セミナーや展示会、また取引先や関係先で初対面の方と挨拶をする時に必ず必要となるのが名刺。
以前にもデザインのコト。では、名刺デザインについて色々な観点からご紹介してきました。
今回はそれらを踏まえて、名刺には必ず必要な情報である「文字」について、見やすく読みやすい名刺作成のコツをご紹介したいと思います。
目次
その名刺、そのデザインで本当にいいですか?
初対面の方との挨拶は、名刺交換からはじまります。
新社会人が入社時研修などで名刺交換の練習をするのは、ビジネスシーンにおいて大切だからです。
日本において、名刺は「自分の分身」や「自分の顔」と表現することがあります。
名刺に会社名や名前、住所や電話番号などの自分の身分を明かし、社会的な信頼を得ることができるビジネスツールを持つことで、よりビジネスがやりやすくなるのです。
しかし、世の中には他人の名刺と差をつけようと、デザインに凝る方も多く存在します。
個性を強調するあまり、必要でない情報を盛り込んでいたり、名刺をもらった相手が不快に感じてしまうものもあるのです。
まずは、もらった相手のことを考えて、見やすさだけではなく、記載されている情報が読みやすいかを念頭において作成をすることが大切です。
次につながる名刺を作ろう
名刺交換の際、挨拶だけで具体的な話まで進まなくても、それがきっかけで新たなビジネスにつながることがあります。
相手先の企業が新しい事業を始める時や、現在の事業に困っている時などに名刺交換をした相手を記憶の中から思い出し、連絡をとってみようということもあるのです。
いざ連絡をとろうと名刺を見た時に読みにくさを感じさせてしまうようでは、次につながる可能性が低くなってしまいます。
今、手元にある名刺を見てみましょう。
またもらった名刺の中で見やすく、そして読みやすいはあるでしょうか。
見やすく、読みやすい名刺には共通項があります。
次のビジネスにつなげるためにも、再確認しておきましょう。
デザインを考えるうえで大切なこと
デザインのコト。では、以前、見やすい名刺のデザインについて4つのポイントをご紹介してきました。
- 情報は厳選して載せる
- 十分な余白を設ける
- 読みやすい行間・文字間を心がける
- 大切な情報は目立たせる
これらのポイントを実行するためには、情報を表現する「文字」が必要になります。
文字をどのように表現するかによって、名刺の良し悪しが決まるのです。
イラストや写真も名刺には必要な情報の一つかもしれません。
しかし、連絡をとるための情報として、見やすく読みやすい「文字」はとても大事なポイントといえるでしょう。
名刺スキャンで手間をかけないように
見やすさと読みやすさは人間の目も機器の目も同様です。
昨今、名刺管理を社内で共有しようと名刺管理ソフトやアプリが普及しています。
名刺交換でもらった名刺は、名刺ファイルに入れておくのではなく、スキャンしてデータ化するという方法が主流となっています。
名刺をスキャンすると、まず画像として保存します。
その後、画像から文字を認識するOCR(光学文字認識)という機能を使って、文字をデータ化しています。
このOCRは、どのような文字でも認識できるものではありません。
手書き文字や特殊文字、文字にかすれがあるもの、網掛けされている文字や縦書きと横書きが混在している文字などについては、正しく読み取ることができません。
もしOCRで正しく認識できなければ、人の手で入力するという手間をかけることになるのです。
名刺一枚で相手にマイナスの印象を与えないためにも、人の目でもOCRでも認識することができる文字を使うようにしましょう。
見やすい文字のフォント・色・方向とは
では実際にどのような文字を名刺に使うべきかを解説していきましょう。
ポイントとなるのは次の4つです。
- フォントの種類
- フォントサイズ
- 文字色と背景
- 文字列の方向
フォントの種類
私たちが一番見慣れている文字の種類が何かご存知ですか?
日本語であれば「明朝体」と「ゴシック体」。
そして英語であれば、「Arial」と「Helvetica」です。
これらのフォントにすることで、「1(アラビア数字のイチ)」と「l(アルファベットのLの小文字)」などの誤読を防ぐことができます。
また、実は日常生活の中で見慣れているフォントこそ、一番見やすくて読みやすいフォントなのです。
個性を出したいと、他人が使用していない変わったフォントを使いたいと思う気持ちもわかりますが、見やすさと読みやすさから考えると、ベーシックなフォントが最適といえます。
フォントサイズ
名刺では一般的に、7~18ptのフォントサイズを使用します。
小さすぎると目を凝らさないと見えないようでは名刺の意味がありません。
反対に大きすぎても、必要な情報を記載することができなくなってしまいます。
名刺に記載する情報の中での重要度は、「名前>会社名>その他の情報」の順です。
名前のフォントサイズは18ptに、会社名は12pt、役職や肩書は7ptなどのように、フォントサイズにメリハリを付けると見やすさが増します。
住所やメールアドレスなどの連絡先については、情報量が多いためにフォントサイズを小さくしてしまいがちですが、見やすさを考えて7pt以上としましょう。
小さな文字になればなるほど、印刷すると文字がつぶれてしまうからです。
文字色と背景
名刺には文字だけではなく、ロゴマークや写真、イラストなどの情報も記載されることがあります。
そのため、名刺の台紙は無地を選びましょう。
グラデーションや柄のある台紙は、記載される文字情報が見えない可能性があります。
また、名刺スキャンをした場合に文字情報として認識されない可能性が高いのです。
台紙の色と文字の色との明度がはっきりしていると、情報が見やすく、また読みやすくなります。
そのため、多くのビジネス名刺は白地の台紙に黒色の文字の場合が多いのです。
もし、文字色として、会社のコーポレートカラーやイメージカラーを表示したい場合には、アクセントカラーとして使用するようにしましょう。
文字列の方向
名刺には縦型と横型の2種類があります。
以前は縦型で縦書きの名刺が主流でした。
しかし昨今、名刺上にメールアドレスやHPを記載する企業も多く、英語やアラビア数字を表示しやすい横型の名刺が好まれている傾向があります。
縦型の名刺で縦書きの場合、住所や電話番号などの連絡先にアラビア数字と漢数字が混在していることが散見されます。
フォントの種類でも説明したように、数字の表現方法が異なると読み手は混乱することもあるため、誤読してしまう可能性があります。
見やすく読みやすい名刺にするには、誤読を防ぐ必要があります。
そのためには、どちらの名刺の型であっても横書きをおすすめします。
外国語表記も記載したい時には
外資系企業だけではなく、日系企業においても外国人が多く働いています。
また、海外の企業や外国人投資家を相手に仕事をする企業も多くなりました。
そのため、日本語を理解することが難しい外国人のために、外国語表記のある名刺も増加しています。
もし、外国語表記も記載したい場合には、横型の名刺で横書きに。
そして、外国語は裏面に記載しましょう。
なぜなら、同じ面に日本語と外国語とを同時に記載した場合、情報過多となってしまうからです。
また、名刺交換の相手の言語が多岐にわたる場合には、世界共通語である英語を使用するようにしましょう。
次へつながる!見やすく読みやすい名刺作成のコツとは まとめ
見やすく読みやすい名刺は、相手に好印象を与えてくれます。
そして新たなビジネスにつながる可能性も秘めています。
どのような文字にするかによって、見やすくも読みやすくもなります。
名刺作成の時には、どのような文字にするかもあわせて検討してみてください。