2019年にEU諸国とチリでワインの関税が撤廃されたことにより、私たちは良いワインをより安く購入できるようになりました。
しかし、いざワインを選ぶ時には、どのワインを選んでよいのかが分からずに悩んでしまうことはないでしょうか。
そのような時こそ、ワインの顔であるエチケットデザインで選ぶことをおすすめします。
では、ワインのエチケットと、世界のワインの中からオシャレなエチケットデザインを併せてご紹介しましょう。
目次
ワインのエチケットとは?
「エチケット」と聞いて「ワインを飲む時の礼儀作法のこと?」と思った方もいるかもしれません。
「エチケット」とは、フランス語でワインボトルに貼ってあるラベルシールのことをいいます。
このエチケットには、ワインの銘柄や生産国だけではなく、ワインに関する情報がたくさん書かれています。
エチケットに書かれている情報を参考にして選びたいところですが、ワインに詳しくない場合には少々難しいのかもしれません。
そのため、ワインショップの方のおすすめを購入してしまうことがあるのではないでしょうか。
エチケットに描かれたてんとう虫の意味
時々、てんとう虫が描かれているエチケットを見かけることはありませんか?
これはオーガニックワインを表しています。
オーガニックワインとは、有機農法で育てたブドウを原料として使用し、醸造や瓶詰工程においても化学薬品を使わずに作ったワインのことです。
農薬を散布する代わりにてんとう虫を使って害虫駆除をしていることから、オーガニックワインのエチケットに描かれています。
ワインの作り手の立場からてんとう虫を見ると、ワイン作りの協力者とも言えるかもしれません。
国によってワインのエチケットはどう違う?
基本的にどの国のワインであっても、エチケットには以下の項目が記載されています。
ただし、その国のワインの法律や、作り手の意向により、記載の内容が異なることも。
- ワインの銘柄
- 収穫年
- 格付け
- ブドウ品種
- 生産国
- 地区名
- 容量
- アルコール度数
- 瓶詰元
また、その国の歴史や文化などによってエチケットのデザインの傾向も異なります。
ワイン伝統国の場合
ワイン王国で知られるフランスは、その歴史が紀元前まで遡るほど古く、伝統的な醸造方法を用いて製造しています。
また、原産地呼称統制法により、それぞれの土地で使用可能なブドウ品種や製造法なども決められており、市場に流通するために厳しい審査を行っているため、味わいや風味にブレはなく、高い品質を誇っています。
これはフランスに限ったことではありません。
ワイン伝統国といわれているヨーロッパ各国においても、ヨーロッパの歴史や文化、料理とともにワインは発展し、今に至ります。
ひと昔前とは異なり、ワインコンサルティング会社が介入していることもあるため、新しいものを受け入れてはいるようですが、やはり「伝統を守り、伝える」という考えが強いのが特徴です。
そのため、エチケットにおいても生産者であるシャトーやドメーヌといった醸造所やお城、紋章が描かれているものが多く、クラシックなデザインとなっています。
ニューワールドの場合
ワインの生産の歴史が浅い、チリやオーストラリア、アメリカ、日本などのヨーロッパ以外の生産国は「ニューワールド」と呼ばれています。
ニューワールドのワインの特徴としては、最新設備でワインを大量生産しており、自国よりも海外へ輸出するために作られていることが挙げられます。
そのため、エチケットにおいては、消費者の手にとってもらいやすいように、ポップで現代的なものが多いデザインとなっています。
オシャレなエチケットデザインをご紹介
ここまで、ワインの伝統国とニューワールドのエチケットデザインの特徴に大きな違いがあることを解説しました。
しかし、世界には数多くのワイナリーがあり、数多くの作り手が存在し、数多くのワインの銘柄があります。
銘柄の数だけ、エチケットのデザインは存在します。そこには、作り手の想いが込められています。
ワインの作り手も世代交代する中、世界の中でオシャレなエチケットデザインのものが数多くあります。
その中から4点をご紹介します。
Librottiglia (イタリア・Matteo Correggia)
画像引用元:Librottiglia
イタリアのワイナリー「Matteo Coreggia」と広告制作会社「Reverse Innovation」とのコラボにより制作されたエチケットは、紐をほどくと、物語の書かれた冊子が表れるデザイン。
白・赤ワインの3種類のワインがあり、その中でも「ROERO」というワインには、Regina Marques Nadaes氏の小説「I love you. Forget me.」という真っ赤なルビー色の赤ワインにマッチした情熱のラブストーリーが書かれています。
イタリアワインなので、エチケットはイタリア語で書かれていますが、ワインが飲めなくても部屋に飾っておきたいと感じるのではないでしょうか。
エチケットデザインが冊子状になっている、かなり珍しいワインです。
MATSU (スペイン・Vintae)
画像引用元:Bodega Matsu El Pícaro, El Recio y El Viejo, tres vinos de Toro
このエチケットを日本で見かけたことがある方もいるかもしれません。
全国展開しているスーパーのリカーショップでも購入することができるワインです。
このワインのエチケットに描かれている人は、原材料であるブドウを作っている農夫たち。
このワインは、樹齢100年以上の樹から収穫されたブドウを使っています。
そのため、古樹のある畑を守ってきた農夫へ感謝と敬意が捧げたものとなっているのです。。
イラストで人物を描いたものはよく見かけますが、このワインのように実在の人物写真をエチケットとしたものはMATSU以外にはないのではないでしょうか。
Summer in a Bottle Rose 2018(アメリカ・Wolffer Estate)
画像引用元:wolffer estate vineyard – Products – Summer in a Bottle Rosé 2018
アメリカ・ニューヨーク州にある「Wolffer Estate」は、セレブ御用達のワイナリーとして知られています。
ワイナリーには競技馬場が併設されており、セレブの社交場で馬術を見ながら、楽しく飲まれているワインです。
このワインボトルの中央にはワインの情報が白色で記されてはいますが、それよりもボトルに描かれているたくさんの草花が目をひくかわいいデザインが特徴的です。
ワインを飲む前と飲んだ後では、ロゼワインの淡いピンク色の背景の有無により、草花の違う表情を見ることもできます。
Mather Milk (オーストラリア・First Drop Wines)
画像引用元:First Drop Wines(Instagram)
First Drop Winesの歴史は、1995年にロンドン大学で地理学を専攻していた大学生が「ブドウ栽培の歴史地理学」という授業を受講したことをきっかけに、ワイン造りの人生を送ろうと決心したことからはじまりました。
設立当初は自社農園や醸造設備がなかったため、自分たちでブドウ農家をまわり、最高のものを買い付け、他のワイナリーの醸造設備を借りて、スタートしました。
ワインの作り手としてはまだ経験も浅い彼らでしたが、強いこだわりを持っていたため、その品質が高く評価されるように。
また彼らは、ワインと同じくエチケットにもこだわりを持って作成しました。
ワインのもつ一つ一つのストーリーを、アメリカンコミックとして表現したエチケットは、舌だけではなく目も楽しませてくれます。
思わずジャケ買い?オシャレなワインボトルのエチケットデザインをご紹介! まとめ
最近ではコンビニでも気軽にワインを購入できるようになり、ワインは特別な日に飲むものではなくなりました。
日常でも飲むことができる低価格帯のワインであっても、オシャレなエチケットデザインのワインが数多くあります。
エチケットデザインはワインの作り手の想いが詰まっているため、デザインから感じるイメージとワインの味のイメージが同じであることが多いため、ワイン選びに失敗することは少ないでしょう。
ぜひワインを購入する時には、エチケットデザインから感じるイメージをもとにワインを選んでみてください。