色の鮮やかさに魅了されてしまうことがあるのではないでしょうか。
タイルは皿や器といった一般の陶器と同じように作られています。
天然に豊富にある金属の化合物を土と混ぜて高温で焼くことによって、さまざまな色を出すことができるのです。
- 鉄:赤色、茶色、黄色、褐色、黒色
- クロム:緑色、紫色、ピンク色、黒色
- 銅:緑色、赤色、水色
- マンガン:紫色、ピンク色、褐色
- ニッケル:青色、緑色
- コバルト:青色
- 錫:白色
- アンチモン:黄色
生産国によるデザインの違い
国によってファッションのデザインが異なるように、タイルのデザインについても異なります。
現在、日本で輸入しているタイルの主な生産国は、スペインやポルトガル、そしてイタリアや中国です。
しかし、特に日本において有名なのは、ポルトガルとモロッコのタイルなのではないでしょうか。
ポルトガル
ポルトガル語でタイルのことを「アズレージョ」といいます。
白地に青色で描かれたタイルはポルトガルへ行かなくとも、写真やお土産などで見たことがあるのではないでしょうか。
ポルトガルでは、古くからこのアズレージョに歴史や文化、伝説などのさまざまなものが描かれています。
15世紀頃からこのアズレージョのデザインには世界各国の影響を受け、色々と変遷します。
幾何学模様から、シンプルで同じパターンが続くカーペットデザインへ、そして青色一色で人物描写や風刺画のデザイン…などなど。
各時代に流行ったアズレージョのデザインは、今もなおポルトガルの街をいろどっています。
モロッコ
モロッコを語るうえで「ゼリージュ」という言葉は欠かせません。
このゼリージュとは、細かくカットしたタイルを組み合わせて幾何学模様にしたタイルのことをいいます。
伝統で使われてきたのは、白色、黒色、青色、緑色、黄色、赤色、茶色の7色。
この7色を組み合わせて色鮮やかなタイルが誕生します。
モロッコはイスラム教の国です。
キリスト教や仏教のように偶像崇拝はしません。
祈る場である礼拝堂をこの幾何学模様のゼリージュで飾ることで、精神世界を表現しているといいます。
日本のタイル生産地といえば
国内で最大のタイル生産を誇るのが岐阜県多治見市でそのシェアは90%にもおよびます。
多治見市といえば陶磁器、特に美濃焼は有名です。
この美濃焼の技術をもとに1914年(大正3年)にタイルの生産をはじめました。
昭和初期に入り、モザイクタイルと呼ばれる1辺が5cm以下という小さいタイルの生産に切り替えます。
美濃焼で培った釉薬の技術もあり、色鮮やかなモザイクタイルは、私たちの生活に華をそえるものとなっていったのです。
デザインの参考に。モザイクタイルミュージアムへ行ってみよう
日本のタイル生産地である岐阜県多治見市に、「モザイクタイルミュージアム」があるのをご存知でしょうか。
日本におけるタイルの歴史から、日本の新進気鋭デザイナーによるデザインタイルやタイルアートの展示など、タイルを使った空間デザインの参考になる情報がてんこ盛りです。
また、タイルに特化したミュージアムであるからこそ、タイルに関する質問などはコンシェルジュが対応しています。
もし東海地方にお住まいの方や、近くへ行くことがあるのであれば、地元のタイルデザイナーへ相談する前に、まず行っておきたいスポットだといえるのではないでしょうか。
インテリアにアクセントを。参考にしたいタイル活用術
タイルはアクセントに使うからこそ、タイルの素晴らしさが引き立ちます。
壁や床全面に使うのは昭和スタイルです。
タイルをオシャレなインテリアに使っている参考事例をご紹介しましょう。
スターバックス リザーブ ロースタリー
世界に5つ目と言われるスターバックスの聖地が、中目黒に誕生したのは2019年2月28日。
すでに行かれたことがある方もいるかと思います。
今までのスターバックスにはない焙煎所が店内にあることで、いつでも店内にはコーヒーの豊かな香りが漂っています。
こちらのロースタリーではコーヒーだけではなく、インテリアにもこだわっています。
ロースタリーの2階には、色々なフレーバーティーが味わえるティバーナがあります。
2階へと上がる階段で迎えてくれるのは、ティバーナのティーカップをイメージして設計されたティーカップウォールです。
日本人のタイルデザイナーと陶磁器を作る職人の手でこのティーカップウォールができあがったのです。
日本人の職人技をこのロースタリーに取り込んで日本らしさを出したいというコンセプトで誕生したこのタイルデザインは訪れる人々を驚かせています。
マル・デ・クリスチアノ
東京・代々木公園にあるポルトガル料理店「マル・デ・クリスチアノ」はビブグルマンに選ばれた人気店。
このお店のカウンターには、青色のアズレージョはありませんが、ポルトガルの陽気な雰囲気が感じられる暖色系のモザイクタイルを見ることができます。
15~16世紀に見られた幾何学模様を取り入れたそのデザインは、食事を楽しむうえでポルトガルに行ったような錯覚にさせます。
美味しいポルトガル料理を食べながら、ポルトガル気分を味わえるタイルデザインではないでしょうか。
タイルは汚れや水に強いだけではなく、熱にも強いため、飲食店において壁やテーブルなどにアクセントとして活用するのをおすすめします。
糠平温泉中村屋
糠平温泉郷は北海道の十勝にあります。
多くの旅館がある中、こちらの旅館では大工さんがデザインしたお部屋が人気でリピート客が絶えません。
「こんな山の中にあるお宿でこんなにオシャレなお部屋があるの?」と感動し、一度この旅館に訪れた人は、オシャレなお部屋を自慢したくなるそうです。
タイルは部屋のアクセントとして使われるだけではなく、トイレの洗面台や、浴室など、この旅館では色々なところに使われています。
レトロモダンを狙うのであれば、このようなタイルの使い方を参考にしてみてはいかがでしょうか。
進化するタイルで空間にアクセントを!タイルの歴史と販促に使える活用術 まとめ
最近、大正時代初期から昭和時代初期にかけて生産されていた「マジョリカタイル」と呼ばれている多彩食のレリーフタイルが静かなブームとなっているようです。
店舗のコンセプトに合うタイルを使って、オシャレな空間を演出してみてはいかがでしょうか。