デザイナー

改めて「デザイン」とは何かについて考えてみた

「デザインって表面的な造形のことでしょ?」

そう思っている方は少なくありません。

確かに表面的な造形について考えるのもデザインの中で必要な作業です。

しかし「デザイン」の枠は、それだけにとどまりません。

実は非デザイナーこそ、デザインの本質について理解しておくといいことが多いのです。

これまでデザインのコト。では、デザインに関するさまざまな情報について紹介してまいりました。

ここで改めて「デザインとは何か?」について考えてみたいと思います。

デザインの本質

デザインの本質は『課題を解決して新たな価値を生み出すための手段』です。

これは、単に「かっこいいデザインにしたらたくさん売れた」ということではありません。

ユーザー視点で物事を考え、どうすれば彼らにより良い体験をしてもらえるか、今ある問題を解決することができるかというのが、デザインの本質だといえます。

日本の携帯電話に起きた「デザイン革命」

かつての携帯電話を考えてみましょう。

1987年に初めて日本に誕生してから2000年の初頭まで、携帯電話は「電話するためのアイテム」でした。

技術の革新によって、メールを送ったり、ゲームをしたりなど、携帯電話でできることはどんどん増えていきます。

しかし、それまで日本ではボタンの付いたものが主流だったので、機能はあっても使い勝手が悪いという事態が徐々に生まれていきます。

そんな日本の携帯電話市場に革命をもたらしたのがAppleのiPhoneです。

タッチパネルやユーザビリティを考慮した各種機能など、従来ボタンですべて行ってきたことを、より感覚的な操作によって実現し、大人気となりました。

こうした一連の問題解決こそが、実はデザインそのもの。

言い換えれば、デザインは表面的な飾りや見た目だけでなく、問題を解決するための体験を提供する手段ともいえるでしょう。

非デザイナーこそ「デザイン」の本質を理解すべき

そう考えると、デザインがクリエイティブ職だけでなく、さまざまな方に必要となる考え方であることがご納得いただけると思います。

なぜなら「問題」はありとあらゆる場所で起こっているからです。

社内での情報共有方法や議事録のとり方、飲食店の動線確保や子ども連れの出勤など、内容は違っても、全て誰かが問題だと思っていれば、そこにデザインの考え方が活用できます。

こうして問題を解決するための手段を考えることを「デザイン思考(デザインシンキング)」といいます。

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実はデザイン思考はAppleのスティーブ・ジョブズをはじめ、これまで名だたる経営者も活用しています。

その成果は皆さんも御存知のとおりです。

つまりデザインの本質を知ることは、良質なサービスの提供やユーザビリティの改善につながると言えます。

デザインの主役は「人」

デザインの本質を知る上で、もうひとつポイントとなるが「デザインの主役は誰か」ということです。

それはもちろん、そのアイテムを使用する「人」にほかなりません。

これはマーケティングにおいても同じことが言えます。

またグッドデザイン賞などで知られる「公益財団法人日本デザイン振興会」のページにも『デザインの中心には「ヒト」が存在している』と書かれています。

デザインとは? | 公益財団法人日本デザイン振興会

デザインの本質が課題を解決して新たな価値を生み出すための手段であるならば、何かを問題だと捉え、生み出された価値を活用するのも、また人です。

たとえ見た目がかっこよくとも、使う人のことを考えて作られたものでなければ、もしくは問題が解決できなければ、デザインとしては十分ではないといえるでしょう。

このように、デザインを考えることは、それを使う人のことを考えることだといえるのです。

自分の問題を解決することもデザイン

ここでいう「人」とは、仕事では「ユーザー」と解釈されることもあります。

しかし、「人」は必ずしも他人を指す言葉だけではありません。

自分が抱える問題を解決したり、自分にとってより良い方向に物事を運ぶことも、ひとつのデザインの形です。

自らの問題を解決することは、単に自分だけが幸せになるのではなく、周りにいる人をも幸せにすることが多々あります。

それが波及し、新たなシステムやサービスに変わっていくことは少なくありません。

だからこそ、デザインの本質を知ることは仕事や人生を有意義にすることにつながるのです。

「ユーザー目線に立って」とか「相手の気持になって」というと、難しく捉えてしまうという方は、自分の問題を解決することがデザインにつながるのだと考えてみてはいかがでしょうか。

改めて「デザイン」とは何かについて考えてみた まとめ

「デザインについて考える」というと、難しく考えてしまうかもしれません。

そんなときはまず自分という一人称でものを考え、そこから少しずつ範囲を広げてみてはいかがでしょうか。

こうしてデザインについて考えることが、問題解決につながっていくはずです。