デザインシンキング+α

デザイナーに必要な「共感力」とは?身につけるべき理由と必要な習慣

デザイナーに必要な「共感力」とは?デザインシンキング+α

面と向かって相手と話しているのに、なんとなく話が噛み合わない。

素晴らしい提案をしているつもりなのに、いまいち受け入れてもらえない。

それはもしかすると「共感力」が足りていないのかもしれません。

「共感力」はその名の通り、共感してもらう力のことをいいますが、その意味を勘違いしている人も少なくありません。

今回は共感力の本来の意味と共に、デザイナーに共感力が必要な理由と身につけるために習慣づけたいことなどをご紹介します。

誤解されがちな「共感力」の意味

「そうだよね、わかるわかる」といいながら、目は明後日の方を向いている。

「話を聞くよ」と言いながら、相手が話しだしたそばから内容を否定する。

そんな態度を取ってはいませんか?

これらは共感力が低いだけでなく、相手に不信がられたり嫌われたりする要因になります。

共感力の本来の意味

共感力とは、相手の気持ちに寄り添おうとする力です。

ただし、いくら寄り添おうとしても、相手がそう感じなければ共感力が高いとは言えません。

大切なのは、相手に「共感してもらっている」「この人は私のことを分かってくれている」と感じさせることです。

「共感」にアドバイスはいらない

本人は共感力が高いと思っているものの、残念ながら周りにはそう思われていない人もいます。

こうした人に多いのが「相手の意見にアドバイスしたがる」ことです。

アドバイスすることは、決して悪いことではありません。

きっと「自分の意見が相手の参考になれば」「よりよい方法を知っているから教えてあげたい」という思いからなのでしょう。

しかし、共感力で大切なのは「相手に寄り添おうとする気持ち」であり、「アドバイスなどで相手を動かそうとすること」ではありません。

相手が望まないアドバイスは「余計なおせっかい」になりかねないのです。

デザイナーに共感力が必要な理由

これはクライアントに対しても同じことが言えます。

確かにデザイナーやデザイン制作会社は、クライアントに最善の提案をすべきです。

しかし、相手の要望や気持ちに耳を傾けていなかったり、「今までの経験からこの方が良い」といったような頭ごなしな提案では、相手も聞く耳を持ってくれないでしょう。

どれだけ素晴らしいデザインだったとしても、クライアントの心を動かせなければ採用されることはありません。

逆に経験が浅かったり金額が高かったりしても、「この人にならうちのデザインを任せられる」と思ってもらえれば、提案も通りやすくなり、その後のやりとりもスムーズに進むはずです。

共感力が高い人のコミュニケーションの特徴

では共感力が高い人とそうでない人のコミュニケーションには、どのような違いがあるのでしょう。

共感力が高い人のコミュニケーションの特徴から、その違いを見ていきましょう。

提案が通りやすい

共感力の高い人は、そうでない人に比べて比較的提案が通りやすい傾向にあります。

これは、共感によって信用が生まれているためです。

もちろん仕事の実績や普段のやり取りも大切ですが、人は共感してくれた相手のことを、比較的信用しやすい傾向にあります。

そのため、少しハードルが高い内容でも「この人の提案なら受け入れてもいいかな」と思わせることができるのです。

相手との共通点を探す

相手に信頼してもらいやすいという意味では、会話の中で共通点を探すことも大切です。

実は共感力の高い人の多くは、会話の中で相手との共通点を探そうとします。

そのため、仕事の話だけでなく趣味や普段の生活の話をすることも多いようです。

ちょっとした共通点でも、相手は喜んでくれるものです。

信頼関係を築くためにも、時には仕事とは違った話をしてみてはいかがでしょうか。

相手にさらなる想像を促す

共感力が高いということは、相手の気持に寄り添える力が強いということです。

相手の気持ちに寄り添うためには、相手が何を考えているのか、これからどんな行動を取ろうとしているのかを知る必要があります。

そのため、相手の会話に同調しつつ、話の中で考えをより深く理解しようと会話を促す行動が見られます。

例えば「スタイリッシュな提案にしてほしい」と言われたら、「スタイリッシュな提案が良いんですね。ではあなたの考えるスタイリッシュというのを教えて下さい」と具体性を促すこともひとつです。

また「スタイリッシュなデザインがいいんですね。スタイリッシュというと○○とか△△のようなデザインですか?」など、なにかに例えて相手の考えを深堀りしようとすることもあります。

こうして深堀りしようとすることで、相手に「あなたの話を聞いていますよ。だからもっと聞かせてほしい」と伝えているのです。

また提案も具体的になり、相手の求めるものに近づくはずです。

共感力を身につけるための4つの習慣

共感力は、だれでも身につけることができます。

しかし、小手先の技術だけではうまくいきません。

普段から共感力を磨くような習慣を付けることが大切です。

今までの話をまとめると、共感力の高い人は相手の言い分や話に耳を傾け、「私は聞いていますよ」と相手に伝えているという特徴が見えます。

これらを踏まえて、共感力を高めるための習慣についてご紹介します。

相手の言葉を遮らずに聞く

どんなに言い返したいことやアドバイスしたいことがあったとしても、まずは相手の話を最後まで聞きましょう。

話を遮られると、相手は「話を聞いてくれていない」という気持ちになり、思いを話したくなくなってしまいます。

相手に「話を聞いていますよ」という意思表明をするためにも、まずは最後まで話を聞くことが大切です。

相手の言葉を繰り返す

「あなたの話を聞いていますよ」と伝えるための、有効な手段のひとつです。

例えば「いただいた提案のAかBで迷ってるんです」と言われた場合、「貴社はAのほうが良いですよ」など答えを促そうとするのではなく、「AかBで迷ってるんですね」と相手と同じ言葉を使って言い返します。

同じ言葉を繰り返すことで、相手により深い思考を促すことができます。

このとき、意味は同じだが違う言葉を使うのは避けましょう。

相手にはその言葉を使った理由があるはずです。

相手の言葉を要約する

相手の考えがまとまっていないと感じたら、これまでの言葉や会話を要約してあげましょう。

この時に大切なのは、「I(アイ)メッセージ」で伝えることです。

「Iメッセージ」とは「あなたはこう言った」と決めつけるのではなく「私はこう受け取りました」と伝える方法です。

例えば「あなたはスタイリッシュなロゴが良いと言いましたよね。だからこういうデザインはどうでしょう」では、相手の気持ちの代弁者のような言い方になってしまいます。

Iメッセージは気持ちを代弁するのではなく、「私はこう受け取りましたが合っていますか」という確認のために行うものです。

先程の例をIメッセージにすると「先程のお話を伺って、私はスタイリッシュなロゴというのは、こういうデザインかなと思ったのですがいかがでしょう」と言い換えることができます。

代弁しようとすると、相手と意見や気持ちが合わなくなった時に、対応がちぐはぐになってしまうものです。

あくまで「あなたの気持ちが知りたい」という確認のために要約しましょう。

デザイナーに必要な「共感力」とは?身につけるべき理由と必要な習慣 まとめ

共感力は特別な能力ではありません。

言い方や目線を変えることで、誰でも身につけることができます。

今回の内容を参考に、ぜひ皆さんも共感力アップを目指してみませんか。