光の屈折でさらに美しさが増すカットグラス。
シンプルなグラスでは物足りないからと、少し贅沢な気分になりたい時に使っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お客様へのギフトに、またお店で使うグラスやインテリアに、美しいデザインのカットグラスのデザインと、ぜひ手に取ってほしいアイテムをご紹介しましょう。
目次
ギフトだけでなく日常使いに。カットグラスを食卓へ
皆さんは普段どのようなグラスを使っていますか?
なるべく割れにくいものや、軽いもの、手の大きさにフィットするものなど、毎日使うからこそ機能性を重視して、限りなくシンプルなグラスを選んでいるのではないでしょうか。
それも良いのですが、贅沢な気分に浸りたい時や、気分を上げてみたい時など、特別な時にはぜひ「カットグラス」を使ってみてはいかがでしょう。
なかなか自分では購入せず、結婚式の引き出物や会社の贈呈品などのギフトでもらうことが多いかもしれませんが、自分へのご褒美のため、そして少し上質な暮らしを楽しむために、「カットグラス」を日常使いすることをおすすめします。
カットグラスとは
カットグラスとはその名の通り、「カット」したグラスのことで、ガラスの表面に彫刻や切込み細工をしたものです。
自宅にある食器棚の中を見回してみると、一つや二つは「カットグラス」があるのではないでしょうか。
カットグラスは日本でいうところの「切子」のこと。
ほかにも花瓶や灰皿、日本酒を飲む時のお猪口などで見たことがあるかもしれません。
案外「カットグラス」は私たちの身近にあるガラス器なのです。
グラスに使われるガラスの種類
ガラスはガラス食器だけではなく、窓ガラスだったり、ステンドグラスだったりと色々なものに使われています。
それらに使われている素材としての「ガラス」に違いはあるのでしょうか。
ガラスの種類は、使い方や材料の違いによって数千種類もあるそうです。
その中でも、グラスに使われていることが多いのが「ソーダ石灰ガラス」と「クリスタルガラス」です。
ソーダ石灰ガラスは窓ガラスや瓶などに使われているもので、この成分に酸化鉛を加えたものが「クリスタルガラス」と言われています。
この「クリスタルガラス」は「より透明度と屈折率が高まることで、クリスタルのように輝く高品質なグラス」ということから名付けられたそうです。
そのため、より美しいグラスを作るためには、ソーダ石灰ガラスではなく、クリスタルガラスが用いられています。
グラスへの加工技法
カットグラスには、ガラスの表面に彫刻や切込み細工を施した「カッティング技法」が使われていますが、加工技法は他にもあります。
加工をする、もとのガラス素材が冷えて固まった状態に加工をするのか、温かくやわらかい状態で加工をするのかによってもその技法は異なります。
コールドワーク
ガラス素材が冷めた状態で成形する加工技法のことをいいます。
主な技法は次の3つです。
- カッティング:ガラスの表面にグラインダー(研削盤)に押し当てて切込みを入れるもの。研磨しながら幾何学模様を掘り出す。
- エッチング:ガラスの表面の削る部分を残して保護膜を貼り、酸に浸して腐食させるもの。腐食させることでガラスを掘り出す。
- サンドブラスト:高圧の空気と砂をガラスに吹き付けることによってガラスを切削するもの。
ホットワーク
ガラス素材が高温で溶け、やわらかくなった状態で成形する加工技法のことをいいます。
主な技法は次の2つです。
- 宙吹き:溶かしたガラスを吹き竿に巻き取り、空中で回しながら息を吹き込んで成形するもの。
- ミルフィオーリ:断面が花柄で金太郎飴状のガラス棒を輪切りにして型に並べて加熱するもの。
日本版カットグラス「切子」の文様
「切子」をご存知でしょうか。
日本では「江戸切子」や「薩摩切子」がよく知られています。
最初に切子が作られたのは、江戸時代後期の1834年。
江戸大伝馬町にあるビードロ屋の加賀屋久兵衛が、金剛砂を使って作られたのがはじまりだと言われています。
江戸切子の場合、1881年(明治14年)にカットの技術者としてイギリス人を招き、指導を受けたのだとか。
その後、カット技術だけではなく、研磨技法が開発されるなど、切子は発展をとげています。
切子の文様
「切子」と聞いて、どのようなデザインを思い浮かべるでしょうか。
切子の文様は数多くありますが、代表的な文様をご紹介しましょう。
- 矢来文
- 魚子文
- 麻の葉文
- 六角籠目文
- 八角籠目文
- 菊繋ぎ文
- 菊籠目文
- 菊花文
- 笹の葉文
- 亀甲文
高品質な美しいグラスの条件
無色透明でクリスタルのように美しい「クリスタルガラス」を使うことが、「グラスの美しさ」としては一番大切なポイントです。
しかし、ガラスには色々な種類があるように、クリスタルガラスと他のガラスとでは、一目見ただけではわからないこともあるのではないでしょうか。
クリスタルガラスと他のガラスを見分ける3つの方法をご紹介しましょう。
透明度
クリスタルガラスは酸化鉛が配合されており、その含有率が他のガラスよりも高いことから、高い透明度を保っています。
見分ける方法としては、できるだけ明るい場所で、目の高さよりも上にグラスを持ち上げ、グラスの下からながめましょう。
その時に無色透明であれば、クリスタルガラスの確率が高いといえます。
もし曇っていたり色味があったりする場合には、クリスタルガラスではない可能性が高いといえます。
音色
クリスタルガラスの場合、指でグラスをはじくとキーンと比較的高い音が出ます。
残響音も長く続き、グラスの形によっては数秒間続くものもあるようです。
クリスタルガラスとそうではないガラスで聞き比べた場合に、より高い音のするガラスがクリスタルガラスだといえるでしょう。
重さ
クリスタルガラスは酸化鉛が配合されていることにより、グラスを手で持つとずっしりと重さがあります。
同じ大きさのクリスタルガラス以外のもので比較してみると、重さの違いは明白です。
片手で持って、ずっしりと重いものがクリスタルガラスの可能性が高いといえます。
光瞬く美しさ!カット技法が美しいカットグラスをご紹介!
クリスタルガラスで作られたカットガラスの中でも、見るからに美しいカットグラスをご紹介しましょう。
その美しいカット技法により、光の反射率や屈折率がより高まり、ダイヤモンドのような輝きを放ちます。
バカラ ルクソール
高級なガラス製品といえば「バカラ」。
なかなか自分で購入することはなく、オブジェとしてギフトなどでいただくことの方が多いかもしれません。
こちらの「ルクソール」というタンブラーは、世界遺産としても有名なエジプトの街「ルクソール」から名付けられました。
タンブラーの下半分には、エジプトを彷彿させるピラミッドやダイヤモンドをイメージしたカットが連なっています。
まるでエジプトの王族が持っていた宝石が散りばめられているかのようです。
光の反射と視覚効果で昼間の自然光でもバーなどの間接照明の光でも、美しく輝きます。
ウエッジウッド ラティス
「ウエッジウッド」というと陶器のイメージが強いですが、実は美しいグラスも取り扱っています。
こちらはアニュアルタンブラーです。
この「ラティス」は2020年のモチーフになります。
このラティスという模様は、「守る」という想いが込められているそうで、ヨーロッパでは多くの教会で建築様式として用いられてきました。
縦と横のラインがクロスする部分がダイヤモンド型になっていることで、ダイヤモンドのように多くの光を集め、華やかに輝きます。
毎年、カットデザインが変わるため、アニュアルタンブラーを集めている方も多いそうです。
但野硝子加工所 金魚
誰もが思う切子のイメージとはかけ離れているこの切子。
常に新しいデザインを追求した切子を生み出している、江戸切子作家の但野英芳氏作による「金魚」です。
曲線美と直線美が作る、このような美しいデザインの切子を見たことがあるでしょうか。
良く見る切子は色があっても単色のものが多いですが、こちらの切子は多色使い。
色数が増えることで、より切子が醸しだす世界が豊かになります。
50種類の道具を使いわけ、削る深さを調節して色のグラデーションを作る技術の繊細さを感じることができます。
飾るだけではもったいない!光で輝くカットグラスのデザイン まとめ
美しいカットグラスはクリスタルガラスと職人のカッティング技法により作られています。
光の放ち方は、グラス自体のデザインだけではなく、グラスの中に何を入れるかによっても異なります。
グラスに飲み物を注ぎ入れることで、新たな輝きが生まれるのです。
美しいカットグラスを飾るだけではなく、特別な時間を共に過ごすものとして使ってみてはいかがでしょうか。