性別や世代を問わず人気のスニーカー。
スポーツシーンだけではなく、タウンユースにも使える便利なファッションアイテムです。
だからこそ、履きやすさだけではなく、デザインにもこだわった一足を見つけたいと思う方も多いはず。
今回は、2019年に話題となった厚底ソールとともに、次世代型ソールデザインについてご紹介しましょう。
目次
オシャレは足元から。ソールで差をつけよう!
2018年にスポーツ庁がスニーカー通勤を推奨したことにより、ビジネスシーンにおいてもスーツに合うデザインのスニーカーが注目を浴びています。
今まで革靴しかなかったメンズ高級ブランドにおいても、スニーカーの取扱いを開始するなど、ジャケパンにスニーカーはスタンダードな形になりつつあるようです。
他のファッションアイテムと同じようにスニーカーにも流行りがあります。
2018年頃からメンズ、レディース問わず注目されているのが、ダッドスニーカー。
「Dad=お父さん」が履くようなダサいスニーカーという意味で、厚底ソールでぽってりとしたフォルムのスニーカーのことをいいます。
フランスのブランド「バレンシアガ」がTriple Sというモデルが発売と同時に完売したほどの人気を記録したことで、世界に広まったと言われています。
厚底ソールはファッション界だけではなく、マラソン界にも影響を与えています。
2019年に東京五輪の日本代表選考会として行われたMGCで上位10位中8選手が厚底ソールだったというニュースが世間を賑わせました。
マラソン上級者は脚の筋力があるために薄いソールで、初心者はまだ筋力がついていないことから脚を守る厚いソールでという今までの常識を覆したのです。
このように、スニーカーにも他のファッションアイテムと同様に流行があり、2019年から2020年はまさに「厚底ソール」がアツいといえます。
ソールで差をつけることが、オシャレへの第一歩だと言えるのではないでしょうか。
スニーカーブーム
スニーカーがこの世に誕生したのは1890年代。
日本でもスポーツシューズとしてスニーカーを履く人はいましたが、ファッションとして初めてスニーカーブームとなったのは1990年代の頃です。
バスケットボールシューズから始まったブームは、ハイテクスニーカーが1990年代後半にかけて人気となります。
スニーカーとしての機能よりも、いかに珍しいスニーカーを履いているかに注目されていたため、人気スニーカーにうん十万円という値段が付けられていたこともあったのです。
2000年代に入るとブームは下火になります。
しかし2010年以降、女性がファッションアイテムにスニーカーを取り入れたことで、再ブームが訪れます。
過去に人気を博したモデルの復刻版や、他業界、著名人、デザイナーとのコラボモデルが世間を賑わせました。
一番重要なパーツは「ソール」
スニーカーは大きく分けると、アッパーとソールから作られています。
アッパーは足の甲を覆う部分、ソールは足裏を支える部分のことを言います。
アッパーは言うならば、スニーカーの顔。
デザインもさることながら、レザーやメッシュ、キャンバスにスエードなど色々な素材が使われていることが多く、その素材によってスニーカーのイメージが異なります。
それに比べて、ソールはというと、アッパーに比べて地味な部分。
足にとって履き心地の良し悪しが決まる部分であり、シューズメーカーなどでは、履き心地の良さやスニーカーの機能を高めるために、日々開発が行われています。
ソールはシューズにとって縁の下の力持ち的な存在であり、一番重要なパーツでもあるのです。
ソールの3つの種類 それぞれの役割とは
ソールには、「インソール」、「ミッドソール」、そして「アウトソール」と3つの種類に分かれています。
それぞれのソールには役割があります。
この3つのソールがお互いに調和することによって、履き心地だけではなく、スニーカーが持つ機能が発揮されるのです。
では、それぞれの機能と役割について見ていきましょう。
インソール
スニーカーの内側にあるソールで、中敷きと言った方がわかりやすいでしょうか。
別名「フッドベット」と呼ばれています。
足の裏とスニーカーとを接着するパーツです。
直接足の裏に接する部分なので、インソールが履き心地を左右します。
クッション性の高いものもあれば、素足で歩いているような感覚の薄いものもあるため、用途にあわせて使い分けることができます。
ミッドソール
インソールとアウトソール(靴底)の間の部分をミッドソールと言います。
スニーカーの機能面を左右するのが、この部分。
足への衝撃を吸収し、足への負担を軽くするのは、ミッドソールのクッション性が関係しています。
衝撃吸収材やジェル素材、エアバックなど、シューズメーカーの技術が見え隠れする部分でもあります。
昨今の流行りである厚底ソールは、このミッドソール部分を厚くしており、機能面はもとより、デザイン性が高いソールが多いのが特徴です。
アウトソール
地面と直接触れる靴底をアウトソールと言います。
スニーカーの用途によって、アウトソールの硬さが異なり、グリップ感や安定感、耐摩擦性などに違いが生まれるのです。
またアウトソールに刻まれた溝は、用途によっても異なります。
アウトソールメーカーでもあるビブラムでは、溝のデザインを蜂の巣や波紋など、自然をモチーフとしています。
このように。アウトソールは機能面だけではなくデザインにおいても重視されていることが多いのが特徴です。
機能だけではない?今求められるデザインとは
ここ十年の間に、ソールは進化を遂げています。
特にミッドソールは、ハイテクスニーカーがブームの頃とは機能もデザインも雲泥の差ほど違いがあるほど。
昨今、機能や見た目のデザインだけではなく、「ストーリー性」というデザインが重要視されています。
このストーリー性こそが、「次世代型」なのです。
次世代型とは商品だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的価値に共感することです。
それこそが、今求められているデザインなのではないでしょうか。
次世代型ソールデザインの3つのポイント
昨今、注目されている次世代型ソールデザインのポイントは次の3つ。
- コラボレーション
- サスティナビリティ
- 3Dプリント
これらのポイントがソールデザインにどのように作用しているのかを事例を挙げてご紹介しましょう。
コラボレーション
ADIDAS GMR (アディダス)
アディダスとグーグルのコラボレーションによって誕生した「ADIDAS GMR」。
インソールの中にグーグルのテクノロジー「Jacquard」搭載のタグが入っていることで、リアルとゲームが連動します。
このインソールを履いて実際にサッカーのパフォーマンスをすると、サッカー特有の動きをアルゴリズムで測定。
キックやシュートのパワーや距離などのデータを専用のアプリ「EA SPORT FIFA Mobile」と連動し、ゲーム内のチームの成績やランキングなどに反映することができるというものです。
GRIT (アディダス)
画像引用元:Aarish Netarwala
アメリカ・カリフォルニア州にあるArt Center College of Designとのコラボレーションにより誕生した「GRIT」。
スポーツ選手は、トレーニングの一環で、関節への負担軽減だけではなく、効率よく足腰を鍛えることができることから、アスファルト上でのランニングではなく、砂浜の上でのランニングを取り入れていることがあります。
しかし、必ずしも近くにそのような環境があるとは限りません。
砂に模したソールをミッドソールに使うことにより、あたかも柔らかい砂の上でのトレーニングをしているかのごとく、再現しています。
現段階ではプロトタイプであるため、今後商品化がされることを願うばかりです。
サスティナビリティ
SPACE HIPPIE(ナイキ)
画像引用元:ナイキ スペース ヒッピー 常識を変えてより良い未来に挑む
「持続可能性」とも訳されることがあるサスティナビリティ。
環境問題や社会貢献活動を課題としている企業で取り組まれています。
かくいうナイキは、過去30年にわたり環境問題に取り組んでおり、現在においては製品の75%が再生素材を使用しているとのこと。
この「SPACE HIPPIE」においてもソールだけではなく、スニーカー全体が廃棄素材を原料にしています。
ソール部分にいたっては、製造工程においても新しい素材の使用を減らすことで、二酸化炭素排出量の削減に成功。
それだけではなく、廃棄素材を合わせて再生することで、二つとして同じものはない素材感や色の特異性がアバンギャルドだと言えるでしょう。
3Dプリント
QUANT-U(エコー)
商品やサービスにおいてパーソナライズされたものが注目されています。
この「QUANT-U」は、その人の足にあったミッドソールを製作するもの。
まずは、足の形を3Dスキャン。
そしてその次にウェラブルセンサーとAIを搭載したシューズを履いてトレッドミルで30秒歩くことで、その人の歩き癖などの特徴をデータ化。
これらの2つのデータをもとに3Dプリンターでシリコン製のミッドソールを作り出します。
これはミッドソールをオーダーメイドしていることと同じなのですが、製作時間は両足でたったの2時間。
世界に一つの自分専用のソールをその日のうちに持ち帰ることができます。
シューズ選びはソールから。次世代型ソールデザインとは まとめ
スニーカーの場合、ソールの素材や厚さで時代を感じることができます。
今回紹介した次世代型ソールデザインも、5年後には過去のものとなっているかもしれません。
しかし、商品飽和社会である今、次の時代においてもストーリー性がある商品が求められることを願っています。