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ゆるキャラグランプリから考える「愛されるゆるキャラデザイン」4つの特徴

かつて一斉を風靡した「ゆるキャラ」ブーム。一時代に比べればその勢いは落ち着いたものの、現在もさまざまな地域や企業で「ゆるキャラ」が活躍中です。今回は「ゆるキャラグランプリ」の傾向から、愛されるキャラクターの特徴についてご紹介します。

旅先で、「この地域にもゆるキャラがいたの?」と驚いた経験のある方は多いと思います。

場合によっては、自治体公認のゆるキャラよりも非公認のゆるキャラの方が、テレビやYou Tubeなどのメディアへの露出が多いこともあるゆるキャラの世界。

そんなゆるキャラが末永く愛されるため、今回はそのデザインの特徴をご紹介しましょう。

ゆるキャラの定義

「ゆるキャラ」とは「ゆるいキャラクター」の略語だということは、すでにご存知の通りだと思います。

この言葉の名付け親は、漫画家・エッセイストのみうらじゅん氏。

当初、ゆるキャラは、全国の地方自治体が主催するイベントや町おこし、名産品のPRなど地域振興のために作られたキャラクターのことを指していました。

そのため、地域にある歴史的建造物や名産品などをモチーフとしたものが多く、当初のゆるキャラは、ご当地キャラクターと同じ意味で使われていました。

また自分の町や村をPRするために、イラストという二次元の世界だけではなく、イベント時に着ぐるみを着ることが、欠かせない条件とされていました。

名付け親である、みうらじゅん氏が掲げた「ゆるキャラの定義」は、2009年にORICON STYLEの取材で明らかにされています。

  1. 郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること
  2. 立ち振る舞いが不安定かつユニークであること
  3. 愛すべき、ゆるさ、を持ち合わせていること

また、みうらじゅん氏は当時、プロのデザイナーやイラストレーターが作成した「作られたキャラクター」ではなく、素人が考えた、ゆるいキャラクターを想定していたといいます。

しかしながら、のちに「ゆるキャラ」がご当地キャラクターだけではなく、企業のプロモーションキャラクターも含めた意味で使用されるようになったこともあり、今では対象の範囲が曖昧となっているのが現状です。

ゆるキャラグランプリ受賞キャラの傾向

ゆるキャラグランプリ」というイベントをご存じですか?

年に一度、全国の数あるゆるキャラたちが集まり、行われる祭典です。

ゆるキャラグランプリとは

全国のゆるキャラたちが集まる全国大会で、2010年から行われています。

グランプリの順位は一般投票によって決まります。

第1回大会の優勝キャラクターは、滋賀県彦根市のひこにゃん。

そして第2回大会の優勝キャラクターは、熊本県のくまモンでした。

どちらのゆるキャラも、グランプリで優勝すると、テレビなどのメディアで紹介されるだけではなく、名産品のパッケージデザインに使用されたり、多くのイベントで引っ張りだこの状態に。

ゆるキャラが優勝した自治体は、全国の人々に、ゆるキャラを通して地域性や名産品についてもPRすることができるため、ゆるキャラによる経済効果は多大なものであったそうです。

特に熊本県のくまモンの場合、2011年大会で優勝して一躍脚光を浴びたことから、観光や関連グッズの売上が、2011年~2013年の2年間で1244億円を上回る結果となり、経済効果は絶大なものでした。

そのため、くまモンに続けとばかりに、同じような経済効果を期待して、新たにゆるキャラを作り、ゆるキャラグランプリにエントリーする地方自治体も存在したそうです。

過去5年のグランプリの傾向

2013年大会から、ご当地キャラクターだけではなく、企業のプロモーションキャラクターも合わせて行われるようになりました。

ここでは2014~2016年大会分は、ご当地キャラクターと企業プロモーションキャラクターを含めた総合ランキングを、2017~2018年大会分は各部門のランキングをトップ3までご紹介します。

2014年

第1位 第2位 第3位
ぐんまちゃん(群馬県) ふっかちゃん(埼玉県深谷市) みきゃん(愛媛県)

2015年

第1位 第2位 第3位
出世大名家康くん
(静岡県浜松市)
みきゃん
(愛媛県)
ふっかちゃん
(埼玉県深谷市)

2016年

第1位 第2位 第3位
しんじょう君
(高知県須崎市)
はにぽん(埼玉県本庄市) チュッピー(岡山県総社市)

2017年

<ご当地部門>

第1位 第2位 第3位
うなりくん
(千葉県成田市)
ちりゅっぴ
(愛知県知立市)
トライくん
(大阪府東大阪市)

<企業・その他部門>

第1位 第2位 第3位
りそにゃ
(りそなグループ)
えがおん
(べラジオコーポレーション株式会社)
にゃんまる
(株式会社マルハン)

2018年

<ご当地部門>

第1位 第2位 第3位
カパル(埼玉県) ジャー坊(福岡県大牟田市) こにゅうどうくん(三重県四日市市)

<企業・その他部門>

第1位 第2位 第3位
はぴ太ファミリー
(関西電力株式会社)
カテエネコ
(中部電力株式会社)
かんぽくん
(株式会社かんぽ生命保険)

※参考サイト:ゆるキャラグランプリ公式サイト

愛されるゆるキャラデザイン 4つの特徴

これらのデザインをふまえて、愛されるゆるキャラデザインの特徴をご紹介しましょう。

共通している特徴は次の4点です。

1.動物モチーフ

ゆるキャラは、その地域にある歴史的建造物や名産品などがモチーフとなっています。

しかし、それだけでキャラクターが成り立たない場合には、動物と組み合わせることで愛されるキャラクターになっている場合もあります。

例えば、滋賀県彦根市のひこにゃんの場合は、彦根藩当主であった井伊直孝公を、お寺の門前で雷雨から救った「招き猫」と、井伊軍団のシンボルである「赤備え(兜)」を組み合わせたデザインとなっています。

トップ3に入っているゆるキャラのほとんどは動物モチーフであり、今後新しいゆる

キャラを作る時には、迷わずに動物モチーフとすることをおすすめします。

2.はっきりとした色使い

ゆるキャラは老若男女問わず愛されなければ、地域振興の要にはなり得ません。

小さな子どもでも興味を持ってもらうためには、はっきりとした色使いのデザインが良いでしょう。

特に子どもは、赤・青・黄色といった原色を好みます。

ゆるキャラをデザインする時には、子どもが好む色を入れてデザインすることをおすすめします。

3.2~3頭身の頭でっかち幼児体形

みうらじゅん氏によるゆるキャラの定義にもうたわれているように、「立ち振る舞いが不安定でユニーク」でなければいけません。

ということは、赤ちゃんや幼児のようにかわいく歩くキャラクターでなければならないのです。

そのためには、人間と同じスタイルではなく、2~3頭身で頭が大きい幼児体形のデザインをしたキャラクターでなければ定義を遵守しているとはいえないでしょう。

そして、このデザインをすることで、ゆるキャラのかわいらしさが一段とアップするのです。

4.カワイイ

もしかしたら、一番重要なのは、「カワイイ」ことかもしれません。

誰からも愛されるキャラクターは、しかめっ面をしていたり、見ている人に気持ち悪いと思わせる顔をしていては困ります。

誰からも「愛らしい」「カワイイ」と思われ、思わずぎゅっと抱きしめたくなるくらいのキャラクターでなくてはなりません。

今では世界共通語となった「カワイイ」は、ゆるキャラにとっては必要不可欠です。

ゆるキャラ募集は尽きない

2010年から行われたゆるキャラグランプリは、2015年までエントリー数はうなぎ上りでしたが、2016年以降は徐々にエントリー数が減り続け、2018年のエントリー数はピーク時の約半数まで落ち込みました。

しかし、現在においてもゆるキャラ募集は尽きません。

同じく、地方自治体まで大きな組織ではない町の商店街や、市民が利用する公民館や市民ホールのキャラクター募集はまだ引き続き行われてます。

これはなにより、ゆるキャラが持つインパクト、そして人々を引きつける何かがあることの現れではないでしょうか。

愛されるゆるキャラデザインの特徴とは まとめ

ゆるキャラグランプリは最盛期に比べればそれほど大きな盛り上がりはありませんが、、今も全国のさまざまな地域や企業で、新しいキャラクターが生まれています。

ゆるキャラのデザインに興味があるのであれば、素人でもエントリーは可能です。

ぜひゆるキャラのデザインをして地域振興に役立ててください。