鉄道は今や、安全性やスピードだけではなく、デザイン性も求められています。
いつも利用している鉄道が新型車両でなくても、ちょっと違ったラッピングデザインの鉄道だったら、思わず気分も上がってしまうのではないでしょうか。
今回はラッピングトレインの目的やデザインの意図とともに、全国にあるラッピングトレインのデザインについてもご紹介します。
目次
ラッピングトレインの目的とは?
たまたま乗車予定の鉄道がラッピングトレインだったら、「今日なんかいいことあるかも」と思ってしまう方もいるのではないでしょうか。
色鮮やかなラッピングフィルムが貼られた鉄道車両は、全国各地でよく見かけられるようになりました。
なかには、撮り鉄と呼ばれる鉄道マニアでなくても、思わず写真を撮ってしまう方も多いと思います。
停車しているだけで目立つラッピングトレインは、人の目を引く広告塔としての役割を果たしています。
広告はその鉄道の宣伝だけではなく、ゲームや映画、イベントなどさまざま。
また、走行している地域を宣伝することで、地域活性化に一役買っていることもあるようです。
短期間の宣伝もできる?!
東京メトロなどの鉄道車両を見てもわかるように、鉄道の車体はステンレスやアルミで作られています。
そのため、その金属色を生かした車体デザインをよく見かけるのではないでしょうか。
車体全体にデザインを施す場合、塗装で施工を行うと時間も手間もお金もかかります。
そのため、長期間の広告であればまだしも、イベント広告などの短期間の宣伝のために、塗装で施工を行うことはないのです。
その代わりに、塗装よりも施工や撤去作業が容易なラッピングフィルムを使用しています。
デザインされた図案をラッピングフィルムに印刷することで、施工も撤去作業も容易であるため、何度も同じ車両でさまざまな広告宣伝を行うことができるのです。
広告料金は新聞よりも安い?!
駅に停車しているラッピングトレインは、別のホームにいても人々から注目を浴びるものです。また、街中でラッピングトレインが通ると、鉄道に乗っていなくても、思わずいつもとは違う車体デザインに注目してしまうのではないでしょうか。
広告宣伝の手段の一つとして利用されるラッピングトレインですが、実は新聞の一面広告よりも割安だそうです。
日本で利用客が一番多い山手線における広告料金は1500万円。
これは、約1ヶ月に11両編成の電車を2編成分、広告を出した場合の料金です。
この料金は、首都圏を走る他の鉄道に比べて一番高い料金といわれています。
しかしながら、新聞広告の場合はどうでしょうか。
新聞1面広告で、日本経済新聞の場合は約5000万円、四大紙(朝日、読売、毎日、産経)で2000~4000万円だそうです。
最近では紙の新聞を読まない人も多いため、ラッピングフィルムのデザイン料金を含めたとしても、コストパフォーマンス的にはラッピングトレインで広告宣伝をする方が効果的ではないでしょうか。
※掲載内容は2019年10月9日時点の情報です。
ラッピングトレインのデザインとは?
皆さんは今まで、どんなデザインのラッピングトレインを見たことがありますか。
企業広告としてのラッピングデザインもありますが、多くのデザインは次の3つに分類することができます。
人気キャラクター
テレビアニメの人気キャラクターやゆるキャラ、ご当地キャラクターなどを使ったラッピングトレインの場合、大人だけではなく、子どもも楽しむことができます。
ラッピングトレインの場合、車体の外のデザインだけではなく、内装にもキャラクターが使われていることがあります。
そのため、利用客の中には、お目当ての鉄道に乗るために、わざわざ運行時間を確認したり、何時間も待ち続ける人もいるようです。
誰でも一度は見たことがあるキャラクターを利用することが多いため、注目度は抜群で、広告宣伝効果が高いのが特徴です。
地域の観光スポット・特産品
地域活性になるためにと、主に地方の鉄道会社では地域の観光スポットや特産品のイラストや写真を施したラッピングトレインが運行されていることがあります。
テレビ番組の影響もあり、旅行雑誌ではローカル線の旅の特集が組まれるなど、最近では海外旅行ではなく、日本国内の鉄道の旅をする人が増えています。
そのため、ラッピングトレインに観光スポットや特産品をデザインすることで、観光客への宣伝を行っているのです。
また、インスタ映えするデザインであれば、SNSで拡散されることも。
結果、目的の鉄道に乗るためにその土地へ来る人も増えるのです。
地方色のある色鮮やかでかわいいデザインが利用客の心をつかんでいるようです。
メッセージ
人に注目されるからこそ、多くの人に伝えたいメッセージをラッピングトレインに託すこともできます。
SDGsなどの開発目標や、地球環境についてのメッセージもあれば、利用客が自ら書いた応援メッセージもあります。
それらのメッセージをデザインを通して見ることで、利用客の心に伝えたいメッセージの本質を刻むことができるのです。
インスタ映えも?ラッピングトレインをご紹介!
誰もが知っている人気キャラクターを使ったラッピングトレインが多い中、インスタ映え間違いなしのラッピングトレインがあるのをご存知でしょうか。
もし目の前に、このラッピングトレインが通ったら必ずレンズを向けたくなるでしょう。
そして、その鉄道に乗りたくなってしまうかもしれません。
全国のラッピングトレインの中から、2019年10月9日現在でも乗車することができるインスタ映え間違いなしのラッピングトレインをご紹介しましょう。
富士急行線 フジサン特急
小学生以上であれば、「富士山」が日本一高い山ということは誰でも知っているでしょう。
日本人が愛してやまない富士山をモチーフとしているのが、このフジサン特急です。
フジサン特急に描かれている富士山は、ニコニコと笑顔がかわいい富士山です。
この笑顔の富士山を見ると、見る人も笑顔になってしまうのではないでしょうか。
富士急行線沿線には、富士山五合目へと導く「富士山駅」や、絶叫マシンで有名な「富士急ハイランド駅」、そして観光名所である河口湖がある「河口湖駅」があるなど名所が多彩です。
利用する人を笑顔にするフジサン特急は大人だけではなく子どもにも大人気です。
東武東上線 池袋・川越アートトレイン
江戸時代にタイムスリップしたかと思わせるほど、小江戸と呼ばれるにはふさわしい川越は、一年を通じて観光客が絶えないスポットです。
しかし、もっと多くの人に川越の観光スポットや特産品、文化を知ってもらいたいという想いを込めて、このラッピングトレインは作られました。
描かれているのは日本画ですが、デザインがコミカルであるがゆえに、多くの人から親しまれています。
この電車を見ると、思わず「今度の週末には川越に行ってみようかな」と思ってしまうのではないでしょうか。
阪急電鉄・阪神電車 SDGsトレイン
「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標)」の略称です。
2015年9月に行われた国連サミットで採択されたもので、2016年から2030年の15年間で達成するために、国連加盟国である193ヶ国が掲げた目標です。
一般的にSDGsと聞いただけでは、大人でさえも理解するのが困難であるかもしれません。
しかし、SDGsのメッセージを親しみやすいデザインで表すことによって、子どもにも理解することができてしまうでしょう。
通常、ラッピングトレインは鉄道会社をまたいで行われることはありませんが、メッセージ性の高い、このラッピングトレインは関西4府県を走る阪急電鉄と阪神電車に施しています。
見かけたら乗りたい!全国のラッピングトレインのデザイン まとめ
新聞広告の1面を使って広告を出すよりも、ラッピングトレインを使った広告の方が、利用客の目も心も楽しませることができます。
また、記憶に残るでしょう。
広告宣伝手段の一つとして、ラッピングトレインを検討してみてはいかがでしょうか。