地球が誕生してから46億年という長い年月の中で、人類は20万年前に誕生した、まだまだひよっこです。
しかし、5000年前に文明が現れてから科学技術が発展していく一方で、環境を破壊し、地球が危機にひんしています。
近年では地球サミットが開かれ、環境問題はもはや他人ごとでは済まされなくなりました。
今まさに、環境問題を自分ごととして考えていくためにも、エコライフとエコデザインについてご紹介しましょう。
目次
エコデザインとは
「エコデザイン」という言葉をご存知でしょうか。
「エコ」という言葉から、なんとなく連想できるかもしれません。
エコデザインとは、環境保護に配慮したデザイン全般のことをいいます。
地球上では大量生産や大量消費が横行しています。
生産時に出る廃棄物を川にそのまま垂れ流していたり、自然のサイクルを考えずに森林を伐採するなどの経済効率優先の社会が、環境を破壊してしまうのです。
環境破壊をくいとめるためにも、日々進化している科学技術をフルに活用し、製品の性能を高めつつも、エネルギーの消費や環境負荷を削減するなどの環境への配慮も行われて設計されたデザインが、今求められています。
デザインの対象
ではエコデザインはどのようなものを対象としているのでしょうか。
科学技術というキーワードから、工業製品だけが対象と思っている方もいるかもしれません。
エコデザインの対象となるのは、地球上にあるもの全てが対象となります。
自然環境、工業製品、建築物、都市開発、そしてサービスに至るまで、地球上に存在しているものが対象となります。
国連環境計画(UNEP)におけるエコデザインの定義
国連環境計画(UNEP)は、エコデザインを、「経済発展と環境保全の融合をすすめるために打ち出した新しい考え方」として、これを推奨するために指標となっているのが、次の8つの定義です。
それぞれの定義について詳しくみていきましょう。
環境負荷の少ない原材料を選択する
・生態系を害する原材料は選択しない
・再生可能なものや、廃棄される副産物、また安全性が実証されているものを原材料とする
原材料の使用量を最低限におさえる
・製造に関するオペレーションや、原材料の種類や数の最小化に
製造時の環境負荷を最小限におさえる
・製造時の使用エネルギーや廃棄物を最小化に
流通経路におけるエネルギー消費をおさえる
・効率の良い運送システムを確立する
・製品とパッケージを軽量化する
・再利用やリサイクル可能なパッケージにする
製品使用時に発生する環境負荷を最小限におさえる
・エネルギーの無駄使いを最小化に
・再生可能なエネルギーを使用する
・節水する
製品寿命をロングライフ化にする
・耐久性を持たせて、アップグレードが可能な製品とする
・メンテナンスや修理を簡潔にし、効率の良い修理システムを確立する
既存にないイノベーションあふれた全く新しい製品を作る
・自然を真似てデザインしたり、生物を利用したデザインを行う
・製品としてのモノを作るだけではなく、サービスの利便性を考えたデザインを行う
EUでは新デザイン規則が策定
2015年9月に国連で開かれたサミットによって決められた「持続可能な開発目標(SGDs)」にもあるように、環境問題は全世界、そして私たち誰もが真剣に考えなければいけない問題です。
2019年10月に、EUの政策執行機関である欧州委員会が、ヨーロッパの二酸化炭素排出量削減と消費者の電力価格低下を実現するために、家電メーカーおよび輸入業者に対して、新しい環境規則を策定しました。
大量生産の時代には、家電は壊れたら修理せずに廃棄すれば良いという風潮でした。
しかし、それでは製造時には多くのエネルギーや原材料を消費することになり、ますます環境は悪化してしまいます。
私たち誰もが生活するうえで使っている冷蔵庫や照明器具、テレビや食洗器などの家電10種について、製品寿命をロングライフ化するために、修理部品を今よりも長期間保管し、保証期間を延ばすなどの規則が策定されました。
日本においても多くの企業でエコデザインが推奨されてはいます。
しかし、国民としての認知度はまだ低いと思われます。
今後、エコデザインを採用した商品やサービスがもっと広まることを期待しています。
エコデザインが採用されている商品をご紹介!
国連環境計画(UNEP)による8つの定義をベースとして作られた商品は、誰でも知っているあの商品から、こんな商品があったんだと思わず驚いてしまう商品まであります。
また、石川県においては2011年から「いしかわエコデザイン賞」を開催しており、自然環境を守るために、エコデザインが施された石川県発のモノやサービスが続々と誕生しています。
エコデザインを施した商品とは、実際にどのような商品なのかを事例を挙げてご紹介しましょう。
BIOTREM 小麦ふすまの食べられる食器
ポーランドに本社があるBIOTREMは、小麦ふすまを使った食べられる食器を作っている企業です。
この食器は、小麦ふすまに少量の水を加え、高圧と高温をかけ作られます。
通常の食器と同じように、冷たいものでも温かいものでものせることができます。
また、電子レンジやオーブンも使用可能です。
通常、プラスチックなどで作られる食器は、大量の水や化学化合物を使い、廃棄されると生分解されることはありません。
しかし、この小麦ふすまの食器は、食べずに廃棄されたとしても、たった30日間で生分解される環境に優しい食器だといえます。
鳥取醤油店 もろみ粉
石川県七尾市にある鳥取醤油店のもろみ粉は、2018年に行われた「いしかわエコデザイン賞」で金賞を獲得した商品です。
醤油の製造過程で出る「もろみの搾りかす」を再利用し、安全・安心な新しい形の商品にしました。
古いものを大切に使いたいという店主の想いが、「もったいない」という考えとなり、商品が生まれたのではないでしょうか。
発酵食品であるもろみを粉末状にし、手軽に持ち運べることからも、今後海外へのお土産物として人気が出そうです。
シチズン エコ・ドライブ
「シチズンの腕時計なら、ウチにもあるよ」という方もいるでしょう。
多くの腕時計の場合、電池交換が必要なクオーツ時計ではないでしょうか。
時計が必要な時に限って電池切れで止まっていたという経験は誰しもあるもの。
しかし、このエコ・ドライブの腕時計は、わずかな光でさえもエネルギーに代えて発電し、時計を動かしてしまうため、電池交換は必要ないのです。
世界にある全ての腕時計がエコ・ドライブの技術で作られていれば、時計用の電池は必要なくなるでしょう。
dyson サイクロン掃除機
私たちがサイクロン掃除機を知るようになったのは、dysonの掃除機が日本で発売されてからではないでしょうか。
それまでの掃除機といえば、紙パック式のものでした。
掃除をすれば紙パックにゴミが溜まり、ゴミを吸い込めなくなると紙パックを替えるというもの。
掃除機のメーカーによって紙パックの種類が異なるため、万一間違った紙パックを買ってしまった場合には使えずに捨ててしまうということもあったそうです。
サイクロン掃除機にすることにより、紙パックが不要になり、ゴミや埃を触らずに捨てることができるため、衛生的です。
さらに、紙パックにかかるコストもなくなりました。
dysonといえばフローリング床の溝にある、小さな埃まで取れてしまうブラシに注目されがちではありますが、サイクロンとしたことによる環境負荷の低減は優れたエコデザインだといえるでしょう。
今だからこそ知っておきたい「エコデザイン」。おしゃれな事例もご紹介 まとめ
エコデザインを採用した製品やサービスはまだたくさんあります。
例えばカーシェアサービスもエコデザインの一つです。
環境問題に貢献したいと思っているのであれば、ぜひエコデザインを採用した製品やサービスを使ってみてください。
私たちの子孫のためにもエコデザインでエコライフをしてみてはいかがでしょうか。