街中の看板やポスター、テレビCMや雑誌、手に取った商品など、いたるところで目にする企業ロゴの数々。
そのデザインには、ひとつひとつに意味が込められています。
今回は子ども関係の企業ロゴについて紹介し、ロゴの特徴も解説します。
教育・保育サービスや、ベビー用品やおもちゃメーカーなど、子ども関係の業種は多岐にわたりますよね。
「子ども向け」と聞くと、デザインもなんとなく“カラフル”、“かわいくてポップなイメージ”を連想しがちですが、サービス内容や、対象の子どもの年齢によってロゴのデザインも様々。
奥深い世界でもあります。
「子ども関係の企業のロゴにはどんな特徴があるの?」
「新しく子ども関係のロゴデザインを考えたいけど、いつも似たようなデザインになってしまう」
そう感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
今回紹介する企業ロゴは以下の5つです。
- ベネッセ
- 公文
- ピジョン
- キッズベースキャンプ
- リタリコ
①ベネッセ
画像引用元:ベネッセグループ
人型キャラクターと社名「Benesse」を組み合わせた企業ロゴ。
企業名は、「bene(よく)+esse(生きる)」という、ラテン語を語源とした2語を組み合わせた造語だそうです。
赤ちゃんからお年寄りまで、人の可能性を育て、人の成長のお手伝いをし、人々に信頼される「人を軸」とした幅広い事業展開をしています。
子ども関係で有名なのは「子どもチャレンジ」や「進研ゼミ」といった通信教育サービスでしょう。
人型キャラクターは右から左へ大きくなり、子どもから大人まで成長をサポートする企業であることを表現。
また、それぞれのキャラクターに躍動感があり、人間のエネルギッシュな生き方をも表していますね。
サービスの対象が子どもだけではないため、社名のフォントは「セリフ体」を使用しています。
セリフ体は「伝統的/厳粛/落ち着き」といった印象を与えるので、カジュアルすぎ無いのが特徴です。
キャラクターの色味も、落ち着きのある色で統一されていますね。
参考:our Philosophy|企業理念・事業紹介|ベネッセグループ
②公文
画像引用元:公文式オフィシャルサイト
こちらも、CMでおなじみの超有名企業。
教材サービス・教室運営を行なっている会社です。
「公文、子どもの頃やってた〜!」と懐かしく感じる方も多いのではないでしょうか。
正式な企業名は「株式会社 公文教育研究会」ですが、企業ロゴではあえてフルネームではなく、読みやすく覚えやすい「公文」のみを使っています。
「KUMON」とローマ字に変換することで、50以上の国に展開するグローバルな企業である印象も与えてくれます。
ロゴは「知的でシンプル」であること、子どもから大人まで幅広い世代に親しみを持ってもらえるよう、ユーモア・わかりやすさが感じられることをキーワードにこのデザインとなりました。
フォントはゴシック体で、シンプルさがより伝わります。
ロゴの色は「空の色」。
空は世界共通で、世界が一つであることを表現しています。
また、Oの字は顔のイラストになっていて、考え続け成長する子どもや親、先生や社員の顔を表しているそうです。
参考:私たちのロゴに込めた想い:KUMONの考え|公文教育研究会
③ピジョン
画像引用元:ピジョン株式会社
哺乳瓶やベビーカーをはじめ、主にベビー用品を手がけるメーカーの最大手です。
pigeonは日本語で「鳩」。
平和のシンボルである鳩を企業名に掲げ、赤ちゃんの幸せを願い、平和で豊かな社会であってほしいと願う強い思いが込められています。
このデザインで注目したいのが「P」の文字です。
大きな赤いハートと、小さな白いハートでPの文字を作っています。
この2つのハートは、それぞれお母さんと赤ちゃんを表しているそうです。
全体的に丸みを帯びたフォントで、柔らかい・優しい印象を与えてくれますね。
また、赤色には「愛情」「命」などを連想させてくれる心理効果があるので、pigeonの商品にピッタリです。
参考:名前の由来・ロゴについて|ピジョンについて|ピジョン株式会社
④キッズベースキャンプ
画像引用元:キッズベースキャンプ
民間学童保育のパイオニアとして、関東圏で広く展開している企業。
今では珍しくない民間学童保育事業ですが「子どもの放課後の時間を消費から投資へ」と子持ち家庭に新しい価値観を与えた企業です。
企業名の頭文字である「KBC」という字を大きく配置することで、パッと見て目に飛び込みやすくなっています。
フォント自体を大きくアレンジし、丸く立体的な形にすることで、より印象的なデザインに仕上がっていますね。
また、青・オレンジ・緑の鮮やかな3色は、それぞれ青い大空・輝く太陽・豊かな緑をイメージしているそうです。
背景に浮かぶ山は、企業名にも含まれている「ベースキャンプ」をイメージしています。
登山家が知恵や体力を蓄えるのと同じように、未来の夢にチャレンジする子どもたちにとって象徴的な存在でありたいという願いが込められています。
⑤LITALICO
画像引用元:LITALICO
学習塾や幼児教室の運営、障害児支援等を行う企業。
また、プログラミングなど子どもへのIT教育事業にも力を入れています。
企業名は、日本語の「利他」と「利己」を組み合わせた造語。
「世界を変え(利他)」「社員を幸せに(利己)」両方を実現するという意志から生まれたそうです。
実現のためには「人」が中心の新しい社会をつくること。
事業においても組織においても常に中心は「人」であるということ。
Aの文字を「人」という文字に見立てることで、そんな強い意志がロゴでも表現されています。
右下に配置された平仮名の「りたりこ」は、直線と曲線を組み合わせたユニークで近未来的なデザインで、先進的な教育事業を連想させますね。
また、この企業でもう一つ注目すべきは、コーポレートカラーが1つに限定されていないということ。
人の多様性を色で表現するため、上図の全カラーをコーポレートカラーとして採択しているそうです。
まとめ
今回紹介した5つのロゴは、子どもに関係する様々な企業のロゴでした。
①ベネッセ | 子どもから大人まで幅広い世代の成長を表現した、比較的落ち着きのあるデザイン |
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②公文 | Oの文字を手描き感のある顔にした、シンプルかつユーモア溢れるデザイン |
③ピジョン | 2つのハートを組み合わせてPの文字を表し、お母さんと赤ちゃんの愛情を表現 |
④キッズベースキャンプ | フォントを立体的でユニークな形にし、明るい配色にすることで元気な子どもたちを連想 |
⑤リタリコ | 人の多様性を表現するため、多くのコーポレートカラーを採用 |
子ども関係の企業の多くは「商品やサービスを実際に使うのは子どもでも、その商品やサービスを選んでお金を払うのは親」という特徴があります。
つまり、企業ロゴを制作する上で、ターゲットとして“子ども”と“親”どちらも考慮しなければなりません。
子どもだけでなく、その親の心もグッと掴むような、好感を抱いてもらえるデザインが理想ですね。