皆さんは「キッズデザイン賞」をご存知ですか?
2007年から始まったキッズデザイン賞では、これまで子どもや子育て世代を意識した、さまざまな商品やサービスが表彰されています。
また誰もが平等に快適に利用できる空間デザインや環境デザインにまで幅広く対応されています。
今回は、キッズデザインとは何か、過去に受賞した商品と合わせてご紹介しましょう。
目次
社会にはまだ少ないキッズデザイン
「社会の宝として子どもを育てよう」
文部科学省では「子育ては親だけがになうものではなく、社会全体で日本の未来を支える子どもを育てよう」という考えを推進しています。
しかしながら、世の中には子どもや子育て世代のライフスタイルを意識した商品やサービスがまだ少ないのが現状です。
そのため、本来であれば、社会の宝である「子ども」が安全に生活できることが必要であるのにもかかわらず、その商品やサービスがないことで、子どもが危険にさらされて犠牲となってしまうこともあるのです。
社会の宝である「子ども」のためにも、今こそ、子どもの安全性や創造性を考えてデザインされた商品やサービスが必要なのです。
キッズデザインとは
日本の未来を支える子どもたちが安心・安全な生活により、健やかに成長することができる環境を作るために、「デザインの力」を活用しようという考えのもとで誕生したものです。
キッズデザインを考えるうえで大切な3つのデザインミッションがあります。
- 子どもたちの安心・安全に貢献するデザイン
- 子どもたちの創造性と未来をひらくデザイン
- 子どもたちを産み育てやすいデザイン
これらは、キッズデザイン協議会というNPOが掲げたものです。
キッズデザイン協議会は、「日本の未来を支える子どものために、また社会の宝である子どものためには、大人や社会は何ができるのか」「少子化社会となった今だからこそ、子どもや子育て世代のライフスタイルに寄り添った商品やサービスを提供すべきではないだろうか」…そのような考えのもとで2007年に誕生しました。
日本国内のさまざまな企業や団体が業種を超えて集い合い、子どもが安全に暮らせる社会を実現するための活動を行っています。
「キッズデザイン賞」とは?
キッズデザイン協議会が、これら3つのデザインミッションを実現させたものを表彰している制度です。
「キッズデザイン」という言葉から、子ども向けのデザインであるとか、子育て世代に好まれるデザインなのではないかと思われるかもしれません。
しかし、大人向けの商品やサービスでありながらも、子どもの視点で考えられた商品やサービスもキッズデザインに含まれます。
キッズデザイン賞は、商品やサービスだけではなく、施設や環境などの空間や、プログラムや調査研究活動などの制度や取り組みについても対象となっており、幅広い分野で募集していることが特徴といえます。
キッズデザイン賞を受賞することにより社会へ広く浸透し、共有されることによって、子どもを取り巻く社会環境の発展に貢献することにもつながっています。
受賞作品にはキッズデザインマークが付与
キッズデザイン賞に受賞すると、その受賞作品に「キッズデザインマーク」を付けることが認められます。
キッズデザインマークを付けることにより、企業や団体は、社会へその成果を訴求することができるのです。
受賞作品の種類や商品単価により異なりますが、キッズデザインマークを使用する場合には初年度のみ使用料が発生します。
2年後以降は無償となるため、企業や団体の商品やサービスをアピールするうえで、キッズデザインマークは必要なツールであるといえるのではないでしょうか。
受賞作品のご紹介
2007年から行われたキッズデザイン賞の受賞作品の中から3作品をご紹介しましょう。
2019年度に行われた第13回キッズデザイン賞については、すでに2019年5月10日に応募締め切りとなり、すでに受賞作品の発表が行われています。。
2019年度の受賞作品がどのような作品なのか、楽しみであるとともに、その作品が社会へどのように貢献していくのかを期待したいと思います。
キンダーマーカーたふっこ
2007年の第1回キッズデザイン賞において、金賞(経済産業大臣賞)およびセーフティデザイン賞を受賞した作品です。
子どもが絵を描くときに、大人のように力を加減してサインペンや鉛筆、クレヨンなどを使うことは難しいものです。
まだ力加減がわからないので、力任せに描くことで、サインペンの先がつぶれてしまったり、鉛筆やクレヨンが折れてしまうことも。
このキンダーマーカーたふっこは、サインペンでペン先が丸くなっています。
そのため、いくら力任せに描いたとしても、ペン先がつぶれてしまうことはありません。
また、ペンのキャップに通気孔がついているため、万一キャップを飲みこんでしまっても窒息することがないような設計になっていたり、子どもの弱い力でも簡単にキャップが開けられるようにキャップの外側にツブツブがついています。
のりかえ便利マップ
2009年の第3回キッズデザイン賞において、金賞(経済産業大臣賞)を受賞した作品です。
東京の地下鉄(東京メトロ、都営地下鉄)の全ての駅で掲出されているので、ご存知の方も多いかもしれません。
このマップは、妊婦さんの身体の負担を軽減するために考えられたものです。
乗換え口や出口だけではなく、エレベーターやトイレの位置も把握することができるため、妊婦さんだけではなく、小さな子どもがいるご家庭や障がいをもった方々にとっても、また電車に不慣れな通勤・通学客にとっても、ストレスなく安心して活用できるものといえるのではないでしょうか。
このマップがない時には、乗換え口が先頭車両近くであるのにもかかわらず、分からずに最後尾車両に乗ってしまい、駅のホームを8両分も歩いてしまったということもあったかもしれません。
そう考えると、のりかえ便利マップが全国の駅に広まることを期待してやみません。
360°ビューモニター
2018年の第12回キッズデザイン賞において、優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞した作品です。
昨年度の受賞であったため、車好きの方や、車の購入を検討していた方などはご存知かもしれません。
自動車事故において、駐車場や狭い道路での発進・後進時や低速走行時の子どもの巻き込み事故が多発しています。
子どもの近親者が運転する車の犠牲となってしまった子どものニュースも見られます
そのような事態にならないために、フロント、サイド(左右)、バックの4つのカメラを使い、ドライバーからは見えない領域の認知をサポートするシステムが、この360°モニターです。
子どもの巻き込み事故を防止するだけではなく、ドライバーの心理的負担の軽減にも役立っています。
子どもを意識したデザインで社会貢献を!キッズデザイン賞とは? まとめ
キッズデザインを考えて制作された商品やサービスは、社会の宝である子どもだけではなく私たち大人も安心して使用することができます。
そのため、キッズデザイン賞に受賞した作品だけではなく、これから制作される商品やサービスが、キッズデザインミッションのもとに制作されることを望むばかりです。