商品やサービスを選ぶ時に「このメーカーだから」とか「この人だから」という理由で選ぶことはありませんか?
モノがあふれている現代においては、消費者の記憶に残る「ブランディングデザイン」にすることで、商品の売上アップだけではなく企業価値も高めることができるそうです。
ブランディングデザインとは何か、そしてブランディングデザインの成功事例をご紹介しましょう。
目次
ブランディングが求められる時代に
需要と供給のバランスが崩れ、供給過多になっている昨今、なかなか商品が売れない時代になってきています。
またネット上で商品を購入できることから、類似商品や粗悪商品が横行し、消費者にとってもどの商品を選択してよいのかがわからないという状況になっているのではないでしょうか。
そのような世の中で今、企業に求められているのが「ブランディング」です。
この「ブランディング」を行うことで、集客や企業価値の向上、そして企業の採用力や組織力まで強化することができるのです。
ブランディングとは?
では「ブランディング」とは何でしょうか。
企業や、その企業の商品をより多くの人に認知してもらい、好感を持ってもらうための取り組みのことを「ブランディング」と呼んでいます。
簡単にいうと「〇〇の商品なら△△会社」というように、価格や品質ではなく「この会社だから」「あの人がいるお店だから」という、他社にはないブランドを生み出すことなのです。
企業はブランディングを行うことで、消費者の集客力を強化し、売上を伸ばすことができます。
さらに、企業としての価値も上げることができるのです。
また求人の面でも、よい人材を採用することができたり、組織の中でモチベーションが向上するなどの組織力まで強化することが可能となるのです。
デザインとブランディングの関係性
「集客力」「採用力」「組織力」を強化するためのブランディングはどのように広めていけばよいのでしょうか。
人間は、ご存知の通り、五感から色々な情報を入手しています。
しかし、その中でも視覚から得られる情報量が多く、全体の87%を占めるそうです。
また視覚から得る情報は、他から得る情報に比べて、脳への伝達スピードが最も速く、強いインパクトを与え、記憶に長く残りやすいという特徴があります。
そのため、情報がわかりやすく視覚化されたビジュアル表現を上手く活用することにより、ブランディングを強化することができるのです。
ビジュアル表現とは言葉だけではなく、色や形、イメージがデザインされたものです。
デザインは視覚で価値を伝える役割があります。
その商品を見るだけで、その商品の価値が直感的にわかるようにするためには、「デザイン」の持つ力が必要なのです。
ブランディングデザインとは
企業自体、そして取り扱う商品をより多くの人に認知してもらうために、企業のフィロソフィ―やアイデンティティ、コンセプトをビジュアル表現として発信するブランディング活動のことをいいます。
ブランディングデザインの一例として以下のデザインを挙げることができます。
- Webサイト
- ロゴ
- コーポレートカラー
- パンフレット
- チラシ
- 名刺
- パッケージ
- 製品
- 空間
- 映像
企業のフィロソフィーやアイデンティティをブランディングデザインに落とし込み発信された情報は、人々に企業やその企業の商品について認知させるだけではなく、より長く記憶に残すという効果もあるのです。
ブランディングデザインはデザインの良し悪しだけではなく、「企業やその企業の商品がもつイメージやコンセプトを表現できているか」が重要なのです。
ブランディングデザインを作るために必要なこと
人から注目を浴びるようなカッコいいデザインにすれば「集客力」「採用力」「組織力」が強化できるということではありません。
ブランディングデザインを行うために、まずは以下の3つの要素を明確にしなければなりません。
コンセプト
「誰が、誰に、どのように、何を伝えるか」という商品の企画において、もとになる考え方のことです。
まずはコンセプトを確立しましょう。
ターゲット
年齢や性別、地域や趣味など、購入してほしい顧客層のことです。
ターゲットを明確にすることで、そのターゲットに響く商品デザインが行いやすくなります。
ポジショニング
市場においての自社と他社商品の位置付けのことです。
新たにブランディングデザインを行う場合、それぞれのポジショニングを把握することで、ブルーオーシャンのデザインを行い、差別化を図る必要があります。
ブランディングデザインの成功事例をご紹介
ブランディングデザインという手法を活用して成功した事例をご紹介します。
ブランディングデザインで成功するためには、「コンセプト」「ターゲット」「ポジショニング」を明確にし、ブランディングを確立したうえでデザインを行っています。
白鶴酒造のロゴデザイン
画像引用元:白鶴酒造株式会社
金の鶴のマークといえば「白鶴酒造」。
お酒に興味がある人であってもそうでなくても、「日本に昔からある伝統的な酒造メーカー」というイメージは強いのではないでしょうか。
1979年に、業界に先駆けてコーポレート・アイデンティティシステムを導入しています。その際、「時をこえ親しみの心をおくる」というスローガンとともに作られた企業ロゴは、白鶴酒造が伝統的に使用してきた商標「白鶴」を現代的に躍動感あるフォルムで表現されたものです。
このロゴは企業ロゴだけではなく商品パッケージにも使用されることで、消費者の目に触れる機会が増え、早い段階から多くの人に浸透されました。
SEA BREEZEのパッケージデザイン
アメリカで誕生したシーブリーズは1969年に日本で販売が開始されてから50年も愛され続けているデオドラント商品です。
販売当初は、海水浴に行ってシャワーを浴びた後に肌をクールダウンさせるデオドラント商品として、20~30代の男性向けの商品だったシーブリーズ。
しかし、年々海水浴に行く人も少なくなり、販売当初使っていた人達も高齢化したことにより、デオドラント商品としては時代遅れの産物になりつつありました。
そこで商品を販売している資生堂は、今まで「海」や「夏」というイメージから「部活」「学校」という日常イメージに訴求ポイントを変更し、シーブリーズのターゲットを20~30代の男性から10代の若者に変更したのです。
この変更によりパッケージもカラフルで可愛い、10代の若者が手に取りやすいデザインへ一新。
これによりシーブリーズの売上が低迷期の8倍も上がったそうです。
nana’s green teaのインテリアデザイン
日本人には馴染みの深い日本茶。
現代においては日本人だけではなく外国人にも人気の飲み物です。
そのため、抹茶カフェ「nana’s green tea」は日本だけでなく上海、台湾、シアトルなどの海外にも展開しています。
「誰もやったことのないカフェを作る」という朽網一人社長の志のもと、「現代の茶室」をデザインコンセプトとして全店舗異なるインテリアデザインを行っています。
ブランドイメージを確立するために「茶鶴」というオリジナルの文様をベースに各アイテムを制作することで、ブランドイメージの統一を図っているそうです。
企業価値を高めるためのブランディングデザインとは まとめ
他社商品と差別化を図るだけではなく、企業としての価値を高めるためにも、「ブランディング」は大切な取り組みだといえます。
そして、そのブランディングをデザインし、ビジュアル化することにより、より多くの人々に記憶に残るイメージを残すことができるのです。
モノがあふれ、消費が低迷しているこの現代社会において、ブランディングデザインを活用した商品やサービスを作り出すことが、企業価値を高めるための一番の近道なのではないでしょうか。