デザイン紹介

無意識に体感している街の案内役「サインデザイン」とは?おしゃれな事例もご紹介!

無意識に体感している街の案内役「サインデザイン」とは?おしゃれな事例もご紹介!

家から一歩外に出ると、道路の標識に案内板、トイレを表すピクトグラムや非常口の誘導標識など、私たちはたくさんの「サイン」に囲まれて生活をしています。

他人と言葉を交わさなくとも、そのサインが表す内容を察知して行動しているのです。

私たちの生活には欠かせない「サイン」のデザインとは何か、また街中で見かけたオシャレなサインデザインをご紹介します。

サインとは

「サイン」という言葉には色々な意味があります。

クレジットカードのサインや、芸能人や著名人が色紙に書くサイン、そして野球などのスポーツで同じチームにおくる合図としてのサイン。

今回ご紹介したいサインは、標識や案内としてのサインです。

例えば、ショッピングモールのトイレや喫煙所などの入り口で、イラストを使ったマークを見たことはありませんか?

ピクトグラムと言われているもので、それらもサインの一つだといえます。

また、道路標識や駅構内にあるのりば表示、会社や学校、ホテルなどで部屋名を表す表示札もサインなのです。

世界共通!生活には欠かせないサインデザイン

私たちの生活には欠かせない「サイン」。

そのサインを、私たちはどのように見ているのでしょうか。

ほとんどの方が無意識かつ瞬間的に見ていることが多いのではないでしょうか。

どのようなシーンで見るかによって、サインの役割は異なります。

例えば、車を運転している時にはサインを凝視することができません。

とっさの判断が必要だからです。

そのため、運転席からでも、一瞬で認識することができる情報量でなければなりません。

また、サインの大きさも重要です。

小さすぎると見落としてしまいます。

サインは、見る人の印象に残るデザインでなければならないのです。

反対に、歩いて移動する場合には、じっくりサインを見ることができます。

立ち止まって確認することもできるため、多くの情報量を表示できるのです。

このように、人々がスムーズに行動できるよう、さまざまな角度からサインを考え、設計することを「サインデザイン」といいます。

見やすさや分かりやすさだけではなく、デザインや色などにも考慮し、人々の印象に残り、かつ街の景観や施設のコンセプトなどを損なわないデザインが求められているのです。

サインデザインのガイドライン

会社や学校、ショッピングモールなどの施設のサインデザインを考える時には、その施設担当者とデザイン会社の間で、どのようなサインにするかを設計していきます。

反対に、市町村の公共施設の案内板や標識などのサインの場合は、市町村の中で統一を図るため、あらかじめガイドラインを設けているものもあります。

ガイドラインには、色彩や大きさ、書体、表記方法、そしてデザインの考え方などが記されており、そのガイドラインに沿ったデザインにしなければなりません。

ユニバーサルデザインに配慮している点については共通だとしても、デザインのコンセプトや考え方は市町村により異なるので注意が必要です。

サインデザインを競う「日本サインデザイン賞」

デザイナーの技量を競うデザインの大会は数多くありますが、サインデザインにもそういったものがあるのはご存知でしょうか。

公益社団法人日本サインデザイン協会が主催している「日本サインデザイン賞」です。

このデザイン賞は、日本で唯一のサインデザインに関する顕彰事業で、優れたサインデザインを広く社会にアピールすることにより、サインデザインの普及と啓発を図る目的で作られました。

2019年に53回を迎えた、国内では歴史のある賞といえるでしょう。

過去の受賞作を見ていると、デザインの流行の変遷をうかがい知ることができます。

ここ数年は日本人だけでなく、海外から訪れる外国人にもわかりやすいデザインが受賞しているように見受けられます。

自社にも取り入れたいサインデザインをご紹介!

会社や学校、または多くの人が利用する施設などで、よく「〇〇はどこですか?」と聞かれることがあるかもしれません。

その場合には、今あるサインデザインを考えた方がよいのかもしれません。

サインのわかりにくさは、大きさだったり、情報量だったりします。

多くのことを伝えたいからと、サインに多くの情報量を入れてしまうと、反対に分かりにくくなってしまうからです。

今回ご紹介するのは、一風変わったオシャレな室内表示や案内表示のサインデザインです。

サインデザインを検討してみようかと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

LUMINE 0

画像引用元:木住野彰悟

JR新宿駅直結のイベントホール「LUMINE0」。

ファッションやデザイン、アートやエンターテインメントの場としてだけではなく、人と人とがコミュニケーションを行う場でもあります。

白色を基調とした空間の中に、細い線で描いたピクトグラムが宙に浮かんでいるようなデザインは斬新そのもの。

クリエイティブな空間だからこそ、活きるデザインなのではないでしょうか。

能作

富山県高岡市にある鋳物メーカー「株式会社能作」は創業100年以上の老舗メーカー。

2017年に産業観光というテーマで、工場とオフィス、カフェにショップ、体験工房を一つの屋根の下に集めた新社屋が完成しました。

新しい工場へと向かう廊下に、自社の鋳物で作った漢字のサイン。

鋳造場の「鋳」、仕上場の「仕」など、漢字のサインは珍しく、思わず見入ってしまいます。

中国などへ行っても見かけることは少ないので、貴重なサインなのではないでしょうか。

株式会社能作のInstagram

ナインアワーズ

2019年11月29日現在、全国に16店舗ある「ナインアワーズ」。

「シャワーを浴びる(1時間)」+「眠る(7時間)」+「身支度をする(1時間)」の9時間の滞在を提供する宿泊施設です。

基本的にはセルフサービス。

チェックインをしてから自分が宿泊するブースに行くまで、またシャワールームまでをすべてサインの案内で行動できるようにデザインされています。

ピクトグラムと数字、そして矢印というシンプルなサインですが、日本人だけではなく外国人観光客でもわかりやすいデザインです。

ナインアワーズHP

九州芸文館

画像引用元: 九州芸文館(Facebook)

福岡県筑後市にある「九州芸文館」は、あの新国立競技場やJR高輪ゲートウェイ駅を設計したとされる、隈研吾氏が設計協力者として携わっていた文化施設です。

この九州芸文館は1つの建物ではなく、本館やアネックス館など複数の施設から成り立っています。

また、福岡県営筑後広域公園内にありますが、敷地内には他の施設もあるため、案内表示が必要なのです。

この鋼管を曲げたデザインの案内標識は、一見すると無機質ではありますが、公園の芝生の緑色や空の水色をバックにすると映えるデザインではないでしょうか。

あおそらなないろ園

秋田県秋田市にある「あおそらなないろ園」は、幼保連携型認定こども園です。

園のシンボルマークは「なないろの虹」。

そして、0歳児から6歳児までのクラス名は「空」にちなんだ名前となっています。

クラスの表示に、まだ字が読めない子どもでも絵を見るだけでわかるように、クラス名のイラストとひらがなで表示されています。

子どもが認識しやすい原色を使った子ども向けのデザインです。

Clorie Design Inc.[クロリデザイン]のInstagram

無意識に体感している街の案内役「サインデザイン」とは?おしゃれな事例もご紹介! まとめ

あまりにも身近すぎて、見ているようで見ていない、そして無意識に体感しているのがサインです。

私たちが生活をしていく中で、私たちの行動を誘導してくれる案内役であるサイン。

サインがある世界に慣れてしまった私たちは、サインがない世界では生きていけないかもしれません。

シチュエーションによって、色々な角度からデザインされたサインを、今度はいつもよりも注目して見てみませんか?

今まで見たことのないデザインに出会えるかもしれません。